「1票の格差」が最大2・06倍だった2024年10月の衆院選は投票価値の平等を定めた憲法に反するとして、二つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷は26日、「合憲」との判断を示し、弁護士グループ側の上告を棄却した。尾島明裁判長は、今回選挙から反映された国会の格差是正策について「合理性がある」と判断した。17、21年選挙に続き3回連続の合憲判断となった。
裁判官4人のうち3人による多数意見。弁護士出身の高須順一裁判官は「違憲状態」とする個別意見を付けた。
1票の格差訴訟は近年、重要な憲法判断として全裁判官15人が参加する大法廷で審理されてきた。今回は、全国16件の高裁・高裁支部判決がすべて合憲としており、24年ぶりに大法廷に回付せずに合憲の結論を導いた。
最高裁は、最大格差が2倍を超えた09、12、14年選挙について3回連続で「違憲状態」と判断。国は16年、人口比を選挙区の定数に反映しやすくする「アダムズ方式」を採用し、5年ごとの国勢調査のたびに格差が2倍未満となるよう選挙区割りを見直す新制度の導入を決めた。
17年選挙(最大格差1・98倍)、21年選挙(2・08倍)は新制度が間に合わなかったが、最高裁は格差の是正が予定されているとしていずれも合憲とした。24年選挙はアダムズ方式が初めて反映され、都市部の選挙区を10増やし、地方を中心に10減らす「10増10減」で実施された。
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小法廷は、新制度について「格差を相当程度縮小させた状態が安定的に持続するよう設けられた」と指摘。人口移動以外による格差拡大の事情はうかがえず、格差の程度も著しいとは言えないと結論づけた。【三上健太郎】
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