ブレイニーがレギュラー最終戦で集団決着を制覇。ボウマン、レディックがプレーオフ進出へ/NASCAR第26戦

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2025年08月26日 21:00  AUTOSPORT web

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写真判定の3ワイド勝負を制したライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が劇的な勝利を飾ることに
 いよいよレギュラーシーズン最終戦を迎えた2025年NASCARカップシリーズ。デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでの第26戦『コーク・ゼロ・シュガー400』は、残り3周で12番手から一気に順位を上げ、写真判定の4ワイド勝負を制したライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が劇的な勝利を飾った。

 この結果、すぐ隣で0.031秒差のフィニッシュを通過したダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシング/シボレー・カマロ)や、ジャスティン・ハーレイ(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)、コール・カスター(ハース・ファクトリー・チーム/フォード・マスタング)らは、集団決着のなかで『優勝』によるポストシーズン進出最後のチャンスを逃すことに。

 そしてレギュラー戦で有終の美を飾ったブレイニーの今季2勝目が、カットライン当落線上にいたアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)や、未勝利タイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)をプレーオフ進出権喪失の危機から救っている。

 前戦リッチモンドでは最多107周をリードしたオースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が、シーズン終盤の初優勝でプレーオフ出場権を獲得する躍進を遂げたカップシリーズだが、NASCARはこのレギュラー最終戦を前にして来季2026年のスケジュールを発表。すでに発表されているサンディエゴ海軍基地での初開催イベントに並び、もうひとつの注目ラウンドとして、シカゴランド・スピードウェイが2度目のカップ戦を迎え入れることが明らかにされた。

 その一方、近年オールスター戦の舞台となっていたノース・ウィルクスボロがポイント獲得のシリーズ戦に移行し、代わってドーバー・モータースピードウェイが1969年のNASCAR参入以来初めて、ポイント対象外のオールスター戦を開催。ボウマン・グレイとデイトナがシーズン序盤を構成し、ホームステッド・マイアミがチャンピオンシップ最終決戦の地を務める。

 こうしたカレンダーの微調整が続くなか、シリーズでは依然としてNASCARを相手取ったチャーター権(参戦枠)絡みの訴訟問題が続き、現在はオープンチームとして参戦するフォード陣営のフロントロウ・モータースポーツ(FRM)、トヨタ陣営23XI(トゥエンティ・スリー・イレブン)の将来のみならず、リック・ウェア・レーシング(RWR)とレガシィ・モータークラブでもチーム間の訴訟問題が尾を引くことに。

 そんな先行きの不安定さを暗示するかのように、レギュラーシーズン最後の予選は雷鳴による影響で中止となり、NASCARルールブックに定められたパフォーマンス基準に基づき、ブレイニーとボウマンが決勝フロントロウからスタートを切ることが決まった。

 迎えた土曜夜のスーパースピードウェイでは、最終的に19名のドライバーが44回もトップ交代を繰り広げる激戦となり、ポールシッターのブレイニーと2列目発進の僚友ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)がともに27周をリードしていく。

 すると序盤の18周目に後方27番手からの挽回を期していたレディックが悲運に見舞われ、トッド・ギリランド(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)がミドルレーンでコントロールを失うと、カムリXSEの45号車もそこへ巻き込まれてしまう。

 これでレディックはインサイドのウォールにノーズを激突させたが、応急処置の修復を経て戦列に復帰。一方、プレーオフ進出を争うボウマンはこのレディックの事故によって、直接的ライバルとの29ポイント差を覆しプレーオフ進出を確定できるという、わずかな希望を抱かせる展開となる。

「レース序盤で本当にひどいミスを犯してしまった」と肩を落としつつ、なんとかリードラップを走り続けコース上に留まったレディックだったが、その直後には思わぬカタチで光明が差し込むことになる。

 27周目。今度はボウマンがフロントストレッチで12台の玉突き事故に巻き込まれ、ダレル"バッバ"ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)を筆頭にロガーノやカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)、カイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)らの連鎖接触によりレースを終えてしまう。

「すべてが自分たちの手に負えない状況だった」とレースの残りを傍観し、新たな勝者が出てプレーオフから脱落しないことを祈るしかなくなったボウマン。

「最初のランであんなに大きく順位を落としてしまったのは残念だ。そこで後方のボトムレーンが崩れ落ちた。乗り越えなければならなかったが、トップ10の後方まで戻ってきていながら、残念なことにうまくいかなかったよ……」

