世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の土地の仮差し押さえ決定について記者会見する全国統一教会被害対策弁護団の村越進団長(中央)ら=30日午後、東京都千代田区 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者らが献金の返還や慰謝料を求めた集団調停で、東京地裁は30日までに、教団本部(東京都渋谷区)が建つ土地の仮差し押さえを認める決定を出した。18日付。全国統一教会被害対策弁護団が都内で記者会見して明らかにした。
決定により、教団は本部の使用は続けられるが、財産として処分したり、移転したりすることが困難になる。村越進弁護団長は「資産隠しの恐れが高く、一定の財産保全が実現した」と評価した。
弁護団によると、これまでに元信者ら197人が計約59億円の損害賠償を求めて調停に参加。このうち10人が先月10日、計約2億2600万円の債権保全のため、仮差し押さえを申し立てていた。地裁は決定で、元信者らが教団側から損害を被ったと判断し、賠償請求権を認めた。
旧統一教会の被害者救済を巡っては2023年12月、教団の財産移転を防ぐため監視を強化する特例法が成立した。弁護団は今回初めて同法を活用し、保全手続きに必要な担保金を用意したという。弁護団によると、教団本部の仮差し押さえは1993年6月以来。
東京地裁は今年3月、教団に対し、民法上の不法行為を根拠とした初の解散命令を決定。教団側が不服として即時抗告し、東京高裁で審理が続いている。高裁が地裁決定を支持した場合、その時点で命令の効力が生じ、宗教法人格を失うため、財産移転への懸念が出ていた。
旧統一教会は「民事調停で誠実に対応を続けており、一方的な仮差し押さえは非常に遺憾だ」とコメントした。