【悼む】菅原孝さん「ボクらはいつも片方の靴」ビリー・バンバンの楽曲の思いを最期まで大事に

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2025年09月24日 17:53  日刊スポーツ

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「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」挿入歌「ココロありがとう」を歌う兄弟デュオ、ビリー・バンバンの菅原孝さん(2022年2月撮影)

兄弟デュオ、ビリー・バンバンの兄、菅原孝(すがわら・たかし)さんが11日午後4時34分、肺炎のため都内の病院で亡くなった。81歳だった。19日に密葬が営まれた。所属事務所が24日、発表した。お別れの会については決まり次第、発表する。弟の菅原進(78)は「本当に偉大な兄でした」とコメントを出した。


【悼む】


「白いブランコ」「さよならをするために」などのヒット曲ではなく、孝さんが好んだのは「ボクらはいつも片方の靴」という曲だった。


♪僕らはいつも片方の靴 一緒にいたから 歩いてこれた


アルバム収録曲で、孝さんが脳出血で倒れる前の楽曲である。孝さんはかつてインタビューで「僕も君も一緒に力を合わせたから一足の靴になれて、それでやっと前に進んで行くことができるんだよ」と話した。1人は小さな存在だが、みんなで力を合わせることが大切、というメッセージが込められていた。


初めは兄弟2人で歩んで来たビリー・バンバンへの思いが重なっていただろう。14年7月に脳出血で倒れて以降は、なおさらこのメッセージを大切にした。


仕事帰りに当時94歳の母の介護で実家に行き、食事の支度をした。一段落してトイレに入ると、便座から落ちた。動けなくなった。母が見つけてくれて、救急車で運ばれた。脳出血。左半身がまひした。


孝さんは負けず嫌いで努力家だった。自宅の廊下をつえを突きながら何回も往復したり、黙々とリハビリを続けた。家族や進さんの力も借りて、車いすでステージに上がれるまでに回復した。


「自分だけが大事なんじゃなく、みんなとの関係を作っていくことが大切なんだ」。


片方の靴が重くなっても、その重さを分かち合って歩いてくれる人がいる。孝さんがこの歌を好きだった理由がよく分かる。


    【笹森文彦】

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