画像:ABEMA プレスリリースより(PRTIMES)漫才とコントの“二刀流”で頂点を競う新たなお笑い賞レース『ダブルインパクト〜漫才&コント二刀流No.1決定戦〜』(読売テレビ・日本テレビ系)が、7月21日19時から生放送されました。
初開催となった今回、ニッポンの社長が見事初代王者に輝いた一方で、審査員長を務めた千原ジュニアさんにも注目が集まりました。
◆新たな舞台『ダブルインパクト』初代王者と審査員の顔ぶれ
『ダブルインパクト』はプロアマや芸歴を問わず、漫才とコントの二刀流コンビナンバーワンを決める大会。日本テレビ、読売テレビ、そして吉本興業が主催となり、今月21日に初開催されました。決勝では勝ち上がった7組がそれぞれ漫才とコントを披露し、5人の審査員がそれぞれ100点満点で採点。2ネタの合計得点で優勝者が決まる方式が採用。
栄えある初代王者に輝いたのはニッポンの社長。確かな実力とバランスの取れたパフォーマンスで高評価を獲得し、頂点に立ちました。
決勝の審査員を務めたのは、千原兄弟の千原ジュニアさん、中川家の剛さん、フットボールアワーの後藤輝基さん、ナイツの塙宣之さん、アンガールズの田中卓志さんという顔ぶれ。
『M-1グランプリ(以下M-1)』(テレビ朝日系)でお馴染みの塙さんと、近年『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)や『ABCお笑いグランプリ』(ABCテレビ)で審査員を務めている田中さんを除き、3人が初めてのお笑い賞レース審査員という新鮮な人選となっていました。
その中でも注目されたのが、審査員席の一番右、いわゆる「最後に点数を出すポジション」に座った千原ジュニア。この位置は、かつて『M-1グランプリ』や『キングオブコント(KOC)』で松本人志が担っていた重要なポジション。番組に“格”を添える役割とされています。
◆松本人志ロス!お笑い審査員界の新たなヒーローは誰だ!?
決勝進出者のネタだけでなく、審査員の点数やコメントも話題になるお笑い賞レース。特にこれまでの数々のお笑い賞レースでは、芸人たちから憧れの存在として支持されてきたダウンタウンの松本人志さんが何点をつけるのか、どんなコメントをするのかということが注目の的でした。
松本さんの活動休止後となった昨年の『M-1グランプリ』では中川家の礼二さん、『KOC』では東京03の飯塚悟志さんがそれぞれ審査員長席に座っていました。
礼二さんと飯塚さんはいずれも過去に大会でチャンピオン経験があり、若手のネタを数多くチェックし、さらに現役の漫才師・コント師として舞台に立ち続けている点で、お笑いファンや一般視聴者から審査員長として納得の人選とみなされました。
そうした中、新たにスタートした『ダブルインパクト』では、吉本興業所属でベテラン芸人、そして若手のネタにも精通している人物が求められたとみられます。その条件に最も合致していたのが、芸歴35年の千原ジュニアだった。
◆千原ジュニア審査員長、その理由と審査力
千原さんは若手時代から松本さんとも親交が深く、松本イズムを受け継いでいるとされるだけでなく、独自のセンスを持つ話芸のスペシャリストとして若手芸人たちから憧れの存在です。
松本人志さん並みのポジションに座っても違和感のない芸歴35年の千原ジュニアさんこそ適任者だったと言えるでしょう。
実際、番組の生放送開始時には千原さんが「総合演出から手紙をもらった。バラエティ番組出演で手紙をもらうのは初めてだった」と審査員裏話を暴露しました。そのエピソードは笑いを交えて語られていましたが、番組側が千原さんに審査員長席を懇願した事情も垣間見えました。
また決勝では各コンビのネタ披露後、千原さんは厳しすぎる点数をつけるわけでもなく、面白いと思ったコンビにはしっかり高得点をつける非常に適切な審査をしていた印象でした。
コメントでも「そんな部分を見ているのか!」と審査される芸人たち本人が驚くような鋭さも。例えばかもめんたるに関しては、コンビの中核を担うボケの岩崎う大さんに注目が集まりがちなところを、相方・槙尾ユウスケさんの演技力を評価するなど、“じゃないほう芸人”の魅力を短い言葉で評価。
千原さんからコメントをもらったニッポンの社長やロングコートダディは、「よくそこを見ていただいた」という嬉しさを噛みしめるリアクションしていたのも印象的でした。
普段のジュニアさんとは雰囲気が違って、若手をふざけていじるような場面がほとんどない低姿勢かつ真面目で紳士な審査態度も審査員として非常に好印象だったのではないでしょうか。
◆「コント漫才」は漫才?審査員長が語る評価の境界線
また、漫才とコントの二刀流王者を決める大会において、開催前から「漫才の中でコントを演じる“コント漫才”はどう評価するのか」という疑問がお笑いファンの間で議論されていました。
そうした中、女性に扮するコントを得意とするコットンが漫才でも女性に扮するコント漫才を披露したことに対して「相方の西村がコントに入らず、西村のままで漫才をしていたから漫才として評価した」と千原さんが語っていました。
第2回開催に向けたコント漫才に対する番組としての解となるようなコメントを残した千原さんは、審査員長としての存在感を大いに出していたのではないでしょうか。
2017年から放送されている『千原ジュニアの座王』(関西テレビ)では、千原さんが企画立案とMCを務めています。若手芸人たちに即興で漫才やコント、大喜利、ギャグ、歌ネタなどを競わせ、ジャンルごとのお笑いポテンシャルを引き出してきた千原さん。
若手たちの多方面の面白さやお笑いのそれぞれのジャンルにおける違いを考え続け、お笑いを探求し続けている千原さんがM-1でもKOCでもない『ダブルインパクト』の審査員長席に座ったのもこれまでの功績を見ても必然だったのかもしれません。
◆審査員長として大会を盛り上げる存在感
ニッポンの社長の優勝が決まった番組終了間際、千原さんは「私には何の権限もございませんが、『ダブルインパクト』第2回開催決定です」と宣言。大会を締めくくる最高の盛り上がりを見せるコメントでフィナーレとなりました。
松本人志さんがテレビから姿を消し、お笑い賞レースが乱立する中、各テレビ局が新たなお笑いイベントを盛り上げることに躍起になっている現在。
千原さんが見せた審査員長としての技量が、来年以降の『ダブルインパクト』に対する期待値や注目度を大きく左右することは間違いないでしょう。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中