父のルーベンスとポールポジションを喜ぶエドゥアルド・バリチェロ 9月27日、静岡県の富士スピードウェイでは、WEC世界耐久選手権第7戦『富士6時間レース』の予選およびハイパーポールが行われ、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの12号車キャデラックVシリーズ.Rが、アレックス・リンのアタックによりポールポジションを獲得した。
予選後の記者会見、およびミックスゾーンから、WEC富士の予選日を戦ったドライバーたちの声をお届けする。
■アレックス・リン(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA/12号車キャデラックVシリーズ.R)
ハイパーポールでは2周連続のアタックで全体ベストを更新し、最終的には後続にコンマ4秒以上の大差をつけてポールポジションを奪ったリン。記者会見でも、最近の好調ぶりを饒舌に語った。
「タイヤがカギだった。週末を通してアウトラップと(アタックへの)準備ラップに懸命に取り組んできた。マシンが最適な状態になり、望んだ結果が得られるように万全を期してきた。ライバルは非常に強力だったので、この順位に残るチャンスを掴むために、とても努力する必要があった」
「昨日はマシンのフィーリングが良くなかった。他のメーカーのマシン何台かはとても速そうに見えたので、僕らは予選に向けて少し手慣れたマシンに戻す必要があったと思う」
「(チームメイトの38号車とは)お互いにかなりプッシュし合っていると思う。ガレージの反対側にいるドライバーも(予選であと)1周走ってくることは分かっているわけで、もちろん2番手にはなりたくないし、(タイムをさらに)向上したいというのが人間の性だ」
「だから、12号車と38号車のレースでは、そういう部分も少し見えてきたと思う。向上するための、素晴らしく自然な競争が生まれ、それが僕ら全員を前進させ続けていると思う」
「この12カ月間でキャデラック・レーシングの状況は大きく変わったと思う。今日はマシンをトップに上げることが非常に重要だった。他のマシンと同様に、レースペースが非常に優れているからだ。しかし、レースペースは良好で、6時間を通してトップでレースできる自信がある。今日は良いポジションを獲得するために大きな仕事をしたが、明日は良いレースができると思っているよ」
■ニック・デ・フリース(トヨタGAZOO Racing/7号車GR010ハイブリッド)
レースウイーク前にはチーム代表を兼ねる小林可夢偉のアタックが予定されていたものの、金曜にプランが変更となり、7号車GR010ハイブリッドのアタッカーを務めることになったデ・フリース。迎えた予選では、首位から1秒以内に17台がひしめくなか14番手に終わり、ハイパーポール進出を逃す結果となった。
「(予選結果は)まったくの予想外、というわけではないね。(平川亮がアタックした)8号車は僕らの持つパッケージを最大限に活用し、そのポテンシャルを最大限に引き出すという素晴らしい仕事をしたのだと思う」と、僚友のハイパーポール進出を祝福したデ・フリース。
「僕については、セクター3への進入まではまずまずだったのだけど、残念ながらターン15でミスを犯してしまい、それがすべてを台無しにしてしまったような気がする。後半に挽回するような余裕は、本当になかった。タイヤとマシン、そして僕らのパッケージでは、チャンスは一度きりだったからね」
「でも、他のドライバーには、タイムを改善することができた人もいた。それだけのことだよ。もっと上位グリッドにいたかったけど、残念ながら現時点ではこれが現状だし、僕らはこれを受け入れているわけではない。近いうちに進歩するために、できる限りのことをしていくつもりだけど、状況は一夜にして変えられないからね」
「結局のところ、予選と決勝の状況はほぼ同じだと思う。決勝で僕らがそれほど優れているとは思わないけど、決勝では常にチャンスがあり、何が起こるかは分からない。だから常に鋭さを保ち、チャンスをつかめるときにはつかまないといけないね」
■アハマド・アル・ハーティ(チームWRT/46号車BMW M4 GT3)
LMGT3クラスでバレンティーノ・ロッシ、ケルビン・ファン・デル・リンデとともに46号車BMW M4 GT3(チームWRT)をドライブしているアル・ハーティ。ブロンズドライバーのアルハーティは予選を担当するも、11番手と惜しくもハイパーポール進出を逃す結果に。富士でのロッシのアタックは、実現しなかった。
「正直言って、今日の予選は僕らにとって出せるベストの結果だった。11番手だったけど、パフォーマンスという意味では、ほぼベストを尽くしたと思っている」とアル・ハーティ。
「現状は、ここが僕らのポジションなんだ。予選よりも、レースで良いマシンとなっていることを願っているよ」
「BMWはときどきこうなるんだけど、いまは6時間のレースに集中している。(予選の)12分間は大事ではあるけど、それほど大事ではないとも言える」
「暑くなると僕らはより厳しくなるので、明日は気温が下がり、レースがスタートしてから順位を上げられることを願っている。前進し続けること、それが僕らの願いだ」
■エドゥアルド・バリチェロ(レーシング・スピリット・オブ・レマン/10号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3)
地元の第5戦サンパウロ戦に続き、今季2度目のクラスポールポジションを奪ったバリチェロ。記者会見では、ハイパーカークラスのポールシッターとなったリン、そして同じマシンをシェアするブロンズドライバーのアンソニー・マッキントッシュの存在に触れるところから、予選を振り返った。
「まず最初に、本当に尊敬しているアレックスと一緒にまたここに来られて本当に嬉しい。そしてトニー(マッキントッシュ)はいつもマシンを改良してくれるレジェンドだ」
「決してスムーズな週末ではなかった。最初から本当に苦戦していたし、3回のプラクティスセッションはすべて、下から2番目くらいのポジションだったと思う。でもチームがうまく機能し、メカニック、エンジニア、チームのみんなが素晴らしい仕事をしてくれた」
「(ハイパーポールでの)マシンのクオリティは、かなり良かったと思う。この週末初めてのニュータイヤでの走行だったので、グリップをどう引き出せばいいのか分からず、少し調整する必要はあったね。走り始めは1分42秒台、43秒台だったのに、39秒台を出せるようになったのは大きな進歩だ。多くのリスクを冒して、それが奏功したんだ」
「実際はこんなにも僅差だとは思っていなかったけど、重要なのは1位を獲得できたことだ」
「明日に向けて何ができるか? データやオンボードデータを確認して研究するだけだ。でも、かなり強い状態だと思うし、トップからスタートできるので、レースが楽になるのは分かっている」
[オートスポーツweb 2025年09月27日]