GT500初優勝を決めた名取鉄平の最終周逆転劇に松田次生は過呼吸気味の号泣「今回は初心に戻った」

優勝を喜ぶ松田次生と名取鉄平（リアライズコーポレーション ADVAN Z）　2025スーパーGT第6戦SUGO

　宮城県のスポーツランドSUGOで9月21日に行われた2025スーパーGT第6戦の決勝レース。GT500クラスは5番グリッドからスタートした松田次生／名取鉄平組の24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zがファイナルラップにオーバーテイクを決め、KONDO Racingに約9年ぶりの勝利をもたらした。

　決勝後の優勝会見に登壇した松田次生は「この優勝という光景を近藤（真彦）監督、名取選手とKONDO Racingとニッサン／ニスモの皆さん、そしてヨコハマタイヤさんに見せることができました」と開口一番に語り、自身2年ぶり、そしてGT500最多勝記録を更新する25勝目という結果を喜んだ。

「僕のスティントはすごく調子が良くてトップ争いをすることができましたが、ピックアップ（ゴムかすがタイヤに付着してグリップダウンする現象）が取れず、トラフィックのタイミングも悪かったので、名取選手に10秒のマージンを持って帰ることができず、そこだけが心残りでした」

「でも、今回はヨコハマさんが用意してくれたタイヤが良いことは分かっていました。本当にここまでヨコハマタイヤさんも苦労していましたし、僕の200戦目である前戦では僕がやらかしてしまったので（苦笑）、201戦目の今回は初心に戻り『自分の走りをする』ことに立ち返り、一生懸命レースをすることができました」

　松田から交代して第2スティントを担当した名取は、赤旗中断からの再開後に猛烈なペースアップをみせ、レース残り10分を切ると、サッシャ・フェネストラズ駆る39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraとテール・トゥ・ノーズでバトルを展開。最終ラップのバックストレートから馬の背コーナーでアウトから並びかけ、続くSPコーナーひとつめでインからオーバーテイクを決め、自身初のGT500勝利を大逆転で獲得した。

　その名取は優勝会見で「もう嬉しすぎて、よくわかんないんですけど、GT300とGT500の初優勝をどちらもKONDO Racingで成し遂げられたことにすごく運命を感じています」と笑顔をみせた。

「（パルクフェルメに）帰ってきたら、次生さんが過呼吸になって倒れてしまうんじゃないかというくらい泣いていました（笑）。近藤監督もすごく喜んでくれましたし、チームとしても、やはりブリヂストン勢が強いなか、こうして『俺らも負けてないんだ！』というところを見せることができたので、すごく嬉しい優勝です」

　24号車リアライズをドライブする名取は25歳で、松田は46歳。ふだん松田のことを『パパ』と呼んでいるという名取の言葉に、思わず松田も「泣いちゃっていましたね。お父さん泣かしちゃダメよ」と笑顔で突っ込み、コンビ仲の良さを伺わせる。

　また名取は『最終周でトップに立ったときの心境は？』と聞かれた際に「そうですね……、あんまり何も考えてなかったです」と答えた。この言葉に松田は「若いからね。やっぱり歳を取るといろいろ考えちゃうから」とフォローしつつ、続けざまに（マックス・フェルスタッペンと名取鉄平を合わせて）『フェルステッペンと呼んでください』と言って笑いを誘う。さらに名取も「僕がフェルスタッペンだったら、次生さんは（ルイス・ハミルトンをあわせて）『ツギルトン』ですよ」と返し、これには会場も爆笑に包まれた。

　今回の優勝は松田にとってGT500最多勝記録を更新する25勝目。そのことを振られると「46歳で優勝することができたのはすごく嬉しいですし、残りのレースもフェルステッペンがいれば大丈夫だと思います。若いドライバーと、しっかりとクルマとタイヤを合わせ込み、オートポリスともてぎを戦います」とベテランらしく締めた。

　そして名取も「次戦からはサクセスウエイトが半減されるので、良いタイミングで優勝することができました。次戦のオートポリスは昨年僕がポールポジションを獲得した得意のコースなので、今回のように観客の皆さんが楽しめるようなレースができるように、ツギルトンとチームと力を合わせて頑張りたいです」と、終始笑顔で次戦への抱負を語った。

[オートスポーツweb 2025年09月21日]

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