2025スーパー耐久第5戦オートポリス フィニッシュ後のTKRI松永建設AMG GT3とDENSO LEXUS RC F GT3 7月27日、大分県のオートポリスでENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第5戦『スーパー耐久レース in オートポリス』の決勝が開催され、ST-Xクラスの23号車TKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/片岡龍也/奥本隼士/中山友貴)がトップチェッカーを受けるも、ペナルティにより31号車DENSO LEXUS RC F GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/小林利徠斗/嵯峨宏紀)が総合優勝を飾っている。
7月上旬の第4戦SUGO大会を終え、シーズン後半戦に突入した2025年のスーパー耐久シリーズ。3週間のインターバルを挟んで迎えた第5戦は、九州オートポリスでの5時間レースだ。今回はST-Z、ST-1の2クラスがお休みとなるが、8クラス48台が名を連ねた。
第5戦オートポリスのレースウイークは木曜日の特別スポーツ走行から晴天に恵まれたが、日曜決勝日は11時のレーススタートに合わせるように雨が降り始める。一部車両のワイパーが動くなかで始まったフォーメーションラップでは、中継カメラでも雨粒が確認できたものの、気温33度という暑さのためコースを濡らすまでには至らず。
その決勝スタートでは、101号車Hitotsuyama Audi R8 LMS(鈴木建自/小川颯太/ジェームス・プル/猪爪杏奈)が3番グリッドからホールショットを決め、総合ポールポジションの31号車DENSO LEXUS RC Fからトップを奪う。2番手には前戦ウイナーの777号車D'station Vantage GT3(星野敏/上村優太/藤井誠暢)が浮上し、31号車DENSO LEXUS RC Fは3番手、ランキングトップのTKRI松永建設AMGが4番手でオープニングラップを終えた。
スタートから30分ほど経過すると雨は止み、太陽がコースを照らす夏空がオートポリスに広がる。総合優勝を争うST-Xクラスは、開始から1時間を迎えるころに各車が最初のピットインを行う。その後はジェントルマンとプロドライバーのスティント違いで順位が入れ替わり、レース中盤には片岡と中山が追い上げを見せた23号車TKRI松永建設AMGが総合トップを走行する。
残り2時間22分では、3コーナーから4コーナーの間でST-TCRクラスの96号車Racer ホンダカーズ桶川 CIVICがクラッシュ。マシンがストップしたためフルコースイエロー(FCY)とセーフティカー(SC)が導入され、SC中に各クラスとも多くの車両がピットストップを実施。レースは車両回収完了後の残り2時間4分で再開され、後半に入っていく。
レース残り1時間を切ると各車が最後のピットインを終え、総合トップの23号車TKRI松永建設AMGは奥本がラストスティントを担当。今季2勝目に向かって快走を続けていたが、残り3分のターン11進入でST-5クラストップの88号車村上モータースMAZDAロードスターと接触、ともにスピンを喫し一時マシンをストップさせてしまう。
23号車TKRI松永建設AMGは自力で、88号車村上モータースロードスターはオフィシャルの手を借りてコースに復帰したが、このクラストップ同士の接触は23号車TKRI松永建設AMGの『危険なドライブ行為』と判定。23号車TKRI松永建設AMGはトップチェッカーを受けたが30秒のタイム加算ペナルティが科され、2位フィニッシュの31号車DENSO LEXUS RC Fが急きょのAドライバー交代によるドライブスルーペナルティを乗り越え、今季初の総合優勝を手にする結果となった。
目前の総合優勝を接触で逃した奥本は「自分のミスでレースを台無しにしてしまいました。反省しています」とレース後に語った。
「88号車の皆さんにもご迷惑をおかけしてしまいましたし、みんながトップで繋いでくださった中で、リードもありマージンをとって走れば良かったのに、ミスをしてしまいました。ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいです」
