
取材・文:ミクニシオリ 撮影:カワベミサキ 編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部
メイクは、働く私たちにとって自分らしさを後押ししてくれるひとつの武器。疲れている日も、朝が弱い日も、等身大の自分で前に進むための勇気をくれる存在です。歳を重ねるほどに、自分を飾るためというよりも、自然体で戦うための“相棒”になっていくような気がしますね。
「グッチビューティ」や「クロエ」などを展開するコティジャパン合同会社で、接客を行うビューティーアドバイザー(BA)のトレーナー・BA Training Managerとして働く齋藤花奈さんも、メイクやフレグランスとともに歩んできた女性の1人。新卒から美容のお仕事に従事してきた彼女に、いくつになっても美しくあり続けるために意識していることを聞いてみたら、意外な答えが返ってきました。
■なんとなく入った化粧品業界で才能が花開く
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――まずは、コティジャパン合同会社に入社したきっかけから教えてください。
前職では新卒から10年間、ひとつのビューティブランドに関わってきました。いち販売員から店長に、そしてトレーナーとして成長させていただいたのですが、10年という節目にもっと大きなフィールドでチャレンジしてみたいと考え、コティジャパン合同会社に入社しました。一つの会社に長くいたので、自分の実力を確かめてみたい気持ちもありましたね。
――お仕事やキャリアに対してバイタリティーがあるんですね。現在はどのような業務に携わっているのかも教えてください。
BA Training Managerという名前の通り、主にBAの育成を行っています。例えば新店舗立ち上げのタイミングには、研修を実施しBAと関わります。ブランドのストーリーや世界観について講話を行ったり、お客様とのトークのコツなどを教えたりしています。
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――私たち消費者も、BAさんとのトークでブランドの世界観に触れることで、購買欲求が掻き立てられることがあるように感じます。齋藤さんはもともと、そういった化粧品業界ならではのお仕事スタイルに憧れがあったのでしょうか。
もともとはメイクアップアーティストを目指していて、美容部員という選択は考えていませんでしたチャンスに恵まれず、モヤモヤする日々を過ごしていた時、とにかく毎日メイクに携われる仕事に携わろうと、販売員としてのキャリアをなんとなくスタートさせました。
だけど自分が思っていた以上に化粧品メーカーでの仕事が向いていることが分かって、気付けば10年以上この業界にいます。
――何事も、やってみないと分からないものですね。齋藤さんにとってのお仕事のやりがいはなんだったのでしょうか。
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実際に研修をしたBAが数年後に店長になるなど、BAの成長が感じられることがいちばんのやりがいでしたね。
マネージャーとしてコティジャパンに入社してからは、日本全国を飛び回って、新店舗オープンのサポートを続けてきました。新しいお店の世界観を作り上げながら、トレーナーやBAたちと対話を重ねて、彼女たちが私の教えたことを実践して結果を得ることができた時には、大きなやりがいを感じます。毎月出張がある上、長いと2週間以上現地に滞在するので、体力は削られますが……(笑)。
■試して削って、自分らしい選択を積み重ねる
――全国のBAの師匠としてご活躍されていると思うのですが、齋藤さん自身が疲れてしまうこともあるのではないでしょうか。
「頑張っている自分が好き」という気持ちだけで頑張れちゃうタイプなので、日々楽しみながら働けています。ただ、出張が多かったりで時間的に余裕が持ちづらい時には、意識することもあります。例えば、居心地のいい環境を自分で作るようにするとか。
特に美容に関しては普段のリズムを壊さないように、出張時でもなるべくいつも通りのケアができるようにしています。ケアアイテムはもちろん、ドライヤーやヘアアイロンも家で使っているものを持っていくので、いつも海外旅行用の特大キャリーケースで行っています(笑)。
――決まっている自分のルーティンを崩さないようにすることは、大人の女性にとって大切なことですよね。
生活の場所が変わるのは仕方ないとしても、ケアアイテムも変わる、食べ物も飲み物も変わるとなると体調を崩しやすくなるので、気をつけています。自宅で愛用しているアルカリ性の水や、サプリも必ず持っていきますね。ビタミンC粉末は毎日必ず飲みますし、疲れていても湯船に浸かるとか、基本的なことを徹底しています。
