
【写真】香川照之、“災い”をもたらす“男”役を怪演 インタビュー撮り下ろし&場面カット
本作は、今年5月からWOWOWで放送された連続ドラマW『災』をリビルドした劇場版。各話完結する全6話の物語を、時系列や展開を大胆に再構築することで、世界観やテーマ性を引き継ぎながらもまったく新しい新作映画として生まれ変わらせた。
本作は、その独特な映画の構造によって、観客を未知なる“恐怖”に導いていく異色のサイコ・サスペンス。交わることのない“6人”とそれぞれの日常に、いつの間にか紛れこんでいるひとりの“男”。しかし、その異質さに気づく者は誰もいない。唯一すべてを見渡している観客だけが、男の存在に底知れぬ恐怖を抱くことになる。そして6人の人生には、なんの前触れもなく”災い”が降りかかる――。
手掛けたのは、これまでに短編映画2作がカンヌ国際映画祭に正式招待され、長編デビュー作『宮松と山下』ではサン・セバスティアン国際映画祭の「New Directors」部門に正式招待されるなど、斬新な映像表現で発表する作品ごとに世界の注目を集めてきた監督ユニットの2人。NHKのドラマ演出などで活躍してきた関友太郎と、8月29日公開の注目作『8番出口』で共同脚本を務めている平瀬謙太朗が、本作の監督・脚本・編集を担当している。
このたび、本作が、スペイン語圏最大級であり、ヨーロッパでも高く評価されている映画祭のひとつ、サン・セバスティアン国際映画祭のコンペティション部門に正式招待されることが決定した。近年の同映画祭では、『百花』(2022)で川村元気監督が監督賞を、『大いなる不在』(2023)で藤竜也が最優秀男優賞を受賞し、いずれも日本人初の快挙として大きな話題を呼んだ。世界はもちろん、日本国内からの注目度も高い映画祭である。
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また、正式招待の発表にあわせて、香川照之演じる“男”が暗闇の中で振り返る不穏な場面写真が解禁。あわせて、関・平瀬監督、そして主演・香川からのコメントも到着した。
映画『災 劇場版』は、2026年公開予定。
※香川照之、関友太郎、平瀬謙太朗のコメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■主演・香川照之
「5月」組の監督たちと初めて組んだ『宮松と山下』も充分に狂った作品だったが、今作『災』は6話連続だった長尺のドラマ版でさえ難解奇妙な物語だったものを、三分の一の尺の2時間の映画に編集し直してさらに混迷を極め、理解不能が大前提のような狂作へとぶっ返り、それを2作連続で自身の映画祭に、しかも今回は猛者たちが群雄割拠するコンペティション部門へ招いたというサン・セバスティアンの勇猛果敢さには心底頭が下がる。シーンの順番は滅茶苦茶、私が演じる多岐にわたる人物像がさらにそれを混沌とさせ、一体現地の人たちはどこまでこれを理解するというのだろう。
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世界屈指の美食の街サン・セバスティアン。何はともあれ、そこから黒船は出発する。心配である。
■監督・脚本:関友太郎(監督集団5月)
ドラマから産声をあげた風変わりな映画が、サン・セバスティアンという世界的な舞台に呼んでもらえたこと、本当に嬉しく思います。8人の男をさも当たり前のように怪演してくださった香川さんをはじめ、『災』の世界を作り上げた俳優・スタッフの全仕事がただただ誇らしいです。映画愛が溢れかえっているあの街で、この得体の知れぬ作品がどう受け止められるのか…。緊張と興奮が渦巻いたまま上映当日を迎えることになりそうです。
■監督・脚本:平瀬謙太朗(監督集団5月)
意味もなく、前触れもなく、慈悲もなく、悪意すらなく私たちの人生を壊すものを、人は「災い」と呼びました。それは、恐ろしいほど乱暴な現象にも関わらず、いざ相対するまで、一体、どこに潜んでいるのか感じ取ることすらできません。その"目に見えぬ恐怖"を”今までにない形”で描こうと試み、この『災』という作品が生まれました。
”今までにない形” ということを大切にしたので、結果、ドラマと映画、それぞれまったく違う作品になりました。映画『災』は、映画にしかできない形で、観る人の胸中に"目に見えぬ恐怖"を静かに呼び起こします。
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そして、まずは世界に問うことになりましたが、2026年にはこの”恐怖”と”形”を皆様にもお届けします。