第38回東京国際映画祭(27日から11月5日まで開催)ラインナップ発表記者会見が1日、都内で開かれた。今年のコンペティション部門に、福地桃子(27)の主演映画「恒星の向こう側」(中川龍太郎監督)の出品が決まった。出演者には寛一郎(29)に加え、映画監督の河瀬直美氏(56)も名を連ねた。
「恒星の向こう側」は詳細が明らかになっておらず、質疑応答では河瀬氏を俳優として起用したことをはじめ、作品の詳細を問う質問が出た。中川龍太郎監督(35)は、劇中で福地と河瀬氏が母娘を演じること、寛一郎が福地演じる主人公の夫を演じることを明らかにした。主人公の女性が、母親に複雑な思いを抱えている、という関係性だという。
中川監督は「すばらしい俳優さんが立候補してくださったが、自分の中では河瀬直美監督一択。やっぱり一筋縄にいく人ではない。ある種の厳しさもある…パワーも。俳優は、感受性が資源。その人間が持っているパワーが強くないと面白くならない」と、河瀬氏の起用理由を語った。撮影中のエピソードを聞かれると「言えないことばっかですよ」と笑いつつ、とっておきのエピソードを明かした。
「2階で、あるシーンを撮ったら、下で主人公と母親が大ゲンカ、というシーンがある。準備中、夕日がすごいきれいで…でも、夜、撮らないと1階のシーンがつながらない。それでも直美さんから『龍ちゃん、光のつながりなんか、どうでもいい、感情がつながるのが映画や』と言われ、みんな慌てて…。監督より直美さんの力が上。やっていて曇っちゃったら『晴れるで…こういうの、晴れるんや』と言ったら、本当に晴れました」
中川監督は、河瀬氏について「彼女がいるだけで俳優はビビる。どっちが監督か分からない。大先輩ですけど、直美さんの力を借りて撮った」とも語った。その上で「存在自体、演出家である種の迫力がある。その迫力におびえながら、若い福地、寛一郎演じるキャラクターが恐怖して演じるところを撮りたかった。それが狙い」と言い、笑った。
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中川監督と東京国際映画祭との縁は深い。慶大文学部在学中に製作した13年「愛の小さな歴史」、翌14年「走れ、絶望に追いつかれない速さで」が、いずれも東京国際映画祭スプラッシュ部門にノミネートされた。「12年前に、東京国際映画祭に選ばれてキャリアが始まった。うれしいです。大学時代に作った自主映画を上映していただき、コンペティション部門、初めてです。見る側だったので、光栄です」と喜んだ。
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