
【写真】緑の中にたたずむ吉高由里子が女神のような美しさ!
◆デビュー20周年、大河ドラマ、年女……すべてが重なりお祭り状態で受けた出版オファー
本書は芸能生活20周年の節目を迎えた吉高が、「喰」「演」「夢」「恋」「月」「匂」「触」「暮」「残」「伝」「逢」「喜」「雨」など、漢字1文字を入口に繰り広げる“ひとりごと”計54篇を、書くように話していく自由な呟きスタイルで収めた一冊。吉高直筆イラストの挿絵も掲載されるほか、ONE OK ROCK・Toruとの「同級生スペシャル初対談」や、密着撮り下ろし写真&直筆旅日記 in ニュージーランド「まだ見ぬ星空を探す旅」などを収録した盛りだくさんな1冊となる。
――2023年に「吉高さんの感性が伝わる本を作りたい」とのオファーを受けスタートした本作。お話を聞かれた時のお気持ちは?
吉高:小学校の時から、作文が書けなかったんです。自分では作文だと思っていたものが、「これはあなたの詩になっちゃってるから」って言われたりして。これまでX(旧:ツイッター)を書籍化したいというお話もあったりしたのですが、Xも私はただの感想文だと思って書いているんですね。受け入れたくはないんですけど、私は人と書き方が違うのかなと思ったりしていました。
今回そこが面白いと思って提案してくれたのですが、書き物を残すって自分としてはあまりやりたくないと思っていたんです。その時の“本当”も生きていれば変わってしまうかもしれないし、変わらない信念があるっていう自信もなかったので。でも長く知っている担当さんだったので、やりますかと(笑)。
――2023年〜2024年というと、大河ドラマ『光る君へ』としっかり向き合わなければいけない時期だったと思います。そんなタイミングなので、大変になるのではという考えはなかったですか?
吉高:なかったですね。「大河を引っ張っていかなきゃ!」っていう思いが強かったらそう思ったかもしれないですけど、私はちゃんと人にぶら下がるタイプなので、甘えさせてもらうところは甘えさせてもらっていましたし(笑)。デビュー20周年という節目と大河も重なり、さらに年女ということもあって、「やろう!やろう!」とちょっとお祭り状態だったのかも(笑)。
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――タイトルが『しらふ』に決まった経緯を教えてください。
吉高:“本当の”“素のまんまの”というこの本のテーマに一番近いかなということで一瞬で決まりました。私らしい感じもあるんじゃないかなと思います。
――ニュージーランドを撮影地に選ばれたのはどんなことからでしょうか?
吉高:この本の中に空や宇宙、星に関する内容も多かったですし、私自身もすごく宇宙や星に興味があるんですね。ニュージーランドに世界遺産になるかもしれない星空があると提案いただき、「日本より早く日が昇る国って行ったことないな」と思って、行ってみようということになりました。
実際に行ってみると、天の川を見ることができたり、「死んだんかな?」って思うくらい星空が本当にきれいで感動しました。今回は、いろんな場所を移動して撮影したのですが、その移動距離もプライベートの旅行ではできないような旅の醍醐味があって、面白かったです。
――さらに、ONE OK ROCKのToruさんとの対談も収録されています。Toruさんとの対談はいかがでしたか?
