「お笑いの賞レースが増えすぎ」盛り上がりに欠ける『ダブルインパクト』関係者が“不完全な大会”と思うワケ

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2025年07月21日 09:30  日刊SPA!

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ダブルインパクト 公式サイトより
7月21日19時から『ダブルインパクト 漫才&コント二刀流No.1決定戦2025(以下、ダブルインパクト)』(読売テレビ・日本テレビ系)の決勝戦が放送される。
決勝に残ったコンビは、ロングコートダディ、スタミナパン、セルライトスパ、ななまがり、ニッポンの社長、かもめんたる、コットン。各コンビが漫才とコントを1ネタずつ披露し、合計得点で優勝者が決定するわけだ。

◆なぜ盛り上がっていないのか

ただ、いまいち盛り上がりにかけているようにも思える。それを裏付けるように「あまり注目度は高くない」と、民放キー局でバラエティ番組を制作するスタッフが明かしてくれた。

「大規模なお笑いの賞レースが増えすぎていて、ダブルインパクトもいまさら感がある。散々言われている話ですが、テレビ関係者が気にしているのは、『M-1グランプリ』と『キングオブコント』で結果を残した芸人だけ。実際、昨年『THE W』で優勝したにぼしいわしはブレイクしていると言えない状況で、『R-1グランプリ』を優勝した街裏ぴんくや田津原理音もテレビで姿を見なくなった。漫才もコントもおもしろい芸人を決める割には、M-1で好成績を残した芸人がほとんど出場していない。そういった意味では、不完全な大会になっている印象です」

◆決勝進出者と審査員にも、ちぐはぐ感が

決勝に残ったコンビは、2013年に優勝しているかもめんたるをはじめ、ニッポンの社長、コットンなどキングオブコントで好成績を挙げたコンビが多い。M-1、キングオブコントの両方で結果を残しているのはロングコートダディくらいで、「漫才とコント両方の頂点を決める」と謳っている割には、いまいち猛者がそろわなかった感もある。

また、賞レースといえば審査員が注目されるところだが、ダブルインパクトは千原ジュニア、中川家・剛、フットボールアワー・後藤輝基、ナイツ・塙宣之、アンガールズ・田中卓志が担当。いわゆるコント師の姿が見えず、正当な審査ができるのか不安な部分もある。

単に批判したいわけではないのだが、お笑い賞レースとして成功するように思えないのだ。

◆優勝候補は?

さらに言えば、各コンビが漫才もコントも披露する形式に視聴者は戸惑うことになりそうだ。決勝は、「漫才・コントそれぞれ4分でネタ披露」がベースで、各コンビは1巡目でどちらから披露するかを選択可能。これは、構成が整っていないグダグダな番組になる可能性も秘めている。

とはいえ、漫才とコントの総得点で優勝を決めるという企画自体はおもしろい。

優勝候補は、前述したように漫才もコントもおもしろく、賞レースで結果を残しているロングコートダディだ。特に、コントでの爆発力は凄まじいものがあり、しっかり漫才も構成できればぶっちぎりで優勝する可能性が高い。勢いで言えばニッポンの社長はコントでの得点を加算しそうだ。漫才でもケツの奇想天外なキャラを活かしたネタがおもしろく、着実に得点を獲得できるだろう。ななまがりは独創的なネタに定評はあるが、コントと漫才でしっかりと区別化できるかがポイント。かもめんたるは、コントは抜群におもしろいものの、漫才で結果を残せるのかが注目される。

この4組を中心に優勝争いが行われるのではないかと個人的に予想している。

ここまでダブルインパクトの不安なポイントばかりを挙げてきたが、歴史的な大会になるのは間違いない。他の賞レースと同じく生放送でなおかつ3時間の長丁場となり、漫才とコントを不規則に放送するリスキーな構成となる。どれだけ芸人のネタがおもしろくても、肝心の放送がグダグダではお笑い賞レースとして最悪の結果になる。

どうやって、前代未聞の企画を成立させるのかも、見どころのひとつになるだろう。果たして、ダブルインパクトは芸人だけでなく、視聴者も納得するようなお笑い賞レースになるのか? 7月21日の生放送に注目したい。

<TEXT/ゆるま小林>

【ゆるま小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆

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