TG-RR、S耐第5戦オートポリスではニュルを走ったGRヤリスを投入。気になる『GRヤリス Mコンセプト』は開発を継続中

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2025年07月26日 15:40  AUTOSPORT web

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2025スーパー耐久第5戦オートポリス TGRR GR Yaris DAT
 7月26〜27日、大分県のオートポリスで開催されているENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第5戦『スーパー耐久レース in オートポリス』には、ST-QクラスにTOYOTA GAZOO ROOKIE RacingからTGRR GR Yaris DAT、TGRR GR86 Future FR conceptの2台が参戦しているが、トヨタはこの2台、さらに同じくST-Qクラスに参戦するGR Team SPIRITのGR Yaris DAT Racing Conceptを含めた参戦について説明した。

 モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりを目指し、スーパー耐久、そして並行してニュルブルクリンクへの挑戦を続けているTOYOTA GAZOO ROOKIE Racing。今季は第3戦富士24時間に続く登場となったが、32号車は当初予定されていたミッドシップのGRヤリス Mコンセプトに代わって、DATを搭載するGRヤリスで第5戦オートポリスに参戦した。

 モリゾウ/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康宏というお馴染みの4人がドライブするこの車両は、6月にニュルブルクリンク24時間レースに登場したもので、これまでスーパー耐久で鍛えた知見を活かし、過酷な24時間を走りきってみせた車両だ。その仕様と同等のセッティングで今回スーパー耐久第5戦オートポリスに参戦することで、日本の高温多湿の環境下でどういった知見を得られるかを試し、市販車へのフィードバックに取り組んでいく。

 スーパー耐久に参戦してきた車両とは異なり、ニュルを走った車両だけにステアリングは左。また大きな起伏やうねりがあるニュルブルクリンクを走破するために路面追従性など、ドライバーの要求に対していかに合わせていくかが取り組まれている。ニュルそのままの仕様で木曜の特別スポーツ走行から走っているが、ドライバーたちからは「乗りやすい」というフィードバックを得ているものの、比較的フラットな国内のコースに対して「足りない部分があるだろう」と解析を行いデータを集め直している。

 今回はまた、同じくST-Qクラスに参戦しているGR Team SPIRITの104号車GR Yaris DAT Racing Conceptでも異なるデータを収集。より効果的に車両へフィードバックを行っていく。なお、今回は32号車TGRR GR Yaris DAT、104号車GR Yaris DAT Racing Conceptでは、これまでのGRヤリスとは異なるリヤウイングを使っている。32号車はニュル参戦にあたり必要なエアロバランスを検証し、最適なバランスを探った形状だが、104号車はそれをファインチューニングしたものだという。

 また、28号車TGRR GR86 Future FR conceptは、今回は佐々木栄輔/坪井翔/福住仁嶺/豊田大輔という4人がドライブ。大嶋和也は監督に専念している。富士24時間ではペナルティ以外はほぼトラブルなく周回を重ねてきたが、今回もENEOSとの“共挑”によるカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを続けており、低炭素ガソリン(E20)を燃料として使用する。グリルの形状変更などの変化もあるが、今回は富士とは気温など環境も異なるオートポリスで前回と同じ性状の燃料を使用し、多くのデータと知見を得ていく。


●GRヤリス Mコンセプトは開発に苦戦。岡山での登場なるか

 そんな取り組みを続けているTG-RRだが、気になるのはGRヤリスをミッドシップ化したGRヤリス Mコンセプトがいつ登場するかだ。本来はこのオートポリスがデビューの予定で、開発テストを繰り返してきたが、残念ながら今回は出場は叶わなかった。

 このGRヤリス Mコンセプトの現状について、高橋智也GAZOO Racing Companyプレジデントは「大きくふたつの課題があります」と説明した。

「ひとつはまずは熱です。エンジンがうしろにあるので、どうしてもエンジンルームに風が入らない、冷えない状況があり、エンジンのパワーが出せていません。熱い空気を吸うとエンジンの保護が入ってしまい出力をセーブするモードに入ってしまうのですが、それが非常に苦しい」とミッドシップならではの苦労を説明した。

「もうひとつが運動性能です。もちろん重心がクルマの真ん中に来るので、旋回はしやすくなっています。ただそれを四駆の特色を活かし、前輪、後輪にどう動力を与えるのかが非常に苦戦しています」

「ミッドシップを20年ぶりくらいに作るということ、今までトヨタではやったことがないミッドシップかつ四駆というコントロールの面で、非常に難しい壁に当たっています」

 今後に向けた楽しみな車両であるGRヤリス Mコンセプトは、10月25〜26日の第6戦岡山での出場を目指しているというものの、高橋プレジデントは岡山の登場については「五分五分」だと明かした。ただ、この苦闘も『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』のひとつでもある。今は開発が進むことを期待したいところだ。

[オートスポーツweb 2025年07月26日]

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