「KONDOで学んだこと」「最初の1〜2周に賭けた」「野尻を抑えるのは簡単じゃない」【SF Mix Voices 第7戦】

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2025年07月23日 15:00  AUTOSPORT web

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サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S) 2025スーパーフォーミュラ第6戦&第7戦富士
 7月20日に静岡県の富士スピードウェイで行われた2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第7戦は、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が今季3勝目を飾った。

 41周で争われたレース後、トップ3以外のすべてのドライバー出席するメディアミックスゾーンから、ドライバーたちが第7戦の予選・決勝について語った内容をお届けする。


■高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL) 予選20番手/決勝14位

「タイヤをうまく使えなかった」と悩んでいる様子を見せた高星。なかでも、予選アタックでのパフォーマンスが気がかりだったのだという。

「金曜日の走行では悪くなかったと思うのですが、いざ予選になるとタイヤをうまく使えていないことが顕著に表れてしまいました。もともとアンダーステアだった状態から、さらにその傾向が強まってしまって、うまくタイムが出せなかったので、強く課題を実感しました」

 対照的に決勝のロングランについては前進があった様子で、土曜の第6戦での収穫が活きたという。

「第6戦の反省点を踏まえてやったことが、ある程度は形になったのかなと思っています。『このやり方は決勝には効いてくるのか』と感じる部分もありましたが、予選と決勝では考え方を分けて進めていくべきなのだろうなと思います」

 しかし、第7戦はレース序盤にJuju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)との接触からイレギュラーなピットインも行っており、14位フィニッシュという結果となった。

「(Jujuと)並走しながらダンロップコーナーを抜けて、相手が縁石に乗って跳ねてしまい、着地後に僕とぶつかりました」

「衝突の影響で右リヤタイヤがバーストしてしまいました。ただ今回の件は、僕が押し出して行き過ぎちゃった部分があったと理解しています」

 なお、この接触は検証されたものの、ペナルティはいずれのドライバーにも与えられていない。こうしたアクシデントを避けるためにも、まずは予選順位の向上が急務となっている高星は、「セッティングとドライビングの両面を改善しないといけない」とシーズン後半戦に焦点を当てていた。


■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 予選9番手/決勝9位

 選手権首位で富士入りした牧野は、第6戦=5位/第7戦=9位と中団フィニッシュが続き、選手権3位にダウン。「すごく厳しい富士大会になった」と苦戦を振り返った。

「今日は第6戦の予選からも大きく変えて、セクター3のギャップは少し縮まったのですが、相対的には全然ペースがなかったなと思います」

「症状としてはクルマが全然前に進まない感覚です。テストの時は、リヤが滑りながらもクルマが前に進んでいたのですが、その特徴が完全になくなってしまっていたと思います」

 その原因も不明だと肩を落とす。一方で、チームメイトの太田格之進は第7戦で優勝を飾り、チーム内で対照的な結果となってしまった。

「チームとして、自分が調子の良い時と太田選手が調子が良い時があって、2台の調子が一緒にならないという状況は、どのチームにも共通の課題なのかなと思います」

「そこで、(2台体制のメリットを活かして)自分たちの美味しい部分を探さないといけないと思ってはいるのですが、そこがなかなか分からない。今週は、自分が良いスポットにハマらなかったですね」

 これでシーズンは折り返しを迎え、チャンピオン争いも重要な局面に入るが、まずは8月のスポーツランドSUGO大会へ向けて「ダンディアライアンとしては比較的得意なサーキットかなと思う」と牧野。それでも、不調の流れを断ち切らなければならない点には「変えられるところは変えて対応したいが、どうなるか分からない」と葛藤をにじませていた。


■サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S) 予選8番手/決勝5位

 前日の第6戦では予選Q1敗退で決勝も後方集団に埋もれる結果となった・フェネストラズ。今季はじめから課題と語っていた予選パフォーマンス改善が、今回も一番のテーマとなっていたが、第7戦の予選ではQ2に進出して8番グリッドを手にした。

 ただ、本人としては満足はいっていないようで「昨日よりは改善しているけど、予選パフォーマンスに関してはまだ充分ではないと思っている」というフェネストラズだが、決勝では力強い走りを披露。スタートではポジションをひとつ落としたが、途中のセーフティカー導入時にピットストップではチームメイトの坪井翔と距離があったことから、待ち時間なくタイヤ交換に入ることができた。これで順位を上げて6番手に浮上。佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)がSC中のコースオフで5秒加算ペナルティが出たことで、最終結果は5位となった。

「レースペースは確かに良くなった。オートポリスと比べてセットアップのアプローチを大きく変えて、扱いやすくなった印象がある。3年前にKONDO RACINGで学んだことをいくつか取り入れた結果、個人的にはかなりドライブしやすくなった感じで満足している」とフェネストラズ。

 それでも改善したい想いは決勝でもあるようで「今季を振り返るともてぎでは良かったけど、オートポリスでは不調だった。どのサーキットでも一貫したパフォーマンスを出せるバランスを見つける必要がある」と語っていた。


■阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) 予選10番手/決勝11位

 そのフェネストラズの背後に迫る走りを前半スティントで見せていたのが阪口だ。10番手からスタートし、チャンスをうかがいながら周回を重ねた。

「スタートは良かったんですけど、ちょっと行き場がなくて順位を上げることができませんでした。ただ、クラッチミートとかの精度は上がってきているのかなと思いました」と、序盤はグリッドポジションのままとなる10番手を走行。つねに前にはフェネストラズがいた状態だが、「スティント的に遅いわけではないですけど、なかなか前のサッシャ選手を追い抜けるほどではないというペースが続いていて、淡々としたレースでした」と振り返った。

 前日の第6戦に続いてポイント圏内も視野に入っていたが、セーフティカー導入時のピットストップで手まどったとのこと。「ピットで大きく遅れてしまって、4ポジションくらい落としてしまったので……あれが正直すべてだったかなと思います」と阪口。

 スーパーフォーミュラ公式アプリ『SFgo』で確認すると、後方からピットインしてくる車両が多く、発進のGOサインを出すタイミングが難しかった模様。実際に出ようとした時もザック・オサリバン(KONDO RACING)と交錯しかかっていた。

「サッシャ選手の後ろでレースをしていたので、(何もなければ)最低それくらいの順位(5〜6位)は望めたのかなと思います。ピットですべてを失ってしまったし、その後僕自身もポジションを戻すだけのペースはなかったです。1台は捕えることができましたけど、その前は難しい状況で、両面で課題が残るレースでした」と、阪口は悔しい表情をみせた。


■オリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL) 予選15番手/決勝13位

 阪口とは対照的にピットストップを迅速に済ませて、14番手で後半スティントを迎えたラスムッセン。レース再開後は2度のSFチャンピオン経験者である野尻智紀(TEAM MUGEN)と抜きつ抜かれつのバトルを展開し、13位でレースを終えた。

 ポイント獲得はならなかったが、内容面でもポジティブなところがあったのか、メディアミックスゾーンでは笑顔が絶えない様子で、オサリバンを見つけると、すぐに話しかけに行き「野尻とのバトルが……」と高めのテンションで語っている姿があった。ということで、早速その話を聞いた。

「全体的に悪くなかったけど、野尻を抑え続けるのは簡単ではないね!」とラスムッセン。

 26周目に野尻がオーバーテイクシステム(OTS)のクールダウンタイムに入っている間に、自身がOTSを使ってTGRコーナーでオーバーテイクに成功。そのままポジションを守りたかったが、レース終盤になって逆転を許した。

「確かに僕たちは前進しているのは分かっているけど、彼を最後まで抑え込めなかったという点は残念だ。僕の方が最後の10周くらいで少しデグラデーションが起きて、彼の方が少し速かった」

 その後半ペースについては、さらにきっかけを掴んでいる様子。「チームメイト(高星)があんなに最後までペースを保っていたことには少し驚いた。そこについてはしっかりと調べて次につなげたい。とにかく、良い傾向になっているから、次回はこのペースでスタートできると良いなと思っている」と、次戦に向けて好材料を手にしたようだった。


■大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) 予選4番手/決勝7位

 第7戦でスタートからフィニッシュまで多くのバトルを展開した大湯。4番手から好スタートを切り3番手に上がった大湯は、最序盤を勝負と決めて果敢に攻めた。

「ファーストスティントの後半が苦しくなりそうだ、ということをある程度見越していたので、最初の1〜2周に賭けて走りました」

「ただ、前の2台(坪井翔と太田格之進)も競り合ってる中で、うまくブロックされてなかなか抜けず、オーバーテイクシステムも使ってしまいました」

 前を攻略できず3番手となった大湯は、その後は言葉どおり周回が重なるにつれてペースが低下。佐藤に迫られて3番手を奪われ、「後ろに行ってしまったので先に動くべき」と切り替えてルーティンピットへ向かった。

 しかしピットアウト後には、さらに早いタイミングでピットインを済ませていたイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)に追いついてバトルに。「フラガ選手は、前のレースで僕に抑えられたこともあって火がついてたのかなという気もする」と語る戦いは、数周に渡ってサイド・バイ・サイドが続く熱い展開となり、最終的には大湯が前に出た。

「早く抜かないとアンダーカットした意味が無くなってしまうので、あのバトルは非常にフラストレーションが溜まりましたね。その後のセーフティーカー(SC)が入っていなければ、上位で走るチャンスを生み出せていただけにもったいなかった」と振り返る大湯。

 その後はSC導入によってタイヤ交換組が真後ろに迫る展開となり、防戦一方のレースに。そのなかでも、セカンドスティントでは燃料が軽くなったことでペースが向上し、ディフェンスで好走を見せた。

「SC導入はかなり苦しかったですが、燃料が軽くなってきた後半のペースは悪くなかったと思います。サッシャ・フェネストラズ選手はペースの違いを感じたのですぐに先に行かせましたが、その後ろはオーバーテイクシステムも残っていないなかでなんとか守りました」

 終盤には山下健太(KONDO RACING)や牧野とのバトルの末、7位フィニッシュとなった大湯。この週末は2レースともに予選4番手からポジションを落とす結果となったために、決勝での戦いが好転すれば表彰台獲得も見えてきそうだ。

[オートスポーツweb 2025年07月23日]

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