※写真はイメージです元メガバンク行員の金融ライター、渡辺智です。
筆者はメガバンクに11年間勤めた経験があり、FP1級の知識を活かして5000人以上のお金に関するコンサルを行ってきました。
富裕層からマス層まで多くの顧客の資産運用の相談に乗ってきましたが、「銀行で資産運用するのは注意が必要」と強く思っています……。
今回は、「元銀行員が暴露する、銀行が本当は知られたくない営業の事実」について解説をします。
◆銀行員は営業成績につながる「外貨建て保険」を売りたがっている!
銀行のリテール営業(個人顧客)を担当する営業員は、基本的に「収益」と「ストック」で評価されます。
収益を稼ぐためには、手数料が高い金融商品を販売する必要があるので、「外貨建て保険」を販売したがる傾向にあります。
投資信託や外貨預金の手数料は0.5%から4%程度ですが、外貨建て保険の場合、最高で10%程度の手数料が入ります。
銀行が効率よく稼ぐために外貨建て保険の販売は必須なのです。
そもそも、銀行でいう外貨建て保険とは、米ドルや豪ドルで運用される保険のことで、一時払い(一括)で保険料を支払ってもらうのが一般的になります。
毎月や毎年、保険料を支払う平準払いの保険はあまり儲からないため、ほとんどの銀行では力を入れていません。
顧客が契約して保険料を一括で支払う外貨建て保険は、その瞬間に大きな手数料が得られるため、多くの営業員が販売したがるのです。
もちろん外貨建て保険も使い方によっては非常に良い商品です。
日本の金利は低いので、大きな死亡保障を準備するためには、高額の保険料が必要になりますが、米ドルや豪ドルの金利は高いため、日本円に比べて少ない保険料で大きな保障の準備ができます。
少ない保険料で大きな保障を得られる可能性があるため、一見すると良い商品に見えますが、手数料があまりにも高いため、あまりおすすめできません。
しかし、銀行の営業員の立場から見ると、大きな手数料を手軽に稼げるため、顧客が保有している本当は売却する必要のない投資信託や外貨預金を外貨建て保険に切り替えたがるので注意しましょう。
もし、外貨建て保険に興味がある場合は、必ず手数料についてはしっかり確認するようにしてください。銀行員の言いなりになると、ろくなことがないです。
◆銀行は投資信託や保険を解約されたくない!
現在のリテール営業で最も重視されているのが「ストック」です。ストックとは投資信託や外貨預金の残高のことです。
残高が増えれば増えるほど営業員や所属している支店の評価が上がるため、必死になってストックを積み上げようとします。
ストック重視のビジネスならば、手数料の高い投資信託などを売りつけられる危険性が少なくなるのはメリットですが、顧客の残高が減ってしまうと大きく評価が下がるため、なかなか投資信託や外貨預金を解約させてくれない弊害があります。
大きな利益が出ていたら、解約したいと思うのは当然です。
しかし、銀行の営業員は解約されると自分の評価が下がってしまうため、あの手この手を使って何とか投資信託や外貨預金の解約を防ぎにかかります。
これでは、正しい資産運用とはいえません。
あくまで資産運用は目標を決めて状況に応じて売買をするのが基本です。頻繁な売買はもちろん良くありませんが、全く解約しなければ何のために資産運用をしているのか分かりません。
多くの銀行はこのような評価体系になっているため、銀行で資産運用をする際は皆さん気をつけてください。
◆銀行での資産運用には注意が必要
今回の記事では、「銀行が本当は知られたくない営業の事実」について解説をしました。
銀行で取り扱っている商品は以前に比べるとだいぶ良くはなっていますが、評価体系が今回説明したような内容になっているため、やはりネット証券などを使って資産運用を行うのが良いと私は考えます。
もちろん、富裕層などは、銀行で資産運用をすると特別なサービスを受けられるなどの特典があるので、一概に銀行での資産運用が悪いとはいえません。
しかし、富裕層でない一般の人たちは、銀行での資産運用は注意した方が良いでしょう。
<文/渡辺智>
【渡辺智】
某メガバンクに11年勤務。リテール営業やプライベートバンカー業務を経験。その後、外資系保険会社で営業。現在は金融ライターとして独立。FP1級保有。難しい「お金の話」をわかりやすく説明することをモットーにしています。公式SNS(X)は、@watanabesatosi7