
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、元参議院議員の大野泰正被告らの裁判に旧安倍派の元会計責任者が証人として出廷し、キックバックの再開を要求したのは下村博文元文部科学大臣だったと明らかにしました。
元参議院議員の大野泰正被告(66)と秘書だった岩田佳子被告(62)は、2018年からの5年間で所属していた自民党の旧安倍派からキックバックされたパーティー券収入、あわせて5100万円あまりを収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反の罪に問われていて、2人は無罪を主張しています。
きょうの裁判では、大野被告が所属していた旧安倍派の元会計責任者で、政治資金規正法違反の罪で有罪が確定した松本淳一郎氏(78)が証人として出廷しました。
旧安倍派では、2022年4月に安倍晋三元総理がキックバックの中止を指示して一度は無くなりましたが、その年の8月に再開していました。
その経緯について、松本氏は自身の裁判で「ある幹部」からの求めでキックバックを再開したと説明していましたが、「ある幹部」が誰かはこれまで明かしていませんでした。
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松本氏はきょうの裁判で、大野被告側の弁護人から「下村博文氏から池田佳隆元衆議院議員に還付するよう言われたか」と聞かれると、「そうです」と答えて、下村氏からキックバックの再開を求められたと初めて明らかにしました。
また、派閥から各議員にキックバックした現金については「政治活動や選挙に使ってもらうためで、各議員の事務所に返金したという認識だった」と説明し、キックバックされた現金を「預かり金」だったとする大野被告らの主張を否定しました。
下村元文科大臣は自身のSNSで、「還付再開を指示・決定する立場ではありませんでしたし、そのような要望もしておりません」「松本氏の発言には明らかな事実誤認が含まれていると考えます」とコメントしています。