【ワシントン時事】赤沢亮正経済再生担当相は「想定外」となった今回の訪米で、日米合意の履行を確認した。7日発動の相互関税は「米側内部の事務処理」(同氏)を理由に、日本が意図しない形で一律15%上乗せされた。赤沢氏は、合意文書を作成していないことによる影響は否定した。
日米合意と違う大統領令が出ている状態は、双方にとって心地の良いものではない―。
赤沢氏はラトニック商務長官、ベセント財務長官との協議後、記者団にこう語った。「このタイミングで訪米することは想定していなかった」と、急きょの訪米だったと説明した。
日本政府にとって、米国との合意後、最大の関心事は自動車に対する追加関税の引き下げ時期だった。ただ、トランプ大統領が署名した大統領令には日本が合意したはずの相互関税の「特例」はなく、発動が迫る中で論点に急浮上。協議を通じ、合意履行の言質を取り付けた。
米側との合意文書を作らなかったことが食い違いにつながったとの見方も強まった。ただ、赤沢氏は「短期間で共同文書作成を目指したら(関税発動の)期限に間に合わず、相互関税は25%の上乗せになっていた」と指摘。反省する点はあるか聞かれると、「特にない」と強気に語った。
今回、赤沢氏は自動車関税の引き下げに必要な大統領令と同時期に相互関税を修正する大統領令を出すことも確認した。赤沢氏は「早いに越したことはない、ということは言わなくても互いの共通認識としてある」と話したが、「全てはトランプ大統領次第」(米政府高官)の米政権との交渉には常にリスクがつきまとう。