 結果、2年連続でブッシュのポストシーズン最後の望みもガレージで絶たれたが、急転直下の展開となったレディックと23XIのチームは、残りの夜に向けて自分たちがコントロールできることに集中した。

「48号車より良い成績を収められると分かった瞬間から、レギュラーシーズンの順位を維持するにはどうしたらいいか、ずっと考えていた。ありがたいことに、すべてがあっという間に起こったんだ」と振り返ったレディック。

「あぁ、そもそもあんなことが起きてしまったのはまだ悔しいけれど、自分のミスから、彼らがまたクラッシュするまでの時間がかなり短かったのは幸運だったと思う。だから完全に崩れ落ちずに済んだんだ」

 その後、最終ステージの大半をトップで過ごしたロガーノも、残り11周でエリック・ジョーンズ(レガシィ・モータークラブ/トヨタ・カムリXSE)の前でスピンし万事休す。残り9周から10台以上によるドラッグ勝負に持ち込んだ先頭集団は、カスターがトップレーンから抜け出しハーレイの走路を阻んだことで、決定的な機会を得たブレイニーがホワイトフラッグのターン3から半車身のリードを維持してフィニッシュラインに到達した。

「正直言って、最後の数周は本当にワイルドだった」とデイトナ2勝目、キャリア通算15勝目を挙げ、レギュラーシーズンでもランキング2位に躍り出るとともに、プレーオフポイントの10点も獲得した2023年チャンピオン。

「僕はコール(・カスター)と一緒にいたんだ。リスタート時には彼に『もし君がトップに立つなら、僕も一緒に行くよ』って言ったんだ。ただひたすら待っていたけど、ついにチャンスが訪れた。彼はトップに立つためにいい動きを見せてくれた。僕たちはいいプッシュをすることができたね」

 金曜夜に併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第24戦『ワワ250・プレゼンテッド・バイ・コカ・コーラ』は、前戦の祝勝セレブレーションでコクピットから転落し、鎖骨を骨折していた19歳の“神童”コナー・ジリッシュ(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、13周目のコーション中にドライバー交代を実施し、ここでパートタイムドライバーのパーカー・クリガーマンとスイッチする異例の展開に。

 そこから104周目の延長戦で驚異的な追い上げを披露した88号車は、クリガーマンが見事なレース運びを見せ、天才の代役として勝利を収める劇的結末に。これで今季7勝目としたジリッシュは、クリストファー・ベルと並ぶシリーズ史上最多勝記録を樹立し、クリガーマンはNASCARクラフツマン・トラックシリーズのデイトナにて、車高違反で失格となった痛恨の敗北を取り戻す勝利を飾ってみせた。

「あらゆる意味で特別な経験だった。休暇に出かける日に(チームオーナーの)デイル・アーンハートJr.から電話がかかってきて『なあ、このマシンをドライブしてくれないか?』と言われるとは思ってもいなかった」と明かしたクリガーマン。

「コナー(・ジリッシュ)にとってこんな状況は残念だ。彼は世代を代表する素晴らしい才能の持ち主だからね。そんな彼や、カイル・ラーソンがかつて座っていたシートに今回招聘されたことを光栄に思う。僕にとって、これが公式記録に掲載されるのは本当に素敵で誇らしいことだよ」

 そのジリッシュが所属するトラックハウス・レーシングは、カップ決勝の土曜に19歳の来季トップカテゴリー昇格を発表。今季限りでチームを去るダニエル・スアレスのシートを得てフル参戦し、ロス・チャステインとシェーン・ヴァン・ギスバーゲンのラインアップに加わることが決まった。

「この日が来るのは、長年の夢だった」と決意を語ったジリッシュ。「シボレーとトラックハウスに加入して以来、カップでレースに参戦することが目標だった。こんなに早く実現するとは思っていなかったけど、準備はできたと感じている。来年の成功については何も予想できないけれど、100%の努力を注ぎ、できる限りのことを学び、その過程で少しでも楽しむことを約束するよ!」

https://youtu.be/N0WxJ1yu0Lc

[オートスポーツweb 2025年08月26日]

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