度重なるオーバータイムを制したハムリンが僚友ブリスコを撃破。連覇で今季最多の4勝目/NASCAR第21戦

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2025年07月22日 18:20  AUTOSPORT web

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都合2度のオーバータイム・リスタートを経て、デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が僚友を撃破
 アメリカ・デラウェア州に位置するドーバー・モータースピードウェイで開催された、2025年NASCARカップシリーズ第21戦『EchoPark AutoTrader 400(エコーパーク・オートトレーダー400)』は、雨天による56分の赤旗中断、レース終盤での戦略変更、そして2度のオーバータイム・リスタートを経て、デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が僚友を撃破。よりフレッシュなタイヤセットを履いたチェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)を抑え込み、ハムリンがコンクリート舗装されたドーバーの“モンスター・マイル”で連覇を飾り、今季最多の4勝目を挙げている。

 シカゴ市街地からロードコースの前戦ソノマを経て、絶好調“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トラックハウス・レーシング/シボレー・カマロ)が連勝を飾ってきたNASCARカップだが、改めて運営団体はシカゴのストリートコースで3年間のイベントを開催した後に、来季2026年のカレンダーには同地が含まれないことを発表。最新情報によれば、南カリフォルニアでかつてオートクラブ・スピードウェイと呼ばれていたサンディエゴのコロナド海軍基地が、新たな開催候補地と見込まれている。

 また、昨季終盤より燻り続けてきた23XI(トゥエンティスリー・イレブン)レーシングとフロントロウ・モータースポーツによるNASCARを相手取ったチャーター(参戦権)をめぐる訴訟問題では、昨年12月より長らく認められてきた暫定的差し止め命令が却下されたため、このドーバーと次戦インディアナポリスでは、ついに両陣営ともオープンエントリーにて参戦することに。

 週末を終えた段階ではNASCAR側がオープンチームの出場資格を『オーナー順位に基づいて決定する』という新ルールを追加したことで、本来は保証されていないレースへの出場枠自体は心配する必要がなくなったものの、依然として各チームに分配される賞金額や放映権にまつわるプライズなど、チャーターチームが有する各種のステータスを失った状態での活動を余儀なくされる。

 そんななか迎えたレースウイークは、シリーズの不穏な空気を反映するかのように土曜から雨が降り続き、同日に予定されていたすべてのセッション・アクティビティが中止に。そのためNASCARはパフォーマンス指標(過去のレース順位とオーナーポイントを加味)によりチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)をポールポジションスタートに指名する。

 以下、フロントロウにブリスコ、2列目にクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)、そして渦中のタイラー・レディック(トゥエンティスリー・イレブン・レーシング/トヨタ・カムリXSE)の並ぶ上位グリッドオーダーとなった。

 迎えた決勝は天候も回復してスタートが切られると、エリオットがこの夏の好調を維持して407周中238周をリード。序盤のピットロードでのミスを克服して今季初のステージ1制覇を果たす。

 しかしエリオットの快進撃はここまでとなり、ピット作業で積み重なったロスにより最後の最後で優勝戦線に絡むことは叶わず。それでも6位フィニッシュを成し遂げ、僚友ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がまたもアクシデントに見舞われたことで、こちらも今季初のチャンピオンシップリードを奪うことに。

 そんなエリオットがコーション中にタイヤ交換のためにピットインした際、レースの主役の座に躍り出たのが13番手発進だったハムリンで、残り60周リスタートでは中盤以降でともに首位争いを演じた僚友ベルを抑え切り、残り15周で雨のため56分間の赤旗中断が実施された際にもトップの座を維持していく。

 残り8周で迎えたリスタートでは、首位ハムリンのボディサイドにわずかに触れたベルが姿勢を乱し、決勝2度目のスピンオフを喫すると、後続のバイロンが巻き込まれイン側ウォールに激しく車体を打ち付けることに。

 ここから立て続けの延長戦でベルより挑戦者のバトンを引き継いだのがブリスコで、今季JGR新加入の男がチェッカーフラッグまでの最後の2周スプリントでハムリンを追い詰めていく。

 その2台はホワイトフラッグ周回でドア・トゥ・ドアの勝負を繰り広げ、わずかに接触する場面もありつつ、最終的に最後の67周をリードしたハムリンが0.310秒差で勝利を収め、最終的にここドーバーで史上13人目の連勝ドライバーとなった。

「雨が降る前は順調だったのに、その後は何度かリスタートを強いられた。気分が良くないのは言うまでもない」と不敵な笑みを浮かべた44歳のハムリン。

「タフだったよ。間違いなく背後のヤツらは僕に果敢に挑んでいた。ドーバーでの勝利は、僕にとって本当に特別なことだ。キャリア前半はあまり得意ではなかった場所だったが、ここ数年連続で(勝利を)飾ることができたのは素晴らしいことさ」

 これでキャリア通算58勝目、そして先月にも第三子となる息子ジェイムソンが誕生して以来初の栄冠を勝ち獲ったハムリンに対し、こちらも前戦ソノマに続く連続2位となったブリスコも「やるべきことはすべてやったし、一瞬、勝てると思った」と満足げな表情を見せた。

「あと少しで彼を抜けるところだったができなかった。もちろんチームメイトとレースをしていたから、少なくともJGRのマシンには勝たせたかった。正直、最高の一日だった。2位のレースカーではなく、5位から10位くらいだったと思う。良いかたちでフィニッシュできてうれしいね」

 次週インディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催されるインシーズン・チャレンジの“ファイナル”に向けては、インセンティブ・プログラムの優勝賞金100万ドル(約1億4800万円)を掛けたグランドフィナーレを制するべく最終候補4名によるデュエルが繰り広げられ、どちらの直接対決でも両ドライバーが終始接近戦を繰り広げることに。

 レディックと対戦したタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)は最終ラップでオーバーテイクを決め、アレックス・ボウマンとカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に次ぐ5位でフィニッシュ。一方、ここまで最下位シードから大番狂せを演じてきた第32シードのタイ・ディロン(カウリグ・レーシング/シボレー・カマロ)も、レース終盤の好機を捉えてジョン・ハンター・ネメチェク(レガシィ・モーター・クラブ/トヨタ・カムリXSE)を撃破。最後は20位と21位でフィニッシュし、これでインディアナポリスでは“タイ対タイ”の最終決戦が繰り広げられることとなった。

「ジョン・ハンターには敬意を表したい。僕らは一日中、隣同士で走っていたからね」と興奮気味のディロン。「この機会を得られたことに心から感謝している。これは僕のキャリアにおける最高の出来事のひとつになったよ」

 土曜に併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第20戦『BetRivers 200(ベットリバーズ200)』も、当初200周のレースから雨で短縮された決着となるなか、18歳のコナー・ジリッシュ(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が全134周中77周でリードを奪い、その万能なレーシングタレントは疑う余地がないことを証明。ロードのソノマに続く連勝で、こちらもシリーズ今季最多の4勝目を飾っている。

https://www.youtube.com/watch?v=sBwRDx0_Mdw&pp=0gcJCcgJAYcqIYzv

[オートスポーツweb 2025年07月22日]

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