堤真一&山田裕貴、クランクイン前に頭を坊主に『木の上の軍隊』メイキング

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2025年07月24日 16:31  cinemacafe.net

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『木の上の軍隊』メイキング©2025「木の上の軍隊」製作委員会
堤真一と山田裕貴がW主演を務める『木の上の軍隊』のメイキングドキュメンタリーが公開された。

本作は、1945年の沖縄県伊江島を舞台に、終戦を知らずに2年間ガジュマルの木の上で生き延びた兵士の実話に基づく物語である。監督は沖縄出身の平一紘が務め、全編沖縄ロケが行われ、伊江島では実際に生い茂るガジュマルの木の上で撮影が敢行された。

この度公開されたメイキング映像は、そんな本作のクランクインを前に、堤と山田が安全祈願を行い、髪を剃り上げ坊主頭にする場面から始まる。

撮影に入る前に、当時、実在の日本兵たちが登った“ニーバンカズィマール”を訪れた際には、2023年の台風で一度倒木してしまってはいたが、歴史が刻まれたガジュマルの木を前に2人は圧倒された様子。堤が演じた少尉・山下一雄のモデルとなった山口静雄さんが最初に身を隠した木は現存しており、その木の看板を見た堤は「父の名前が字も同じで静雄です。(役名の)山下は母の旧姓」と運命的な巡り合わせに驚きを隠せない。

さらに、撮影の主な舞台となる巨大な1本のガジュマルの木と初対面すると、実際に生い茂るその生命力に感嘆。これは、本作の撮影のために、2本のガジュマルの木を植樹し、実際に伊江島の地に根付かせたものだった。まさに“もうひとりの主役”といえる大きな存在だ。

また、山田は虫が苦手なようで、樹上もロケ地も虫だらけの撮影に苦戦。だが、撮影が進むにつれ虫にも徐々に慣れていき、飢え死に寸前で自分の傷口に湧いたウジ虫を食べるシーンでは、生きた本物のウジ虫を食べるまでに。

もちろん当初は小麦粉で作った偽物のウジ虫が用意されていたのだが、自ら「(本物を)食べます」と志願。その理由は「(実在した2人の兵士が)直面した過酷な現実を少しでも感じたかった。そうしなければ生きられなかったと思う。(演じる上で)嘘をつきたくなかった」と語る。

さらには、脚本を執筆するにあたり、多くの沖縄在住の戦争体験者に取材し、たくさんの体験談を聞いた平一紘監督の姿からは、今この映画を作る意味、沖縄の土地と歴史と向き合う覚悟がうかがえた。

そして、撮影も終盤を迎える頃、実際に木の上で生き抜いた山口さんと佐次田さんのご子息が伊江島を訪れ、堤と山田と対面。和やかな雰囲気ながらも、山田は「実話を基にした物語を演じる責任。改めて身が引き締まった」と語る。

数々の出会いと、沖縄のスタッフを中心とした制作陣に支えられながら、一足先に迎えた山田のクランクアップでは、涙ながらに「この映画を通して、生きた2人がたくさんの人に届くことを願います。そして上官が堤さんで本当によかったです」と声を詰まらせた。

また、撮影で使われたガジュマルの木の植樹の作業中、思わぬ出来事も。伊江島の造園業の知念洋輝さんが一時的に木を植えるために土を掘っていたところ、戦没者とみられる約20人分の遺骨や遺品、旧日本軍のものとみられる装備品が見つかったのだ。

伊江島での遺骨の発見は実に20年ぶりだったという。偶然とはいえ運命的な発見に平監督は「とても悲しい話ではあるけれど、映画があったから見つかったとも思う」とコメント。

沖縄でひと足先に公開されたワールドプレミアの観客の中には、その知念さん一家の姿も。知念さんは「(発掘された)現場を見ているので、他の人とは違った感動がありました」と語り、知念さんの妻も「(山田が演じる新兵の)安慶名の『帰りたい』と言うシーンを観て、出てきた遺骨の方々を思い出して、同じ気持ちだったんだろうなと…感動しました」と涙ながらに語った。

俳優としてのキャリアを積み重ねてきた堤も「これほどスタッフや地元(沖縄)の方たちに支えられてできた作品はないと思っています。そこに対する自信は満々です」と語る。平監督も「沖縄で生まれ育った僕が、この映画で初めて沖縄戦に本気で向き合いました」と、この作品への並々ならぬ思いを吐露している。

本編では描ききれなかった史実と、そこに向き合うキャスト・スタッフの熱意と覚悟が映し出された必見の映像となっている。

『木の上の軍隊』は7月25日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。





(シネマカフェ編集部)

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