驚速アレックス・リン、キャデラックが2年連続ポール。プジョーと初来日のアストンが2列目確保【第7戦予選レポート】

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2025年09月27日 16:30  AUTOSPORT web

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ハイパーカークラスでポールポジションを獲得したアレックス・リン(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA/12号車キャデラックVシリーズ.R) 2025年WEC第7戦富士
 9月27日、静岡県の富士スピードウェイでWEC世界耐久選手権の日本ラウンド、第7戦『富士6時間耐久レース』の予選およびハイパーポールが行われ、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの12号車キャデラックVシリーズ.R(アレックス・リン/ノーマン・ナト/ウィル・スティーブンス)が今大会のポールシッターに輝いた。LMGT3クラスはレーシング・スピリット・オブ・レマンの10号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ(アンソニー・マッキントッシュ/エドゥアルド・バリチェロ/バレンティン・ハッセ・クロット)が今季2度目のポールポジションを獲得している。


■マクラーレン優勢のなか、伏兵現る

 走行初日となった26日は、2回のプラクティスでともにプジョー勢がトップタイムを刻み、予選日の午前に行われたFP3ではアストンマーティン・ヴァルキリーが最速となるなど、ここまでのシーズン戦とは異なる様相を見せているWEC100戦目の今大会。果たしてランキング下位に沈む両陣営が反撃の狼煙をあげるのか、それとも上位グリッドの常連や“ホーム”で意地を見せたいトヨタが魅せるのか、注目の予選セッションとなった。

 WECの予選は、一次予選となるトップ10シュートアウトを経て、最終予選のハイパーポールでポールシッターを決定する方式が採られている。これはハイパーカークラスもLMGT3クラスも共通だ。なお、後者は一次予選をブロンズドライバーが、最終予選をシルバードライバーが担当する。

 予選セッションはそのLMGT3クラスからスタート。日差しが降り注ぐなか、まずは定刻14時20分から12分間のシュートアウトが始まった。路面コンディションはドライ。気温は24℃、路面温度36℃だ。

 FP3でトラブルが発生した77号車フォード・マスタングGT3(プロトン・コンペティション)を除く17台が序盤からコースインするなか、最初に1分41秒台に入れてきたのは59号車マクラーレン720S GT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)。これをすぐに33号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)が上回るなど各車が最初のアタックを決めていくなかで59号車のジェームス・コッティンガムが自己ベストを更新。1分40秒469でふたたびトップに立つ。

 これに対し81号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)が同じく1分40秒台のタイムで応戦するも2番手。その後、残り2分ほどで95号車マクラーレン720S GT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)が2番手に飛び込み、上位4台はマクラーレンとコルベットが並ぶ結果となった。

 後方ではトップ10入りを目指す攻防が繰り広げられ、終盤にアハマド・アル・ハーティ駆る46号車BMW M4 GT3エボ(チームWRT)が9番手に上がるも、ライバルの92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ファースト・フォーム)や途中で単独スピンを喫するシーンもが見られた54号車フェラーリ296 GT3(ビスタAFコルセ)が順位を上げたため、惜しくも11番手となりハイパーポール進出ならず。予選でのバレンティーノ・ロッシのドライブは実現しなかった。またレクサスの2台は78号車RC F GT3が13番手、アコーディスASPチームの姉妹車87号車も15番手に沈み、こちらも最終予選進出を逃している。

 10分間のインターバルを経てLMGT3クラスのハイパーポールがスタート。このセッションではアストンマーティン勢が早めにアタックを掛け27号車バンテージAMR GT3エボ(ハート・オブ・レーシング・チーム)が1分40秒216で暫定トップに。

 それを“ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロがドライブする10号車アストンマーティンが0.171秒上回る。元F1ドライバーを父にもつバリチェロは再アタックで1分40秒139までタイムを縮めてみせた。