――ということは、出張に限らず、いつでもサプリやバスケアを欠かさないようにしているということですよね。
家にいる時は、セルフケア中心の生活になっているかもしれません。と言っても、自分が過ごしやすいルーティンを自分で作っているので、つらさはないです。自宅では健康的な食事を心掛けるようにしていますが、逆にご飯がおいしい土地に行った時や、友達と遊ぶ時には気にせず楽しみます。
――化粧品や美容に関わるお仕事をしている人はキレイな人が多いので、ヘルスケアにもストイックなイメージがありましたが、齋藤さんにとっては自然な選択なんですね。
自分なりのこだわりはありますが、どれも習慣になっていますね。キレイになる方法って色々あるけど、小さなことの積み重ねが大切だと考えています。誰かから今の自分を褒めてもらえる時には、選択の連続に意味を感じます。
――毎日の食事やセルフケアの選択が、今の齋藤さんの美しさを作っているんですね。
逆に言えば、自分に不必要なものは選ばない、選択肢を持ちすぎないでいいという身軽さもありますよ。例えばメイクは、ここ数年で余計なアイテムは手放して、ミニマルだけど自分にとって心地いいものを最低限使うようにしています。年を重ねたからこそ出せる、ナチュラルで柔らかいのに洗練された雰囲気づくりを心がけています。
――自分にとってバランスのいいメイクを確定するのって、難しそうです。何かコツもあるのでしょうか。
やっぱり、何事もトライアンドエラーが大切なのではないでしょうか。世の中でバズっているコスメも、自分に合うかどうかは試してみないと分からない。化粧品業界にいる私たちも同じです。むしろ、それが楽しいと言っても過言ではないですよ。
それに、コスメカウンターは「試す」ために存在しているんです。BAにとっても、お客様が好きだと思える色を見つけることができた時が一番嬉しいもの。気兼ねなく、どんどんカウンターでコスメを試してみてほしいですね。時間がある時にはぜひお顔で試して、気に入ったものを購入してもらえたら嬉しいです。
■無理も失敗もしたからこそ発見できた「等身大の自分」
――カウンターのタッチアップって、そんな気軽な気持ちで行っていいんですか……⁉︎
もちろんです! 気になるコスメがある時は、BAに話しかけてください。なかには緊張してしまう方もいらっしゃると思うので、そういった時には遠慮なく自分でゆっくり見たいと教えてください。
自分でじっくり選んだり試してみたりして見つけたお気に入りのコスメって、何度もリピートして使いたくなるんです。私もグッチ ビューティ「グロス ア レーヴル」の118 スザンヌ ブラウンは自社コスメの中でも特にお気に入りで、自宅用、会社用、持ち運び用と同じものを3本常備しています。
――私もだんだん、コスメカウンターに遊びに行きたくなってきました。
時には、自分を知るために行動してみるのもいいと思います。私も私生活は1人で過ごす時間も大切にしていますし、休日にコスメカウンターに行くことに勇気がいる気持ちも分かります。自分の習慣や似合うものが確定してからは、1人で過ごす休日でも好きなことをして元気をチャージできています。
――挑戦と失敗を繰り返すことで、無理をしない生活を見つけることができるのかもしれませんね。
メイクだけじゃなくて、キャリアも私生活もそうですよね。20代の時は周囲の目が気になって1日の終わりに疲れを感じることも多かったです。
色んな人と関わる中で、自分が思う自分とは違う見られ方をする時もあるし、その期待に応えなきゃと思っていたけれど……モヤモヤした経験があったから、今は自分のために時間を使ったり、時には周囲を頼ったりできるようになりました。
ずっと武装していたら、身体を壊して引退していたかもしれないけれど……自分の弱いところというか、“等身大の自分”を見せられるようになった今が一番、自分らしさを感じられます。
――自分らしい選択のために、試行錯誤を重ねた齋藤さんならではの働き方、そして生き方ですね。
等身大の自分でいるからこそ、メッセージを受け取る方々が親近感を持って「試そう」と思えるはず。私が接するBAたちにとっても、私が親近感を持てる存在でないと、伝わらないメッセージがあると考えていますし、BAとお客様の関係も、似ているのかなと思います。
――そんなBAさんに巡り会えたら幸せそう……! 素敵なお話ばかりでしたが、最後に齋藤さんの今後の目標も教えてください。
キャリアとしては、現役で長く働いていくために、自分らしいペースを保っていきたいです。実は、忙しく働いてきたこともあって、ずっと恋愛をおざなりにしてきてしまったんです。1人の生活を大切にしてみた時に、誰かと一緒じゃないとできない楽しいこともあるということにも気付けたので、これからは自分のプライベートにも、今まで以上に向き合っていきたいですね。
元の記事はこちら- マイナビウーマン
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