参院選の「1票の格差」を巡り、選挙無効を求め全国の高裁・支部に提訴後、記者会見する升永英俊弁護士(中央)ら=22日午後、東京都千代田区 20日に投開票された参院選は「1票の格差」が是正されておらず、投票価値の平等を定めた憲法に違反するとして、升永英俊弁護士らのグループが22日、全45選挙区の選挙無効を求める訴訟を全国14の高裁・支部に起こした。三竿径彦弁護士らのグループも同日、広島県選挙区の無効を求め広島高裁に提訴した。
投開票日の有権者数を基にした時事通信の試算では、議員1人当たりの有権者数は、最も少なかった福井県選挙区の30万8428人に対し、最多は神奈川県選挙区の96万5500人だった。1票の格差は3.13倍となり、最大格差が3.03倍だった前回2022年の参院選からやや拡大した。
原告側は訴状で、「議員定数の配分規定が、憲法に基づく人口比例選挙の要求に反している」などと主張している。
一斉提訴後に東京都内で記者会見した升永弁護士は「主要先進国では日本だけが非人口比例選挙だ。是正すべきで、高裁、最高裁は違憲・違憲状態判決を出さざるを得ない状況にある」と訴えた。
一方、三竿弁護士らは東京都選挙区と比例代表の無効を求め、月内に東京高裁へ追加提訴する予定。
前回参院選の格差について、最高裁は23年、「格差是正に向けた具体的な検討が進展しているとは言い難い」と指摘したが、「有意な拡大傾向にあるとも言えない」として合憲と判断した。

参院選の「1票の格差」を巡り、選挙無効を求めて提訴するため大阪高裁に入る弁護士ら=22日午前、大阪市北区