写真 2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。
TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
第44回となる今回は、アンヌさんが今月見舞われた“あるトラブル”について綴ります(以下、アンヌさんの寄稿です)。
◆夜中3時ごろ、あまりの刺激臭で目を覚ました
トラブルは、忘れた頃にやってくる。そして忙しいときにやってくる。
7月は私にとり勝負の月でした。レギュラーのお仕事に加えて、出張や事前の準備がたっぷり必要な業務もあり、とにかく集中力の持続が求められました。
いよいよ明日は東京出張だ! 気合だ! ここを乗り越えれば少しはリラックスできるかな?! と気を引き締めながら眠りについたある日のこと。
夜中3時頃でしょうか、予想もしない刺激臭が鼻をつき、目を覚ました私。ガソリンスタンドのような、車からの排気ガスのような、不可思議なニオイが部屋中に充満していたのです。
我が愛犬は玄関ですやすや眠りについていたので何か異常事態があったわけではないのでしょうが……冬場の北海道でお馴染みの灯油ストーブを使うときの、嗅ぎ慣れたあのニオイに似ているのです。
無視を決め込んで再び眠りにつこうかとも思いましたが(コラ)、一度目を覚ますとお手洗いにたちたくなるのが本能。用を済ませて手を洗おうと洗面所に足を踏み入れると、透明なぬるっとした液体が水たまりのようになって床をビシャビシャに覆っていたのです。
そしてものすごくクサい。そう、これは……灯油?! 我が家の洗面所の床が灯油まみれになっていたのです。
◆どこからか灯油が派手に漏れている!?
なぜこんなことに?! だれかが撒いたの?! ということではなく、北海道の一軒家は、セントラルヒーティングといって、家の外に設置されたタンクから灯油をひきこみ、専用の機械を使って家中を暖めるという仕組みがあります。
我が実家は築30年ほど。新築当時から灯油には毎年お世話になっていますが、その大元の設備は我が家の場合、洗面所に設置してあるのです。どうやらその機械から灯油が派手に漏れ出ている!! 一瞬頭がパニックになりかけましたが、まずは灯油をどうにかせねばならない。
使っていない衣服を箪笥から引っ張り出して、雑巾がわりに拭き掃除。しかし灯油は静電気などでも引火の恐れがあるなにより危険なもの。拭き掃除をしたとて一刻も早く元を止めないと、「大変なこと」以上の事態がおきます。
足は灯油まみれ、しかし数時間後には東京出張、帰ってくるのはその翌日、さらにその翌日は朝から晩まで仕事で家をあける……しかも具体的にどこから漏れているのか目視ではわからないので突貫的に止めることもできない……。こんなピンチがありましょうか。
◆ローカル電気店の神対応に感動!しかしもう一つの問題が
年代モノの暖房設備には、札幌市内のローカル電気店の電話番号が記してありましたが、この会社が数十年経った今でも存在しているかどうかは不明。ああ、どうしたらいいの。
もしこの電話番号が現在使われていなかったら私はどこに電話すればよいの。もし幸い修理の方がつかまったとしても、立ち会い問題が発生する……我が父は日本語がほとんど話せないアメリカ人。ああ、考えれば考えるほどピンチ……。
朝になり、祈るような気持ちで例の電気店の電話番号にかけてみた私。 数コール目でつながった先は……貼ってあるシールとは違う名称の会社。
絶望感にみまわれながら、「あのー、〇〇会社ではありませんか? 我が家で灯油漏れが発生していて困っているのですが」とお伝えしたところ、「数年前に会社名が変わったんです! 工事関係者が〇時には出勤しますので、すぐに電話を折り返しますね」と明るい返答! もー! 神対応!
ここで一瞬安心しましたが、大事なのは立ち会い問題。 肝心の父、何か所か生活拠点があるためこの日は朝から不在だったのです。なんとか父に立ち会いをお願いしたい。
◆年老いた親あるある?父が電話に出ない
しかし、これ、年老いた親あるあるかもですが、電話かけてもかけても出ないのよ!! 何回かけても「ただいま電話に出ることができません」。おーい! なんのための携帯だよー! と叫びたくなるのを抑えつつ、文字通りの鬼電。
あと少しで空港に向かわねばならない、でも立ち会い問題が解決していない……と、ハラハラしながら過ごしていましたが、しばらくしてようやく父からかけなおしが! 事情を説明したところ、それは大変と一目散に帰ってきてくれることに。そして私が出張で家をあけているあいだ、無事灯油漏れは直されたのでした。
どうやらホースの劣化が原因だったそう。ヒュウ。ちなみにこちらの原稿の〆切の関係で、執筆時の私はまだ直された暖房設備を見ていません。
どうやら配管の都合で私のコスメやらタオルをおいていた棚の中身を全出しして今回の作業が行われたよう。帰宅が怖い。洗面所今どうなってるんだろ。しかし直ってよかった。
古い家は頻繁にメンテナンスが必要とのことがよーくわかりました。もう、壊れるなら私の出張がないときにしてよね。
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne