北海道電力泊原発。左から1、2、3号機=2024年3月、北海道岩内町から撮影 北海道電力は泊原発3号機について、2027年の「できるだけ早い時期」の再稼働を目指し準備を進める方針だ。ただ、実現までには越えなければならないハードルが複数残っている。
まずは「地元の同意」が欠かせない。泊村など周辺自治体で反対する動きは見られないが、鈴木直道知事は原子力規制委員会の決定に先立つ25日の定例記者会見で「道議会などでの議論などを踏まえて適切に対応していきたい」と述べ、慎重な姿勢を崩さなかった。
また、札幌高裁で続く泊原発運転差し止め訴訟の行方も注目される。一審札幌地裁は22年、規制委での当時の審査状況を踏まえて「津波に対する安全性の基準を満たしていない」と判断し、運転差し止めを命じた。ただ、各地の原発で起こされた同種訴訟では、新規制基準に適合していれば運転を認める判断が続いており、結論が変わる可能性がある。
この二つをクリアして再稼働できたとしても、核燃料の搬入に課題が残る。規制委から、輸送船が津波で防潮堤にぶつかる可能性を指摘された北海道電は、泊村内に新港を建設する方針を表明。専用の輸送路も新設するため、工期は「一般的に考えると4年程度」との見方を示している。
現在、同原発には数年ほど運転できる核燃料が保管されているが、新港と輸送路の完成が遅れた場合は、運転停止を余儀なくされる恐れもある。