盟主コペツキーが前人未到のズリン12勝目。全日本王者の新井大輝はR5最上位/ERC第6戦

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2025年08月22日 18:30  AUTOSPORT web

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これが20回目の出場となった地元の盟主ヤン・コペツキー(シュコダ・ファビアRSラリー2)が前人未到の大会通算12勝目を飾る結果に
 真夏のターマック(舗装路)連戦に突入しているERCヨーロッパ・ラリー選手権の第6戦『Barum Czech Rally Zlín(バルム・チェコ・ラリー・ズリン)』が8月15〜17日に開催され、これが20回目の出場となった地元の盟主ヤン・コペツキー(シュコダ・ファビアRSラリー2)が前人未到の大会通算12勝目を飾る結果に。併催のチェコ国内ラリー選手権登録で出場した全日本チャンピオンの新井大輝(シュコダ・ファビアR5)は、旧規定モデル最上位となる総合15位で週末を終えている。

 例年、地元スペシャリストが順当な優位性を発揮するチェコを代表するターマック戦は、やはり金曜の予選ステージから同国出身ドミニク・ストリーテスキー(シュコダ・ファビアRSラリー2)が最速を刻む幕開けとなったが、自身は「まだ予選に過ぎない、厳しいラリーになるだろう」との慎重な見通しを語った。

「2024年よりも優勝するのはずっと難しくなるだろう。速い選手がたくさんいて、誰もが勝ちたいと思っているからね」と続けた前年度覇者のストリーテスキー。

 その予言どおり、続く金曜夜のスーパースペシャルステージ(SSS)では、ピレリタイヤを装着したアンドレア・メベリーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が番狂せの最速タイムを刻んでみせる。

「このステージは完璧に理解していた。シミュレーターで何時間も練習したおかげだね」とブービー・スタートからベストを奪取したメベリーニ。「本当に楽しかった。このステージと、この地域のファンの人たちが本当に大好きだ。最高のスタートだよ」

 しかし主導権を握ったメベリーニの栄光は長く続かず、本格ステージ群突入の土曜早朝SS2では、ミシュランタイヤを装着したコペツキーが早々のベストタイムでステージを制し、一気にラリーリーダーに躍り出る。

 その土曜を通じて盟主に挑戦したサイモン・ワグナー(ヒョンデi20 Nラリー2ステップ2)だったが、正午のサービスタイムには1.2秒差まで詰め寄ったものの、SS7でタイヤの空気圧低下とハーフスピンに見舞われ、バトルから脱落し4番手に後退してしまう。

 そのSS7でベストを奪ったMスポーツ・フォード・ワールド・ラリーチームのジョン・アームストロング(フォード・フィエスタ・ラリー2)が、明けた日曜朝にその差を6.3秒まで縮めてみせるも、反撃はここまで。地元の観客の前で反応を見せたコペツキーが、フィニッシュに向けた“上がり”の5ステージでリードを拡大し、アームストロングに10.7秒差で通算12勝目を手にした。

「昨年のイベントの後では、今季もこんなに速く走れるとは思っていなかったから、今は震えが止まらない」と、歓喜のゴールランプを迎えたコペツキー。「本当に感謝している。コドライバー、チーム、そして皆のおかげで、ようやく報われたよ」

 一方、モータースポーツ・アイルランド・ラリー・アカデミーが支援する北アイルランド出身のアームストロングも、ERCで自己最高位タイの成績を飾り、今季2度目の表彰台を獲得した。

「最高の週末だった。全力でプッシュした。昨日は本当に楽しかったが、今日は正直言って、すべてをコントロールするのに頭を悩ませた。苦戦したよ」と、これでランキングでも3位に上昇したアームストロング。

 そしてSSSに続き最終パワーステージも制したメベリーニが、最後の表彰台スポットを奪取し、週末は7位に終わった選手権首位ミコ・マルチェク(シュコダ・ファビアRSラリー2)との差を11点にまで縮めた。

「信じられないよ。Mr.チェコ(ヤン・コペツキー)とここで戦えるなんて、夢のようだ。これまでの成果を誇りに思うべきだ」とメベリーニ。一方のマルチェクも「ペースが安定せず、完全に満足しているわけではない。良いステージが4つ、5つあったが、期待を下回るステージも4つ、5つあったね。だからこそ、表彰台ではなく7位を目指して戦っているんだ。最後までタイトル獲得を目指して、諦めないでいく」と、このズリンの難しさを表現した。

 そして併催の国内選手権登録でひさびさの海外ラリー挑戦となった新井大輝は、最終パワーステージが直前でキャンセルされる不運も経て総合15位でフィニッシュ。ラリー後には自身のSNSで「最新のラリー2にはまったく歯が立たなかったです。。。最後の最後まで世界最難関のターマックを肌で感じたラリーでしたが、来年も必ずここに戻ってきたい」との意気込みを綴っている。

 タイトル争いも終盤戦に突入したFIA ERCヨーロッパ・ラリー選手権の第7戦は、こちらもターマック戦となる『JDSマシナリー・ラリー・ケレディジョン』が9月5〜7日に開催される。

https://twitter.com/Hiroki_Arai82/status/1957159702543888555

[オートスポーツweb 2025年08月22日]

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