りゅうぐう母天体、水豊富だった=10億年以上保持―東大など
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2025年09月11日 00:31 時事通信社

東京大などの研究チームは、探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の砂の分析から、りゅうぐうの元となった天体(母天体)が誕生から10億年以上にわたり豊富な水を保持していたことを突き止めた。地球の水は、似たような天体が起源と考えられ、従来推定の2、3倍の水がもたらされた可能性があるという。論文は11日、英科学誌ネイチャーに掲載された。
りゅうぐうの母天体は、約46億年前に太陽系の外縁で生まれた。炭素や水を含んでいたが、これまでの研究で、水は早期に鉱物に取り込まれて「含水鉱物」となったほか、蒸発して失われたと推定されてきた。現在のりゅうぐうは、母天体が他の天体と衝突した際の破片が再集積したもので、液体の水はほとんど残っていない。
東大の飯塚毅准教授らは、りゅうぐうの砂ができた年代を放射性同位体で測定したが、太陽系よりも古い約48億年前という「異常な」数値が出た。詳しく調べると、母天体には10億年以上、水が内部に保持され続けており、他天体との衝突で流れ出た結果、年代測定に狂いを生じさせたことが分かった。
地球の水は、りゅうぐう母天体と同種の天体が持つ含水鉱物が起源と考えられてきたが、含水鉱物の他に多くの水が内部に保持されていたとすると、もたらされた水の量は2〜3倍になる可能性があるという。
飯塚准教授は「(米国の探査機が採取した)小惑星ベンヌの試料も分析し、比較したい。長期的には、大量に供給された水がどこに行ったのかを調べたい」と話した。
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