「愚か者の身分」北村匠海、林裕太、綾野剛3人で釜山映画祭最優秀俳優賞受賞

0

2025年09月26日 22:32  日刊スポーツ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊スポーツ

第30回釜山映画祭コンペティション部門に出品された「愚か者の身分」で最優秀俳優賞を受賞した林裕太

第30回釜山映画祭のクロージングセレモニーが26日、韓国で行われた。今年から新設されたコンペティション部門に出品された「愚か者の身分」(永田琴監督、10月24日公開)に主演の北村匠海(27)綾野剛(43)林裕太(24)が、3人そろって最優秀俳優賞を受賞した。


北村は「率直に3人で取るっていうのが、すごいこと」と驚きつつ感激した。綾野も「3人で1人の感情として捉えてもらえたことがとてもうれしい」と喜び、林も「まだ実感が湧かない。僕たちの作った映画が釜山で評価され、称賛され、それが形になったっていうのがすごくうれしい」と喜びをかみしめた。


「愚か者の身分」は、作家・西尾潤氏のデビュー作の実写化作品。北村はSNSで女性を装い、身寄りのない男たちを利用して“戸籍売買”で稼ぐタクヤ、綾野はタクヤを““闇ビジネス”に誘い戸籍売買の仕事を教えた兄貴的存在の裏社会の運び屋・梶谷、林は複雑な家庭環境で家族の愛を知らずに育ち、タクヤと共に闇ビジネスに手を染めたマモルを演じた。


授賞式には、18日に行われたワールドプレミア同様、林が3人を代表して参加。北村、綾野は東京で林の晴れ舞台を見守ることになった。北村は「しっかり胸を張って行ってきてください」、綾野は「光を失った男と、光を諦めた男と、それでも光を追い続ける男のマモル役をやった裕太くんが、本当の意味でも輝かしい場所に立ってる姿を想像するだけで胸にくるものがあります」「何よりも楽しんでほしいなと思います」とエールを送っていた。


林は永田琴監督(54)と森井耀プロデューサーが見守る中、花束とトロフィーを受け取った。そして緊張しながらも「選択肢のない人が愚かなのか、それとも選択肢を確保しないその環境が、世の中が愚かなのか」「ただ、この映画において最も大切なことは、生きようとすることは決して愚かな選択肢ではないということです」と熱い思いを込めてスピーチした。


さらに「たとえ大きな夢や、何か大きな意義を見いださなくても、自分を支えてくれる誰かがいるなら、ここに生きる意味は大いにあるということだと僕は思っています。それを教えてくれたのがこの映画であり、今日、来られなかった北村匠海さん、綾野剛さんです」と、北村と綾野に感謝。「今日のこの特別な瞬間を、この特別な感情を、日本に帰って3人で分かち合いたいなと思います」と力を込めた。そして、日本から持参し、お守りにしていた北村と綾野のアクスタを披露して会場を和ませた。


「愚か者の身分」は、Netflixドラマ「今際の国のアリス」シリーズや「幽☆遊☆白書」を手がけるプロデューサー集団「THE SEVEN」が、初の劇場作品として映画化。“3日間”の出来事を、3人それぞれの視点が交差するトリック感のある展開でエンターテインメントに仕上げながら、若者たちの貧困、世界に侵食される日本、闇ビジネスの深淵(しんえん)など社会的なテーマも織り込まれている。

    ニュース設定