2025年F1第16戦イタリアGP ステークF1チーム・キック・ザウバーのモーターホーム 2025年F1第16戦イタリアGPが行われたモンツァ・サーキットで、長い歴史に幕が下ろされ、惜しまれつつ引退したものがある。キック・ザウバーのモーターホームだ。
現在キック・ザウバーが使用しているモーターホームは、2006年にザウバーを買収してF1にコンストラクターとして参戦を開始したBMWがヨーロッパラウンド初戦となったサンマリノGP(イモラ)から使用し始めたものだ。ドイツ・メーカーのビショフ+シェックによって製造されたこのユニットは、テントを使用していた古き良きF1の面影を残しつつ、開放感あふれるデザインでエンジニアやメカニック、そして多くのゲストたちの憩いの場として愛されてきた。
BMW撤退後はザウバーが受け継ぎ、アルファロメオ、キック・ザウバーとチーム名が変更しても、スイスのヒンウィルをベースとするチームは、このモーターホームを使い続けてきた。このモーターホームで過ごしてきたドライバーのなかには、セバスチャン・ベッテルやキミ・ライコネンといったチャンピオンもいれば、セルジオ・ペレスやシャルル・ルクレールというグランプリウィナーたちもいる。日本のファンにとっては、小林可夢偉が2010年から3シーズン、ここで過ごしてきた場所として記憶している方も多いだろう。
キック・ザウバーは、2026年からF1に参戦するアウディに変わるのに伴い、モーターホームも一新され、20年という長い歴史に終止符を打つこととなった。今年からスポーティングディレクターとなったイニャキ・ルエダはこう語る。
「ライバルチームにいたときから、この伝説のモーターホームの存在は知っていた。最後の1年となった今年、ここを使わうことができたのは光栄だった」
長年ここを使用してきたヘッド・オブ・トラックサイドエンジニアリングのイョン・ベッカーは、次のように感謝の言葉を贈った。
「おそらく、自宅にいるよりも、ここで生活していた時間のほうが長かったと思う。僕にとって、ここは実家のような存在だった。ここで食べたスイス料理はまさにお袋の味。感謝しかない」
30年間、本当にお疲れ様でした。
[オートスポーツweb 2025年09月19日]