『火喰鳥を、喰う』©2025「火喰鳥を、喰う」製作員会 主演に水上恒司、ヒロインに山下美月を迎え、原浩による「第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」大賞・受賞作をを実写映画化した『火喰鳥を、喰う』。
今回は新カット2点とともに、本作が映画単独初主演となる最旬俳優・水上が演じた主人公・雄司の役柄に迫った。
物語は、信州で暮らす久喜雄司(水上)と夕里子(山下)の元に戦死した先祖の久喜貞市の日記が届くところから始まる。
日記の最後のページに綴られていたのは「ヒクイドリ、クイタイ」の文字。その日以来、幸せな夫婦の周辺で不可解な出来事が起こり始める。超常現象専門家・北斗総一郎(宮舘涼太)を加え真相を探るが、その先に現れたのは驚愕の世界だった――。
これは怪異か、それとも罠か? これまで観たことのないような先読み不能ミステリーが描かれる本作で、主人公・雄司を好演しているのが、いま飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍を見せる若手実力派の筆頭株・水上だ。
水上といえば、大ヒットを記録した『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』では戦地へ飛び立つ特攻隊員を熱演し、大きな話題に。その後も国民的人気を誇るお菓子が実写映画化された『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』では勇敢なキャラクター“ぞうくん”の声を担当、さらに現在公開中の『九龍ジェネリックロマンス』では実年齢よりも年上の会社員を演じている。
様々なキャラクターを見事に演じ分ける水上だが、本作では戦死した祖先の日記が届いたことを機に、夕里子とともに恐ろしい怪異に巻き込まれていく主人公・雄司役に挑んだ。
自身が演じるキャラクターについて「受けて受けて反応していくという、僕が野球をやっていた時のキャッチャーのような役割を担った役でした」と説明する水上。「夕里子や北斗といった各キャラクターを立たせるためにも、僕がどんなリアクションをするのかが大事だと考えていました」と撮影を述懐する。
雄司というキャラクターについて、脚本を担当した林民夫は「原作は主人公・雄司の一人称で進む物語で、心の中の葛藤も多く描かれています。そのまま映像に置き換えると、どうしても彼が“受け身”だけに見えてしまう部分もあり、映画では少しだけ雄司が能動的に動くように意識しています」と秘話を明かす通り、劇中では後半にかけて夕里子を守ろうとする雄司の“覚悟”が垣間見える瞬間も登場する。
そんな雄司を演じるにあたり、水上は役について深く考える姿も目撃されていたというが、本木克英監督は「この雄司という役は、これから起きる事態を受け止めることができればいい。受けの芝居が多いキャラクターなので、あえて深く考えずに演じてほしいという話は何度かしました」と演技については委ねることが多かったという。その言葉からは、水上への熱い信頼もうかがえる。
これまで自身が演じてきたキャラクターとはひと味もふた味も違う、新たな役どころへの挑戦となったが、「今までの僕の経験の中には全くないものが現場にはあって、すごく鍛えられました。この本木組を経て、今後の役者人生の大きな助けになるというか、学びの多い現場でした」と手応えをにじませる水上。
高校時代には野球部でキャッチャーとして活躍していた水上が、本作で芝居の“キャッチャー”としての魅力を開花させることになるだろう。
『火喰鳥を、喰う』は10月3日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)