来季2026年より新規参入を果たすトヨタ陣営が、シリーズ投入を予定する『A90型GRスープラ・スーパーカー』 オーストラリア大陸が誇る最高峰“ティントップ”シリーズ、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップにて、来季2026年より新規参入を果たすトヨタ陣営は、投入を予定する『A90型GRスープラ・スーパーカー』の貴重な開発最新事情を公開。同車は今後数週間以内となる8月末までにはトラックデビューを果たし、TOYOTA GAZOOO Racingオーストラリアのホモロゲーション登録担当チームを務めるウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)は、現ラインアップのチャズ・モスタートとライアン・ウッドに来季のレースシートを託すことを確約した。
すでにアナウンスされているとおり、トヨタは2026年のRSCに合計6台のGRスープラを投入する予定で、ファクトリー支援の開発を担うホモロゲ登録チームのWAUに加えて、ブラッド・ジョーンズ・レーシング(BJR)が伝統的な4台体制で参戦することが発表されている。
そのWAUで共同オーナーを務めるライアン・ウォーキンショーは、7月11〜13日に開催された第7戦『Townsville 500(タウンスヴィル500)』を終えてメルボルンへと飛び、来月オープン予定のウォーキンショー・グループの新本社とトヨタの開発施設を視察した。
「先週はタウンスヴィルのイベントのためオーストラリアに滞在し、その後の数日間はメルボルンに立ち寄って新しい施設を見学して、いくつかのミーティングをこなした」とポッドキャストの『Rusty's Garage(ラスティーズ・ガレージ)』に語ったウォーキンショー。
「私がそこに行きたかった主な理由のひとつは、プロトタイプの進捗状況を確認するためだった。そして開発計画は順調に進んでいることを理解した。ほぼ準備は整っていて、クルマはダミーエンジンを搭載し、エンジンはまだ開発段階だが、この4〜6週間以内にプロトタイプがコースを走れることを期待している。とても楽しみだね」
トヨタのプログラムが数週間以内に初めてシェイクダウンを迎えることになる一方で、ウォーキンショーはフォードとのパートナーシップ最終年でのチャンピオンシップ獲得に全力を注いでいる、とも付け加える。
「それ自体が巨大なプログラムだが、スーパーカー・チャンピオンシップへの挑戦と(将来的な開発や投資を)連携させようとすると、その運営は非常に複雑になる。スーパーカーの世界では、まだ2台体制の小規模なチームだからね」
長らくホールデン・レーシング・チーム(HRT)のホモロゲ登録担当のステータスを維持しながら、アンドレッティ・グローバルとの資本提携を経て2023年にブルーオーバルに加入して以来、WAUとモスタートはフォードの先鋒であり続け、昨季2024年の半ばにはチャンピオンシップ獲得目前まで迫りながら、最終的にランキング3位でシーズンを終えていた。
■「最初のGRスープラが疾走する姿は興奮するだろう」とウォーキンショー
その結果も受け、ウォーキンショーは古豪ディック・ジョンソン・レーシング(DJR/フォード陣営のホモロゲ担当チーム)が開発したパッケージに不満を募らせており、車両開発を担う認証登録担当の取得はチームにとって重要な節目となる出来事であると同時に、シーズン後半はそれぞれのクルーがタスクに集中し続ける必要があると強調した。
「現在進行形でレースに出場しながら、来季向けの開発プログラムに割り当てられる人員は限られているため、チームにとっては大きな負担で膨大な作業量になる。通常のシーズンを運営し、競争力を維持するだけでも、すでに最大限の能力を発揮しているわけだからね」と続けたウォーキンショー。
「本来ならマシンがサーキットで速く走れるようにするために割り当てられる時間の50%を、突然『わかりました。では来季に向けて新しいレースカーを開発しよう。完璧なものにしなければ!』と言わなければならないんだ。とくにトヨタのブランドを冠するマシンだし、信頼性と競争力が求められる。本当に大規模なプロジェクトだよ」
そのウォーキンショーは、チームにとってGRスープラの開発は必ずしも順調ではなかったと明かしつつ、作業遅延の可能性をスケジュールに織り込みながらプロジェクトは予定どおりに進んでおり、同時に今季のスタンディングでも、モスタートとウッドの両ドライバーを暫定ポイントでトップ10圏内に位置付けることができている。
「幸いなことに、我々には本当に優秀な人材がいる。カール・フォーが数人の小さなスカンクワークス(秘密開発部門の通称)チームとともにプログラムを率いており、これまでのところ目標達成に向けて非常に大きな成功を収めている」とウォーキンショー。
「このようなプロジェクトではよくあることで、何度か遅延はあったが、幸いなことに我々は常に充分な資金をプログラムに投入することで、最終的にスケジュールに間に合うよう維持してきた」
「すべてがほぼ順調に進んでいる。実際にマシンをサーキットに投入してテストを始めるのが本当に楽しみだ。ファンの皆にとって、最初のGRスープラがサーキットを疾走する姿を見るのはきっと興奮することだろう。私もとても興奮しているよ」
そんな状況下のなか、陣営の一翼を担うBJRも現地時間先週金曜にチームのソーシャルメディアチャンネルを通じ、BJRトヨタ初のシャシー製造の進捗状況を公開。新造シャシーのフレームワークを披露している。
「製造現場は非常にエキサイティングな時期を迎えている」と語ったチームオーナーのジョーンズ代表。
「これは私たちにとって初のトヨタGRスープラ・スーパーカーになる。すべてのバーが所定の長さにカットされた状態で届き、まるでメカノセットのようだ。それを溶接していく。フロント部分はほぼ完成しており、フロアは最後の作業のひとつだ。完成まであと約1カ月というところで、我々にとっても本当に、本当にエキサイティングなプロセスだよ」
[オートスポーツweb 2025年07月28日]