
石破総理はきょう、岸田前総理ら自民党の歴代総理3人と会談し、参院選の敗北を受けて「強い危機感をみんなで共有した」と述べました。
石破総理“退陣圧力”強まるなか 日米関税交渉が合意に山形純菜キャスター:
自民党内で“石破おろし”が加速しています。
自民党の高知県連、愛媛県連が石破総理に退陣など求める要望書を党本部に提出しました。さらに栃木県連、茨城県連なども提出する方針を示しています。
山口県連 友田幹事長(22日)
「石破総裁自体が国民から信を得られなかった。しっかりと責任をとるべき」
小泉農水大臣(22日)
「(参院選で過半数の50議席という)目標を達成できなかったことを重く受け止めるべき」
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そんな中、23日午前、日米関税交渉が合意に至りました。8月1日から発動するとされていた▼相互関税は25%→15%に ▼自動車関税は(2.5%+25%)→15%(2.5%+12.5%)に引き下げられました。
さらに▼ミニマムアクセス米(関税をかけず輸入するコメ)の枠内約77万トンのうちアメリカの割合を増やすことや ▼医薬品や半導体など最大5500億ドル(約80兆円)投資についても合意に至っています。
またトランプ大統領は「日本は我々とアラスカでLNG(液化天然ガス)開発の合弁企業を設立します」と発言しています。
石破総理は自身の進退について参院選後の21日、「今最も大切なことは国政に停滞を招かないこと。アメリカとの関税交渉など目の前の課題に対して責任を果たしたい」と続投の意向を示していました。
そして“トランプ関税”合意後の23日(午前11時前)には「これから赤沢大臣が帰国します。よく精査してまいりたいと考えております」と話していました。
ただ、関税合意後、ある自民党幹部からは「石破総理は近く進退を判断する見通しだ」といい、「今回の(トランプ関税の)合意は花道だ。総理は権力にしがみつきたかったわけではなく、関税交渉が終わるまで辞められなかっただけだ」と話しています。
これらの発言の狙いについてTBS報道局 岩田夏弥 政治部長は「“石破おろし”の熱をさます意図があったのでは」といいます。
歴代総理と会談 続投意向 重ねて示すそんななか、23日、自民党本部で歴代総理である岸田前総理、菅副総裁、麻生最高顧問と約1時間20分にわたり会談を行いました。会談後、石破総理は…
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石破総理(23日 午後3時半ごろ)
「私の出処進退につきましては一切話は出ておりません。一部にそのような報道がございますが、私はそのような発言をしたことは一度もございません」と続投の意向を改めて示しました。
石田 健さん:
関税交渉の目途がある程度ついたこと、そして8月は『広島 原爆の日』『長崎 原爆の日』『終戦の日』が控えています。
石破総理にとって“談話を出す”ことが自身のレガシーとして考えうることだと思いますので、その先の8月後半から9月、10月にかけて政局が動くんだろうなと予想がつきますね。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
22日の夜から自民党内では慌ただしい動きがありました。まず石破総理が続投の意向を示したことで党内では“石破おろし”の動きが地方も含めて一気に広がりました。
ただ23日になって『日米関税の合意』があり、自民党幹部からは「近く石破総理は進退について判断する見通しだ」という話がありました。
その狙いは全国に広がっている“石破おろし”の動きを一旦落ち着かせるためです。23日、石破総理は歴代総理経験者と会談をしました。
関税交渉も合意をしたので、近く進退について判断するからちょっと落ち着きましょうということで、約1時間20分も話し込んだのですが、石破総理によると「出処進退についての話はしなかった」と説明しています。
しかしこれと前後して一部の報道機関で「石破総理が7月中にも退陣する意向を表明する」という報道もありました。
それに対して石破総理は「私はそのような発言をしたことは一度もございません」と、つまり(歴代総理との会談後)退陣表明をする意向だという報道を打ち消したわけです。
そうなると「一旦 落ち着きましょう」という流れがどうなるのか、“石破おろし”の声が、この発言を受けてまたどうなるのか、注目していかなければなりませんね。
井上貴博キャスター:
困難を極めた日米関税交渉について、相互関税を25%から15%に引き下げたことなど、最後の土壇場でまとめ上げたことは評価してもいいものなのでしょうか。
石田 健さん:
まだ評価はしづらいと思いますが、『相互関税15%』という数字を見たときに、私個人的には妥当というか、ある程度の着地点だなと感じました。ただ国民にどう評価されるかはまた別だと思います。
今、少数与党の自民党は、旧民主党に政権を渡したとき以上の危機に直面していると思います。おそらく“石破おろし”をしている人も、されている側も、また野党もこの先どうなるかわからないといった状況になっています。
このような場合、本来であれば“関税”や、選挙の争点だった“減税”といった未来に向けての政策の話をしていくことで国民の支持を得たり、方向性をまとめ上げなくてはいけないのですが、自民党は“石破おろし”ばかりに向いてしまっている。よって野党がどれだけ存在感を発揮できるかというのも一つの焦点になってくるのではないでしょうか。
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出水麻衣キャスター:
石破総理が今後について話すタイミングはいつ頃になるでしょうか。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
自民党両院議員懇談会が7月28日に前倒しになるという話も出ています。さらに8月は『広島 原爆の日』『長崎 原爆の日』『終戦の日』といった重要な予定が控えています。
その後もアフリカ開発会議や、参院選結果の検証も行うのではないかといわれていますので、それを受けて石破総理は最終的に判断をするのではないかとみられています。
ただ退陣を求めている人たちはこの1か月の間、そのまま収まっていられるのかまだわからないところで、この間に何ができるのか、石破総理や森山幹事長が考えるところなのだと思います。
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<プロフィール>
石田 健さん
ニュース解説メディア「The HEADLINE」編集長
鋭い視点で政治・経済・社会問題などを解説
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当