20日投開票の参院選で選挙区間の「1票の格差」が最大3・13倍だったのは投票価値の平等を保障する憲法に反するとして、弁護士グループが22日、選挙の無効を求めて全国14カ所の高裁と高裁支部に一斉提訴した。最大格差は前回選挙(2022年7月)の3・03倍からわずかに拡大しており、この点をどう捉えるかが焦点になる。
各地の高裁では今年秋以降に順次判決が言い渡され、その後、最高裁で統一判断が示される見通し。
参院選の1票の格差を巡っては、最高裁が10年(最大格差5・00倍)と13年(同4・77倍)の選挙を「違憲状態」と判断し、都道府県を選挙区単位とした方式の抜本的な見直しを求めた。
これを受け、国会は16年選挙から「鳥取・島根」と「徳島・高知」をそれぞれ一つの選挙区とする合区の導入を柱とする「10増10減」を実施。格差は3・08倍に縮小し、最高裁は17年に「合憲」と判断した。さらに埼玉選挙区の定数を2増したことで19年選挙の格差は3・00倍とさらに縮小し、最高裁は20年に再び合憲とした。
22年選挙は19年選挙の枠組みのまま実施され、格差が3・03倍に微増した。最高裁は23年の判決で「有権者は都道府県ごとに国会議員を選出する考えがなお強い。選挙制度の見直しには国民の理解を得る必要があり、一定の時間を要する」とし、合憲と判断した。ただ「格差のさらなる是正を図ることは喫緊の課題」とも指摘した。
|
|
一斉提訴した弁護士グループの伊藤真弁護士は記者会見で「最高裁が国会にボールを投げたのに、国会は何もしなかった。裁判所に違憲判決を出してもらい、この状況を是正するしかない」と訴えた。【巽賢司】
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。