<卓球:WTTチャンピオンズ>◇11日◇最終日◇横浜BUNTAI◇男子シングルス決勝◇観衆4353人
世界ランク4位の張本智和(22=トヨタ自動車)が、3年ぶり2度目の優勝を飾った。男女日本勢で唯一最終日に残り、準決勝突破後に世界王者で同2位の王楚欽(中国)に挑戦。過去2勝12敗で8連敗中だった難敵を4−2で振り切り、3年ぶり勝利を挙げた。今季最大の舞台だった5月の世界選手権は3回戦敗退。失意を経て、自国開催で世界の最前線に身を置く日本のエースが意地を見せた。
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右拳を振った張本が、上半身裸で喜びを爆発させた。3ゲーム(G)先取しながら、王者の逆襲で2Gを失う苦しい展開。そこからあえて封印したバックハンドの攻撃的レシーブ「チキータ」を解禁した。序盤から「チキータは得意ですが、王楚欽だけがそれを倍に返してくる」とラリーに持ち込み、常に先手を奪った。戸惑う王者を押しきり「本当に信じられないです。僕の優勝というより、横浜、日本の皆さんの優勝だと思います」とかみしめた。
5月にドーハで行われた世界選手権。今季最大の舞台で自身初のメダルを狙ったが、戸上隼輔との日本勢対決に敗れた。帰国後も「(得たものは)特にない」と絞り出し「まずはランキングでトップ5、10を維持することが一番だと思う」と懸命に切り替えた。大会前にはSNSで「血のにじむような練習をして海外で勝つ、そしてそこから世界ランキングを上げる。という感覚を今のTリーグルールはつぶしていると思います」と独自ルールに持論を展開した。デュースなし、各試合の最終ゲームは6−6から始まるといった仕組みに異論を唱えたからこそ「発言した尻拭いのためにも、王楚欽に一矢報わないと男じゃないと思った。僕が勝ったことで、あの日の発言を少しは証明できたと思います」と胸を張った。
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世界ツアーのWTTはランキングのポイント獲得に重要で、今回のチャンピオンズは5種類の大会の3番目の位置付けとなる。対戦成績を3勝12敗としたが、1勝に満足する気はない。
「彼はずっと世界1位をキープし続けて、今回1回負けたぐらいでは地位は揺るがない。それをいつか脅かせられるように、今日の1勝を、2勝、3勝としないと意味がない。それにつながる少し大きな穴を開けられた。その穴を、もっと大きくしたいと思います」
世界で戦う男の姿を、チャンピオンズ初開催だった日本で示した。【松本航】
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