
キャリア50年に手が届く俳優の石田えりは憤りを抱えている。自分の置かれている状況に対して。年齢を重ねた女性が置かれている状況に対して。
【写真】「可能性の限界を自分で決めてはならない」と証明した石田えり
悲しき環境
「日本の現状を見ると、私のようなおばさんには出る幕がありません。例えば俳優として年齢を重ねた男の人はひとつの個性として成立しますけど、おばさんはおばさんですから。35才を過ぎた頃から仕事が激減します」
『遠雷』『ウルトラマン80』『釣りバカ日誌』シリーズで知られる大ベテランの嘆きは、何も俳優という職業に限った悲鳴ではなさそうだ。
「性別や年齢で区別されたときに、これまでコツコツと頑張ってきた私のキャリアって一体何だったの?と思うわけです。私としては所謂金儲けの芸能界とは一線を引いて、自分の可能性を信じて一生懸命に磨いてきた技術をどこで活かせばいいの?と。日本にはないじゃないですか。それがあまりにも悲しい」
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還暦ハリウッドデビュー
これまでの長い芸歴を「準備期間」と位置付ける石田だ。表現の場を誰も用意してくれないのならば、自分でその場を作ればいいとばかりに動く。
還暦にして、大作映画『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(2021年)でハリウッドデビュー。後ろ盾などないオーディションで、自らの手で“場”を掴み取った。
「英語が話せれば活動の場も広がるかもと思って勉強して、とりあえずやってみた。ちょっとでも自分の可能性を信じて海外に目を移してみたら…ビックリしない?ハリウッドから『G.I.ジョー』の話が来ちゃうんだよ?」
可能性の証明
7月26日には、監督・脚本・編集・主演を務めた映画『私の見た世界』が公開される。稀代の逃亡犯・福田和子をモチーフにした物語で、石田にとっては長編映画監督デビュー作。初挑戦にもかかわらず、主観映像スタイルで全体を構成する実験的かつ斬新な作風は、石田の挑戦心も映し出している。
50年という準備期間を経た石田の跳躍は今始まったばかり。
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「確かにゼロから何かをやろうとするのは大変です。でも『いやいや、まだ何もやってない。これからだよ』と思うわけです。だったら自分で動いてみようよと。そうやってどこかに私の可能性があるという証明を、自分にしているんです。『ほら見てよ、やってよかったじゃん!?』と。可能性の限界を自分で決めてはならない。それを証明するのが今の私のモチベーションです」
とてもいい表情をしている。
(まいどなニュース特約・石井 隼人)
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