日米関税交渉の合意について、自動車業界と意見交換する石破茂首相(左から4人目)=31日午後、東京都港区(代表撮影) 石破茂首相は31日、東京都内で自動車業界関係者と日米関税交渉の合意について意見交換した。首相は冒頭、米国が日本からの輸入車に課す追加関税の半減で日米が合意したことについて、業界の協力に謝意を示した。その上で「自動車産業を皮切りに、関係閣僚が直接出向き合意について事業者に懇切丁寧な説明を行う」と表明した。
日本自動車工業会の片山正則会長(いすゞ自動車会長)は「サプライチェーン(供給網)全体を含めた日本の自動車産業への壊滅的な影響が緩和された」と合意を評価。保護主義などで高まる不確実性に対処するため、供給網の維持支援や、国内需要の喚起に向けた税制上の措置を求めた。
意見交換会は約1時間に及んだ。終了後取材に応じた片山氏によると、出席者の一部からは米国の工場で製造した車を日本に輸入する「逆輸入」に前向きな姿勢が示された。
日本自動車部品工業会の茅本隆司会長(日本発条会長)は冒頭、既存分を含めて自動車と自動車部品の各計27.5%の関税が15%まで低下する合意内容を「意義深い」と述べた。ただ「価格、数量両面で影響が出ることは避けられない」とも指摘し、資金繰りに加え、自動車メーカーが米国に生産の移管を進めても国内生産台数が減らないよう支援を求めた。
一方、自動車関税の引き下げを巡っては、赤沢亮正経済再生担当相が同日、「(大統領令の署名に)時間がかかる可能性がある」との認識を示した。赤沢氏は首相官邸で開かれた関税に関するタスクフォースの終了後に記者団の取材に応じ、8月1日に税率を引き下げるよう米側に働き掛けを続けていると説明した。