欧州連合(EU)のコスタ大統領(左)、フォンデアライエン欧州委員長(右)と握手する石破茂首相=23日午後、首相官邸 石破茂首相は23日、首相官邸で欧州連合(EU)のコスタ大統領、フォンデアライエン欧州委員長との定期協議を開いた。協議後、防衛産業基盤を強化する「日EU防衛産業対話」の立ち上げや、経済安全保障分野などでの協力を話し合う閣僚級の「ハイレベル経済対話」の拡大を柱とする共同声明を発表した。
協議後の共同記者発表で、首相は「日本、EUの関係強化は、わが国およびインド太平洋地域の平和と繁栄を一層強化するものだ」と強調。フォンデアライエン氏も「今回の協議は分断が進む世界において、両者の絆の強さを再確認することになった」と語った。
共同声明では「欧州とインド太平洋の安保は相互に連関している」と指摘。防衛産業基盤の強化を「共通の優先事項」と位置付けた。情報保護協定締結に向けた交渉開始も盛り込んだ。
重要鉱物のサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化といった経済安保や自由貿易などの分野で協力を推進する「日EU競争力アライアンス」発足を明記。「ハイレベル経済対話」のメンバーに欧州委員会の上級副委員長(産業戦略担当)を加えて「経済版2プラス2」に拡大することを申し合わせた。
ウクライナに関しては「必要とされる限り、支援を提供する」と強調。ロシアへの経済制裁の継続も改めて示した。

欧州連合(EU)のコスタ大統領(右手前から2人目)、フォンデアライエン欧州委員長(同3人目)との定期首脳協議に臨む石破茂首相(左手前から3人目)=23日午後、首相官邸