記者会見する参政党の神谷宗幣代表=8日、国会内 7月の参院選で躍進した参政党が、10月召集見通しの臨時国会に向け、党の体制整備を急いでいる。新人議員向けの研修会を重ねるとともに、国会議員団の役職も新設。ただ、神谷宗幣代表に権限が集中する「1強」体制は変わらず、党のガバナンス(統治)確立は途上だ。
神谷氏は12日、自ら講師を務めた新人議員研修会の様子をX(旧ツイッター)で紹介。「党の成り立ち、課題、国会議員に求めることを中心に話した。繰り返しやりたい」と述べた。別の日には、実際の国会審議を想定し、閣僚役を務める先輩議員に新人が質問した。政治経験のない新人も多いことから、幹部は「勝手なことを言い始めると困る」と研修の重要性を強調する。
参院選で参政は改選1議席から14議席へと急拡大。党内では「職員が足りない」「秘書が決まらない」といった急成長のひずみも表面化した。このため、党は人材育成に特化した教育部局の新設を検討中。さらに、理念や政策が近い海外の政治家との交流窓口となる国際部局や、政策研究を行うシンクタンクの設置も視野に入れる。
一方、神谷氏が事務局長も兼務し、党運営を独占的に掌握する「ワンマン」体制は続く。事務局長は党規約で「党務全般を管理し、所管する業務を統括する」と定められ、予算執行や選挙の公認について強い権限を持つ。8月1日には幹事長や国対委員長などの役員人事を決めたものの、これらは「国会議員団の役職」とされ、規約上の規定はない。役員会も開かれておらず、ある幹部は「自分の担当以外に党で何が起きているのか分からない」と困惑している。
9月8日には川裕一郎氏(元石川県議)がボード(常任役員会)メンバーと副代表を退任し、副事務局長職は留任する人事が発表された。しかし、規約は「事務局長および副事務局長はボードメンバーから選任する」と規定。神谷氏は同日の記者会見でこの点を問われ、「規約の改正が間に合っていない。(改正に必要な)臨時党大会の準備をしている」と釈明したものの、こうした判断も「神谷氏が1人で決めている」(党関係者)もようだ。
神谷氏は次期衆院選で「30〜40議席」程度の獲得を掲げるが、全国政党化に向けては「個人商店」的な体質の脱却も課題となりそうだ。