5台が参戦したST-TCRクラスは、97号車Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC(遠藤光博/中野信治/ジャック・ヤング)がクラスポールポジションからトップを譲らずに優勝。19号車BRP★NUTEC 制動屋 CUPRA TCR(東風谷高史/末廣武士/奥住慈英/大野尊久)が2位、98号車WAIMARAMA Elantra N TCR(KIZUNA/リ・ジョンウ/千代勝正/桝本隆介)が3位に続いた。
ST-2クラスは、6号車新菱オートDXL☆ネオグローブEVO X(冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄/松沢隆弘)がクラスポールを獲得するも、スタートで72号車OHLINS CIVIC NATS(金井亮忠/山野哲也/野島俊哉)がトップに立つ。しかし、レース後半には燃費の良さなどを活かした225号車KTMS GR YARIS(富下李央菜/鈴木斗輝哉/平良響)が逆転し、開幕戦以来となる今季2勝目を挙げている。
ST-3クラスは15号車岡部自動車フェアレディZ34(前島秀司/長島正明/銘苅翼/元嶋成弥)が終始レースをリードしていたが、残り30分のホームストレートで僚友の16号車岡部自動車フェアレディZ34(田中徹/清水啓伸/三宅淳詞/小松響)がクラストップを奪うと、そのまま岡部自動車がワン・ツーフィニッシュを飾った。
ST-4クラスは、ポールこそ66号車odula TONE MOTUL ROADSTER RF(猪股京介/藤原優汰/徳升広平)が獲得するが、レース中のペナルティで後退。終盤には3号車ENDLESS GR86(坂裕之/菅波冬悟/小河諒/島谷篤史)と884号車シェイドレーシング GR86(影山正彦/清水英志郎/山田真之亮)がトップに立つと、そのまま3号車ENDLESSが今季初優勝を達成した。
ST-5Fクラスはスタートから随所でバトルが展開。クラスポールから67号車YAMATO FIT(安井亮平/内山慎也/椋本陵)と4号車THE BRIDE FIT(太田侑弥/新井薫/瀬戸貴巨/蘇武喜和)がトップを争うも、残り12分で17号車DXLアラゴスタNOPRO☆DEMIO(加藤芳皓/小西岬/山本浩朗/野上達也)がトップに立つ。
17号車DXLアラゴスタNOPRO☆DEMIOは、そのままST-5Fクラス優勝を獲得。2位には4号車THE BRIDE FITが入ったものの、3位チェッカーの67号車YAMATO FITが最終戦を前に今季のチャンピオンを確定させた。
そして、ST-5Rクラスはクラスポールから88号車村上モータースロードスター(村上博幸/太田達也/黒沼聖那/吉田綜一郎)がトップをキープし、優勝での王者決定に向けて走行していたが、先述のとおりレース残り3分でST-Xクラストップの23号車TKRI松永建設AMGと接触してしまう。
この接触で88号車村上モータースはグラベルにスタック。オフィシャルの手を借りてレースに復帰し、5位フィニッシュとランキング首位の座は守ったものの、チャンピオン決定は次戦に持ち越しとなった。レースは610号車KOSHIDO RACING ロードスター(佐藤元春/柴田優作/浅井康児/山本謙悟)がチーム初優勝を達成している。
4台の開発車両が参加したST-Qクラスは、今回初登場の271号車CIVIC TYPE R HRC Concept(大津弘樹/野村勇斗/辻本始温)が安定した走りで総合6位フィニッシュ。車両のベースとなるTCR勢に割って入る速さをみせた。
104号車GR Yaris DAT Racing Concept(大政和彦/山下健太/中山雄一/松井孝允)はクラス2位となる総合13位、32号車TGRR GR Yaris DAT(MORIZO/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康宏)は総合21位で完走。28号車TGRR GR86 Future FR concept(佐々木栄輔/坪井翔/福住仁嶺/豊田大輔)はマシントラブルの影響もあり、チェッカーこそ受けたが完走扱いにはならなかった。
これで今季7戦のうちの5戦を終えた2025年のスーパー耐久シリーズ。次戦はおよそ3カ月後の10月25〜26日に岡山国際サーキットで開催される第6戦だ。なお、その第6戦はST-4クラスがお休み、ST-5F/Rクラスは第7戦がお休みとなるため、ST-5車両にとっての今季最終戦となる。
[オートスポーツweb 2025年07月27日]