2024年11月に自衛隊機が撮影した中国軍機。防衛省によると、核弾頭型の弾道ミサイルを搭載可能とされるH6N爆撃機と確認された(防衛省統合幕僚監部提供) 政府が今月公表した2025年版防衛白書は、度重なる中国とロシア機による日本周辺での共同飛行を取り上げた。「日本に対する示威活動」と強く懸念するとともに、昨年11月の共同飛行の際には核弾頭型の弾道ミサイルを搭載可能とされる中国の長距離爆撃機が初めて自衛隊機に確認されたことに言及した。
確認されたのは中国軍のH6N爆撃機で、24年11月29日にロシア爆撃機と、日本海と東シナ海を飛行。同30日には沖縄本島―宮古島間を抜けて太平洋まで共同飛行し、いずれも空自戦闘機が緊急発進した。
白書は「核を搭載可能な空中発射型弾道ミサイルを搭載できるとされるH6N爆撃機の(飛行)参加が初めて確認されるなど、活動の多様化が見られる」と記述した。この共同飛行に関する当時の防衛省発表は核搭載能力については触れていなかった。
H6Nは空中給油により長距離飛行が可能。防衛省関係者によると、20年に実戦配備され、中国の核戦力を支える。台湾有事に米軍基地があるグアムなどを射程に入れるミサイルを搭載し、米軍介入を阻止する役割を担うとみられる。
中ロは19年以降、爆撃機による共同飛行を計9回実施している。白書は東シナ海などでの中ロ艦艇の共同航行と合わせ「日本に対する示威活動を明確に意図したもので安全保障上、重大な懸念」と明記。「ウクライナ侵略が行われている中にあっても、中ロはますます連携を強化する動きを見せている」と警戒感を示した。