
23日、一部メディアが号外などで報じた石破総理の「退陣報道」。総理自身は完全否定していますが、その胸の内は?
【写真で見る】「野党と連立拡充が大きな条件の一つ」“ポスト石破”の顔ぶれ
自民党総裁を辞めさせるには?井上貴博キャスター:
今回の選挙で、明確に石破自民党に対して「NO」が突きつけられたわけですが、実は古い自民党自体に「NO」が突きつけられた気もします。
自民党は本当に変われるのか、世代交代はできるのか、リーダーが変わってもどうせ変わらないのかなど、いろいろなことを考えてしまいます。
一体、石破総理は頭の中で何を考えているのでしょうか。
石破総理は、総理であり、自民党の総裁です。そもそも、総裁を辞めさせるためには、どんな手段があり得るのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーターの星浩氏によると「石破総理は当面辞めるつもりはない。自民党総裁を辞めさせるのは難しい」といいます。
両院議員総会というものがありますが、▼所属議員3分の1以上からの要求で開催することができます。
▼党所属議員と都道府県連代表の過半数の賛成で、総裁選の前倒しが可能になります。
開催するだけでも3分の1以上が必要で、開催した後に総裁選の前倒しをするためには過半数が必要です。
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星浩氏によると、総裁選を実施するには「自民党議員など約300人のうち、約150人の賛成が必要」だということです。
その内訳を見ていくと、大臣、副大臣、政務官、委員長が約100人いて、その署名を集める(=自民党に「NO」)というのは考えづらいです。
そうなると、ハードル高く、総裁選の開催は難しいということでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
役職を投げ捨てて、辞表を叩きつけて、総裁選をやり直して、石破総裁を引きずりおろそうという度胸のある自民党議員が、100人単位でいるとは到底思えないですね。
自民党議員からすると、「選挙で負けたのは総裁のせい」「勝ったら自分の功績」という感じの人が増えていて、本当に勝負をかけて身をていして戦うとは、とても思えないです。
出水麻衣キャスター:
そもそも、両院議員総会の開催だけでも3分の1以上が必要ということですが、現実的にはどうなんでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
実際に署名を出してやったとしても「いつ開催するか」は執行部の判断です。
たなざらしにする可能性もあります。それを覚悟で署名に踏み切るということは、ちょっと考えにくいんですよね。
井上キャスター:
総裁選で言うと「ポスト石破」で名前が挙がっている人がいます。
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【“ポスト石破”の顔ぶれ】
・高市早苗氏(64)
・小林鷹之氏(50)
・林芳正氏(64)
・小泉進次郎氏(44)
・加藤勝信氏(69)
・河野太郎氏(62)
・茂木敏充氏(69)
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
総裁選ですが、9月くらいにもし石破総裁が退陣したら、その後に、自民党は衆議院でも参議院でも少数なので、連立として野党を補充しなくていけません。
野党と手を握れる人材は誰かと考えると、非常に保守色の強い高市氏が野党と握れるのかというと、なかなか難しいわけですね。
野党と連立を拡充できる人が大きな条件の一つになってくると思います。
その点で言えば、高市氏と小林氏はタカ派なので厳しいでしょう。
ただ、林氏や加藤氏は現職の閣僚なので、石破総裁との連帯責任もあるのではないかという議論になると思います。
井上キャスター:
総理のポストについて考えています。
総理を退陣に追い込むには、内閣不信任案を衆議院で可決する必要があります。可決された場合、解散か総辞職を迫られます。
いまは少数与党なので、野党が出したら、可決できる可能性もあります。
星浩氏によると「内閣不信任案を提出できるのは、いまは立憲民主党のみ。可決した場合は解散を選ぶ可能性もあり、提出には慎重」だということです。
衆議院規則の第6章 第28条の2には、「内閣不信任決議案を提出するには、衆議院議員50人以上の賛同が必要」とあります。
いま、野党の中で50人以上いるのが立憲民主党です。
ただ、石破総理が解散を選ぶ可能性もあるので、および腰になりそうだということでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
自民党もそうですが、野党側も選挙の体制は整っていません。
いま、いろんな懸案を抱えている中で、解散総選挙が妥当なのかという議論もあるので、不信任案を提出するのはなかなか難しいと思いますね。
不信任案が出て可決されたら、石破総理はいかに“死に体”でも、解散を選ぶと思います。
そしたら日本中は大混乱。政治はかなり先行きが見えない状況になりますよね。
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井上キャスター:
いつ進退の判断をするのか、星浩氏によると、秋の可能性があるということです。
秋の臨時国会で、補正予算が通る見通しが立たなくなって、政権が行き詰まると、石破総理は辞めざるを得なくなるとの見方です。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
自民党の中で総裁を引きずり下ろすのはなかなか難しい。不信任案の提出も、そう簡単ではないという状況です。
そうなると、秋の臨時国会で、給付か減税かを含む予算を通さなければいけませんが、いまの状況では通りません。
予算が通らなければ、政権は行き詰まる。それを見越して、石破総理が早い段階で進退を判断するのが、いま考えられるメインシナリオかと思います。
井上キャスター:
そうなると“ポスト石破”の皆さんも、何となくいまは石破総理にやっておいてもらって、秋にどうせ行き詰まるだろう、くらいの感覚でしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
当面は日米の関税協議、そして選挙の総括が必要です。それを受けて秋の臨時国会前に新しい体制を作るということです。
それが世の中からどういう評価を受けるかというのが、とりあえずの自民党の対応だと思います。
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〈プロフィール〉
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年