 しかし直前のセッションでワン・ツーを記録したマクラーレン勢も黙っておらず、ショーン・ゲラエルの95号車が1分40秒011でトップを奪う。さらに姉妹車59号車も1000分の2秒差で続いていく。これで勝負が決したかに思われたが、アタックを続けていたバリチェロが魅せた。ただひとり1分40秒を切る1分39秒981をマークし再逆転に成功。これで勝負あり。10号車が第5戦サンパウロ以来、今季2度目のポールポジションを獲得した。

 マクラーレン勢が2番手と3番手に続き、佐藤万璃音組の95号車はフロントロウから決勝をスタートすることに。4番手は27号車アストンマーティン。5番手にチャンピオンシップをリードする92号車ポルシェが続き、コルベット勢はハイパーポールでは伸びず33号車が6番手、81号車が7番手となっている。


■平川亮のアタックでハイパーポール進出

 15時になりハイパーカークラスの予選が始まった。数週のウォームアップを経て、まずは12号車キャデラックが1分31秒387というターゲットタイムを設定していく。

 その後トヨタ・ガズー・レーシングのGR010ハイブリッド8号車と同7号車が1分29秒台前半のタイムを刻みワン・ツーを形成。直後2台のトヨタの間に38号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)が割り込み51号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)も続く。

 また93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)は1分28秒台に入り8号車トヨタからトップを奪う。さらに12号車キャデラックが自己ベストを更新して2番手に。この3台をマルコ・ソーレンセン駆る009号車アストンマーティン・ヴァルキリー(アストンマーティンTHORチーム)が上回った。タイムは1分28秒935だ。

 この間に再アタックに入っていた8号車の平川はタイム更新が期待できるなかでセクター3で引っかかったか自己ベストを上回れず。それでも5号車ポルシェに抜かれつつも5番手で一次予選通過を果たした。

 一方、前日にアタックドライバーを小林可夢偉からニック・デ・フリースに交代することを明らかにしていた姉妹車の7号車は、ライバルのタイムアップによって残り3分の時点で12番手、最終的には14番手に順位を落として予選を終えた。

 これを含めた10番手近辺の争いでは終盤に94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)と007号車アストンマーティン・ヴァルキリー(アストンマーティンTHORチーム)が自己ベストタイムを更新したものの、10番手につける20号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)の1分29秒478にわずかに届かず。ともに姉妹車が首位と2番手につけるなか、ここでノックアウトとなった。

 ハイパーポールに残ったのは6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)、8号車トヨタ、009号車アストンマーティン、20号車BMW、35号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)、キャデラックの12号車と38号車、フェラーリの51号車と83号車、そして93号車プジョー9X8だ。

 8分間で競う最終予選もタイヤを温めるウォームアップラップを経て8号車トヨタからアタック開始。平川が1分29秒071で暫定首位に立った。だが、すぐさま順位が入れ替わる。アール・バンバー駆る38号車キャデラックがトヨタを上回り、5号車ポルシェ、51号車フェラーリ、さらに93号車プジョーが立て続けに2番手タイムを記録したのだ。

 またアレックス・リンがドライブする12号車キャデラックは1分28秒637というタイムで姉妹車からトップの座を奪うと、再アタックでは全セクターで全体ベストをマークする走りで1分28秒236へとタイムを縮めた。

 終盤、バンバーの38号車がセクター1で全体ベストを叩くも自己ベスト更新はならず。それでもキャデラックはワン・ツーで予選を終え、明日の決勝に向けフロントロウを独占してみせた。3番手にはセッションの終わりにタイムアップし1分28秒705を記録した009号車アストンマーティンが入っている。

 以下、93号車プジョー、20号車BMW、51号車フェラーリ、5号車ポルシェと続き、最初のアタックからタイムを伸ばすことができなかった8号車トヨタは8番手から追い上げを図ることに。

 9番手は35号車アルピーヌ、10番手はドライバーズランキングで2位につけるロバート・クビサらの83号車フェラーリだ。

 シリーズ通算100戦の節目となる『富士6時間耐久レース』の決勝レースは、明日28日(日)11時にスタートが切られ17時にフィニッシュを迎える。

[オートスポーツweb 2025年09月27日]

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