ケリフレッドアスク(撮影:下野雄規)【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る紫苑S
【Pick Up】ケリフレッドアスク:1着
母ディープインアスクは現役時代に未勝利でしたが、繁殖成績は素晴らしく、ファンタジスト(京王杯2歳S、小倉2歳S)、ボンボヤージ(北九州記念)、アスクワンタイム(小倉2歳S)、そしてケリフレッドアスク(紫苑S)と、計4頭の重賞勝ち馬の母となりました。これらの他にコロラトゥーレ(オープン)やアスクビギンアゲン(3勝クラス)も産んでいます。現代を代表する名繁殖牝馬の一頭といっていいでしょう。
ディープインアスクの引退レースの馬体重は460kg。ディープインパクト産駒の牝馬の平均馬体重は442kgなので、平均よりも20kgほど馬体が大きく、ディープを父に持つ繁殖牝馬にありがちな“産駒のサイズが小さめ”という懸念が小さかったこともプラスに作用したと思われます。
父ドゥラメンテは2023年の総合リーディングサイアー。すでにタイトルホルダー、リバティアイランド、スターズオンアース、ドゥレッツァ、ルガル、シャンパンカラー、ドゥラエレーデなど多くのGIホースを誕生させています。ケリフレッドアスクは「ドゥラメンテ×ディープインパクト」なのでマスカレードボール(共同通信杯、日本ダービー-2着、皐月賞-3着)と同じ組み合わせで、サンデーサイレンス3×3を抱えています。ドゥラメンテのラストクロップからマスカレードボール、エネルジコ、ケリフレッドアスクと3頭の重賞勝ち馬が誕生していますが、そのうち2頭が「ドゥラメンテ×ディープインパクト」の組み合わせです。ドゥラメンテがもっと長く生きていれば、この組み合わせの活躍馬が増えていたかもしれません。
◆血統で振り返る札幌2歳S
【Pick Up】ショウナンガルフ:1着
ハービンジャー産駒の札幌2歳S制覇は2018年のニシノデイジー以来2頭目。ほかにプロフェット、アルマヴェローチェが2着となっているので、得意レースといっていいでしょう(連対率33.3%)。ハービンジャー自身はイギリスの12ハロン路線で活躍した馬だけに、少し時計のかかる洋芝は向いています。ショウナンガルフ自身、時計の掛かる馬場だった水曜日の本馬場調教で、古馬顔負けの好時計をマークしていました。
2代母ミスエーニョはアメリカで走り、2歳の9月にデビュターントS(G1・オールウェザー7ハロン)を勝ちました。子孫はJRAで14頭デビューし、12頭が勝ち上がるというハイアベレージを記録しています。
母ミカリーニョは芝1600mで2勝。その兄弟にミスエルテ(ファンタジーS)、ミアネーロ(フラワーC)、ショウナンザナドゥ(フィリーズレビュー)と、2〜3歳春の重賞勝ち馬が3頭います。早めに動けるスピード血統です。自身が「ハービンジャー×ハーツクライ」というスタミナと成長力に秀でた血を重ねているので、こうした血が入るのは効果的です。
前出のニシノデイジーは札幌2歳Sを勝ったあと、東京スポーツ杯2歳Sも勝ちました。中央開催の高速馬場をこなすことができれば楽しみが広がります。