CARGUY Ferrari 296 GT3(Z.オサリバン/小林利徠斗) 2025スーパーGT第5戦鈴鹿 8月23日に三重県の鈴鹿サーキットで行われた、2025スーパーGT第5戦『SUZUKA GT 300km RACE』の予選。GT300クラスでは、61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)がポールポジションを獲得したが、0.310秒差の2番手には7号車CARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗)がつけ、チームがスーパーGTに参戦を開始してから5戦目で、初の最前列グリッドを獲得した。
■「100%のグリップを引き出すのが理想ですが、それはほぼ不可能」
ともにフォーミュラレースで結果を残してきたザック・オサリバンと小林利徠斗という、実力充分の若手タッグが走らせる7号車CARGUYフェラーリ。今季からスーパーGT参戦を開始したCARGUY MKS RACINGは、シーズン前半はレースごとに速さを見せる場面はありつつも、ペナルティもあって表彰台獲得まであと一歩というレースも見られたが、第5戦鈴鹿では予選2番手というチーム史上最高の順位につけた。
Q1を担当したオサリバンは鈴鹿でのスーパーGT参戦は初となり、予選日の感触について聞くと「初めてスーパーGTで鈴鹿サーキットを走るため、結果はまったく予想できなかったが、今のところは好調なペースに満足している」と前向きなコメントを返答。
「フロントロウは当然の好位置だ。正直なところ、予選で彼ら(61号車スバルBRZ)に勝てるとは思っていなかったからね。というのも、コンマ3秒の差は小さいものではない。もし1000分の3秒差ならさらに悔しかったのかもしれないが、今回は仕方ない」
そして明日の決勝へ向けてオサリバンは、「今週末はこの暑さ(編注:予選日は気温34度/路面温度47度を記録)なので、どのチームにとってもタイヤの保ちはかなり厳しいはずだ。良い結果を手にするには、タイヤのデグラデーション(性能劣化)がカギになると思う」と語った。
中居邦宏チーフエンジニアに聞いたところによると7号車は、リヤタイヤの保ちにまだ課題があるのだという。この点については、ミッドシップレイアウトというフェラーリ296GT3の素性が影響している部分も考えられ、決勝では足回りのセットアップやタイヤの内圧の調整次第で課題をいくらか解消できるかもしれないとのことだ。
そして、予選Q2でアタックを担当した小林は、「もちろんポールポジションを狙ってアタックしたので、悔しい気持ちもありますが、クルマのポテンシャルを出し切るということに集中した結果としてはよかったのではないかなと思います」と振り返る。
午前中の公式練習でCARGUY MKS RACINGはロングランを中心に取り組んでおり、タイムアタックの確認は両ドライバーそれぞれ一度のみだった。さらに、公式練習から予選にかけてはタイムの上り幅も大きく、予選はグリップレベルやマシンフィーリングの見通しが立てにくいなかでのアタックだったようだ。
「午前の公式練習のタイムと比較すると、僕のタイムは約2秒上がっていました。その領域での走りを想像しながら予選を走らなくてはいけなかったので、事前にグリップの上り具合を予想しつつ、タイヤに身を委ねてアタックするようにしました」
「それでも、限界ギリギリで走ることはなくて、ミスした時のリスクをなるべく減らすようにも心掛けていました。スーパーGTの予選は、グリップの上り幅の予測合戦なところもありますし、上がったグリップレベルに対して100%を引き出すのが理想ですが、それはほぼ不可能です。無理をして攻めすぎてしまえば、そこで予選はおしまいですから」
「ですので、考え得る理想のグリップを発揮できなかったとしても、いかにタイムをロスしづらい走り方でタイムを残すかという部分は、予選の戦い方として昨年から取り組んできたことでした。GT参戦2年目になって徐々に身についてきたので、今日の僕にできることはある程度できたのではないかなと思います」
最後には、「決勝は上手にレースをすることが大事になると思います。GTはドライバーの頑張りよりも、クルマのポテンシャルや戦略の差が大きく結果に影響すると思うので、レース全体をうまく走り切ることに集中したいです。勝ちたい気持ちはもちろんありますが、気持ちの力みが速さにつながるわけではないと思うので、まずはレースをやり切ります」と、小林らしい言葉選びで意気込んだ。明日の決勝は、初のフロントロウから戦うCARGUYフェラーリの走りから目が離せない。
[オートスポーツweb 2025年08月23日]