
1:『ブラック・ショーマン』2025年9月12日公開

東野圭吾の原作小説『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』(光文社文庫刊)を福山雅治主演で映画化。福山雅治といえば同じ東野圭吾原作の映画『ガリレオ』シリーズが大人気。そんな彼が挑む新たなキャラクターはマジシャンです。
結婚式を控えた神尾真世(有村架純)の父が何者かに殺されます。実家に帰った彼女の前に現れたのは叔父である元マジシャンの神尾武史(福山雅治)。2人はバディーとなって、殺人事件の犯人を突き止めようと行動を開始するのですが……。
手ぐせの悪い元マジシャンというユニークなキャラクターを演じる福山雅治。マジック披露のシーンでは本人が素晴らしいテクニックを披露し、見せ場をつくっています。マジックでどのように真相に迫っていくのか。新しいミステリー作品と言えるかもしれません。
監督:田中亮
2:『ベートーヴェン捏造』(2025年9月12日公開)

かげはら史帆の歴史ノンフィクション『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(河出文庫刊)を実写映画化。脚色を担当したのは、芸人でもあり、脚本家としても売れっ子のバカリズム。「こんな史実があったのか」と驚くこと必至の作品です。
19世紀のウィーン、天才音楽家ベートーヴェン(古田新太)と出会った職なしのシンドラー(山田裕貴)は、ひょんなことから彼の秘書になります。
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ベートーヴェンを敬愛するあまり、理想のベートーヴェンを捏造してしまった主人公を山田裕貴が巧みに演じ、実は小汚くて明るいオジサンのベートーヴェンを古田新太が怪演。
前半はシンドラーのモノローグが多く、映画のテンポがイマイチに感じますが、後半、ベートーヴェンの伝記を巡り関係者がバチバチしていく様はどうなるのかとのめり込みます。有名人はこうやってイメージが作られていくのかと想像する楽しみもある作品です。
監督:関和亮
3:『宝島』2025年9月19日公開

真藤順丈の直木賞受賞作『宝島』(講談社文庫刊)を、『るろうに剣心』シリーズなどを手掛ける大友啓史監督が映画化。妻夫木聡、永山瑛太、窪田正孝、広瀬すずというスター俳優が共演。本土復帰前の沖縄を舞台に、苦しみながら生き抜いた沖縄の人々の人生を描いています。
グスク(妻夫木聡)、オン(永山瑛太)、レイ(窪田正孝)、ヤマコ(広瀬すず)は、米軍基地から物資を奪い、住民に分け合う「戦果アギヤー」と呼ばれるグループ。アメリカ統治下の沖縄で生きていくために彼らは必死でした。
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冒頭の「戦果アギヤー」のシーンからものすごい熱量! 本土復帰前の沖縄の人々の苦難がひしひしと胸を打ちます。
沖縄の歴史をグスクたちの生き様を通して描いており、長尺(191分)ですが、全てが見応えあるシーンで長さは感じさせません。観光地として人気のある沖縄ですが、この歴史があり今の沖縄がある! 今こそ見るべき傑作です。
監督:大友啓史
4:『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』2025年9月19日公開

日本で人気の高いウェス・アンダーソン監督の最新作です。主演はベニチオ・デル・トロ、ヒロインに抜てきされたのは俳優ケイト・ウィンスレットの娘ミア・スレアプレトン。
そのほかスカーレット・ヨハンソン、マイケル・セラ、リズ・アーメッドなど演技巧者がズラリそろっています。
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彼は資金調達の旅へ疎遠になっていた娘ルース(ミア・スレアプレトン)を連れて行くのですが……。
アンダーソン監督の映画は計算された美しいビジュアルが有名で人気が高いのですが、登場人物は全員風変わり。物語も歴史、政治などの含みを持たせているのでは?と思うので、内容に深い理解があれば、より面白いというインテリジェンスな作品。
筆者はひたすら美しい映像と美術、衣装をうっとり見つめる映画の旅を堪能しました。美意識が高い作品なのでスクリーンで見た方がより楽しめます。
監督:ウェス・アンダーソン
5:『プロセキューター』2025年9月26日公開

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2024)などハリウッド映画でも活躍する “宇宙最強” と言われるドニー・イェンが監督&主演を務めたアクション映画が登場。警部から検事へと転身した主人公が正義を貫く姿を壮絶なアクションと共に描きます。
武装集団のボスを証拠不十分で有罪にできなかったことに責任を感じて辞職したフォク(ドニー・イェン)。その後、検事となった彼は、コカイン密輸事件で有罪を認めた貧しい青年の言葉に疑念を抱きます。
この密輸事件の裏を暴くべく、フォクは真相を求めて行動を開始するのですが……。
本作は2016年に実際に起きた事件をベースにしており、そのリアルな世界観の中で、世界で一番強い検事が大暴れ! フォクを演じるドニー・イェンのアクションが炸裂します。
そのアクションを演出したのは『はたらく細胞』の大内貴仁。銃撃戦、肉弾戦あり、最高のスリルを楽しめます!
監督:ドニー・イェン
(文:斎藤 香(映画ガイド))