吉高:誰と対談しよう?と考えた時に、Toruさんとは中学校が一緒で私がこのお仕事をする前からのお友達なので、それも面白いかなと思い、お願いしました。プライベートでもよくゴルフに一緒に行くので、すごく久しぶりに会うという感じでもなく、だけどちょっと恥ずかしい気持ちがありましたね。10代の自分たちに、30代になってもまだこういう仕事を続けていて、お友達でいられる関係ってすごいよね!面白いことが起きるよ!って教えてあげたいような、あまり感じたことのない感覚でした。
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――この『しらふ』という作品と向き合って、改めて感じたことや気づきなどがありましたら教えてください。
吉高:私はもともと読書が苦手なんですね。こういう本を作る時って、何回も原稿のチェックをするじゃないですか、それが辛すぎて(笑)。「なんで作るって言っちゃったんだろう」「やめようかな」って思うくらい辛かったのが一番最初に出てきました(笑)。
でも、1年を通して3回くらい読み直したんですけど、こんなにも自分が変わっていくのかっていうくらい、1年前の自分と今の自分で思考回路というか、1つの漢字に対して最初に飛び出してくるイメージが変わっていたりしました。でも変わらないところはまったく変わらないし…。他人を見ているような、この感覚で一緒に歩いていたはずなのになって思ったけれど、自分を通り過ぎたら他人になってしまったような感覚が、不思議でしたね。
あとは、本を好きな人って何回も読むけど、その時期に読んでいた自分と重なり合うものがあるから何回も繰り返し読むのかなとか、そういう感覚が面白いから読むのかなとか、最初に読んだ時の自分と変わっていくのも楽しみの1つであるのかなとか、本を読むということの面白さには、自分が今まで想像したことのない違ったベクトルの発想があるのかもと感じたことも面白かったです。
――本書の中には素敵な表現がいっぱい出てきます。読書は苦手とのお話でしたが、そうした表現はどこから来るものなのでしょうか?
吉高:気になる言葉を辞書で調べるのは好きでしたね。「その言葉って何?」って人に聞いたりすることも好きだし。10代のころに小っちゃい辞書をもらったことがあって、それをバスに乗りながらよく見ていたことを思い出しました。
でも、音で覚えちゃっているから、よく全然違う言葉を言ったりしてるんですよ。「自分のことをタライに上げないでよ!」って言っちゃったり(笑)。
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吉高:これを読んでいただいて、どういう人って思われるのかなぁって。もう楽しみにするしかないですよね。
こういうことでもないと、その時の自分の感性って忘れていくものだし残せないものだと思うので、恥ずかしい気持ちはありますけど、60歳、70歳になった時に、この本を出版できたことを感謝する経験になっていればいいなって思います。
◆伝えたい、話したいは「私の一番の性」
――先ほどXを書籍化するオファーもあったとのお話もありましたが、吉高さんがXで投稿する時に気をつけていることはどんなことでしょうか?
吉高:2011年からやってるのかな。始めたきっかけは覚えてないんですけど、知りたいから発信するということかもしれないですね。私の場合食べ物の話が多いんですけど。さみしいからとかではなく、知りたいのほうが強いかもしれない。繋がりたいからではないですね。リアルタイムで共有できるっていうのが面白いですよね。
――インスタグラムをやらない理由は何かありますか?
吉高:2個ってどうしたらいいの?って。どっちかに偏ってえこひいきになるのは嫌じゃないですか。それと、インスタグラムには毎回写真を載せなきゃいけないというプレッシャーがあるんです。今から始めても機能が分からなさすぎてついていけないと思うので、このまま置いていかれると思います(笑)。
――最後にファンの皆さんに向けてメッセージをお願いします。
吉高:この本の制作は『光る君へ』の撮影と同じタイミングで、いい息抜きではないですけど、自分の言葉で話せるってこんなに楽なのか、自分の言葉で伝えられるって気持ちがいいと感じながら作りました。海外に行くと自分の言葉で冗談が言えなくて、悔しい!もうちょっと面白く言えるのに!と思うことがあるんですけど、伝えたい、話したいと思うことって私の一番の性(さが)なのかなって思います。
今回の本は人に伝えるために発信しているインタビューの言葉ではないので、私のひとりごとをのぞき見している感覚で読んでいただけるとうれしいです。
(取材・文:佐藤鷹飛 写真:高野広美)
吉高由里子の書籍『しらふ』は、ワニブックスより7月22日発売。通常版は2420円、吉高完全プロデュースによるオリジナルTシャツ付きの初回限定版(B5変形判BOXケース入り仕様)は6980円(いずれも税込)。