村上春樹 ギリシャにある“ハルキ島”に行ったときの話「好奇心で実際に足を運んでみました」

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2025年07月28日 17:10  TOKYO FM +

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村上春樹 ギリシャにある“ハルキ島”に行ったときの話「好奇心で実際に足を運んでみました」
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00〜19:55)。7月27日(日)の放送は「村上RADIO〜村上の世間話7〜」をオンエア。村上さんが何気ない日常の中で体験したエピソードを、村上DJが選曲したグッドミュージックとともにお届けする好評の「村上の世間話」シリーズ。ギリシャのハルキ島を訪れた際のエピソードなどを披露しました。



◆Don McLean「You Gave Me A Mountain」
ギリシャにハルキ島という島があります。そこはいったいどんな島なんだろうと思って、好奇心で実際に足を運んでみました。暇だったんですね。その経緯はたしか『遠い太鼓』という旅行記に書いたので、詳しいことは省きますが、なかなかのんびりとした鄙(ひな)びた素敵な島でした。ほんとになにもないところで。

それからこのあいだ初めて知ったのですが、この地上にかつてハルキゲニアという生き物が存在していたんです。ビル・ブライソンの書いた『人類が知っていることすべての短い歴史』という本に出ていました。これはとっても面白い本なので、もしお暇だったら読んでみてください。暇つぶしには最適です。

ハルキゲニアというのは、カンブリア紀に登場したへんてこな、虫みたいな生き物の名前です。カンブリア紀はだいたい4億年から5億年くらい前のことですから、気候が温暖化したこの時期には、ものすごくたくさんの新しい生物が地球に登場しました。その中には「なんでこんなへんてこなものが」というものが数多くありまして、そういう連中はあまりにもへんてこすぎて、試作品みたいな感じですぐ淘汰されていなくなってしまったのですが、少しは化石になって残っています。そういうもののひとつに「ハルキゲニア」がいます。ハルキゲニアは体長1センチから5センチ、竹馬のような10対のすごく長い脚と、7対のとがった棘(とげ)を持っています。絵で見ると結構気味の悪い生き物です。こんなけったいなやつにハルキって名前がついちゃうのかなあ……と感心してしまいます。

ハルキというのは英語でいう「hallucination(幻覚)」の語源で、ハルキゲニアは「幻覚から産み出されたような奇怪な生き物」という意味になります。知っていてもあまり役に立ちそうにない知識ですが。

ドン・マクリーンが、カントリー歌手マーティー・ロビンズの作曲した「You Gave Me A Mountain」を歌います。あなたは山のように大きなものをくれた。素晴らしい曲なのですが、ロビンズ自身の歌ったレコードはほとんど注目されなくて、後にフランキー・レインとエルヴィス・プレスリーのカバーしたバージョンがヒットしました。ロビンズさん、気の毒です。

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<番組概要>
番組名:村上RADIO 〜村上の世間話7〜
放送日時:7月27日(日)19:00〜19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
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