
【写真】吉井和哉の生き様が映される『みらいのうた』場面写真
活動休止を経て、2024年に復活した不屈のロックバンド・THE YELLOW MONKEY。本作は、そのボーカルとして、多くの音楽ファンを今も魅了し続けている吉井和哉のドキュメンタリー映画。カメラは2022年から吉井に密着を開始。その数ヵ月後、吉井が喉頭癌になっていることが発覚、闘病を経てステージ復活までの3年間を記録していくほか、原点である静岡で、吉井をロックの世界に導いた人物、URGHPOLICE(アーグポリス)のボーカル・EROとの交流を描く。
幼い頃に亡くした父のことや、幼少期の思い出、14歳でのロックとの出会いなどを語る吉井。一方、病が発覚した後の日々や、2024年に感動的な復活を遂げた東京ドーム公演「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”」の熱く壮絶なライブパフォーマンス、その公演までの日々が濃密に展開。そしてロックに魅せられた男たちの生き様から、限りある時間の中で今を生きることについて様々なテーマを投げかける。
監督を務めるのは、藤井風、BiSH、MOROHA、クリープハイプなど数々のミュージシャンたちのドキュメンタリー映像やミュージックビデオを手掛けてきたエリザベス宮地。
この度、第38回東京国際映画祭のラインナップが発表され、本作がNippon Cinema Now部門で公式出品されることが決定。同部門は、この1年の日本映画を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考される部門。吉井が本映画祭に参加するのは、THE YELLOW MONKEYの2016年ツアーに密着した映画『オトトキ』(2017)以来となる。
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エリザベス宮地監督は「歴史ある映画祭に選んでいただけたことを、大変光栄に思います。日本のロックンローラー2人の人生と音楽、そして彼らの言葉が、国内外の観客にどのように届くのか、心から楽しみにしています」と喜びを語っている。本映画祭にて作品を鑑賞できる先行抽選チケットは、10月1日より受付スタート。
吉井和哉のバンド人生を紐解く上で重要な人物、URGHPOLICE(アーグポリス)のボーカル・EROとの交流も映し出す本作。EROは当時10代だった吉井をバンドに誘い、ベーシストとして加入させ、そのことがきっかけで吉井のバンド人生が始まった。しかし、音楽性の違いなどから、いつしかバンドは自然消滅。その後吉井は、URGHPOLICEを通じて出会った仲間達とTHE YELLOW MONKEYを結成。EROは静岡に残り、地元で働きながらカントリーミュージックに目覚め、それぞれ音楽活動を続けていたのだった。
吉井は、EROについて「自分の師のような存在でもあり、良くも悪くもカリスマ性のあるキャラクターだったので、彼を通して吉井和哉のことが少しでも炙り出されれば良いと思った」と語る。
今回解禁された新カットは、エリザベス宮地監督が撮影した2点。EROの部屋で吉井とEROが語り合う様子と、吉井が自身の原点である静岡の海の前でほほえむ姿が収められている。
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映画『みらいのうた』は、12月5日より全国公開。
※吉井和哉、エリザベス宮地監督、市山尚三(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)のコメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■吉井和哉
2022年の1月に長年の仕事のパートナーで事務所の社長でもある青木氏から、「特にゴールを決めずに密着カメラを回してみませんか?」との提案があった。前年のイエローモンキーの活動にも足を引っ張られた「新型コロナウィルス」も終息しかけたこの時期、次のソロアルバムのテーマも朧げであったため、その提案されたドキュメンタリーにBGM的な曲を付けたサントラ盤のようなアルバムができれば良いのではないかと思い、青木氏が以前から交流のあった監督兼カメラマンの宮地くんを紹介していただいた。
その当時の吉井和哉のドキュメンタリーなんて誰も興味がないだろうと思いながらも、自分をこの世界に導いてくれた人たちのところに宮地君を連れて行き、カメラは回り始めた。その中に、自分をこの世界に導いてくれた、兄のような存在である、“ERO“こと高林英彦氏がいた。
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その後のストーリーは、まるで神様から与えられたような人間同士の出会いや繋がりと「ROCK」という危険物の取り扱い方について学びながら、人生に訪れる「使命」というギフトを受け取る瞬間を捉えていただく作品になった。そして、このドキュメンタリーを撮影し始める少し前に完成していた「みらいのうた」がこの映画のタイトルになり、主題歌になりました。
この作品を世に残すことができたこと、そして全ての出会いに感謝を。
■エリザベス宮地(監督)
「みらいのうた」の撮影が始まったのは2022年4月。吉井さんと二人で、吉井さんの故郷・静岡を訪ねる一泊二日の旅からスタートしました。
幼少期に釣りをしていた防波堤や、就職していた喫茶店の跡地、地元の同級生のご自宅やお墓を巡り、最後に訪れたのがEROさんの家でした。30年以上暮らしているその家は、カントリー調の家具や装飾で統一されとてもおしゃれでありながら、PCもなくWi-Fiも繋がっていないこともあってか、どこか時が止まったような雰囲気が漂っていました。
約40年前、EROさんがボーカルを務める自身のバンドにベーシストとして吉井さんを誘ったことから、吉井さんのバンドマンとしての人生は始まりました。しかし撮影を始めた当時、吉井さんは声帯ポリープでライブ活動ができず、EROさんも脳梗塞の後遺症で半身不随となり、ギターを抱えることさえできない状態でした。
「二人が再びステージに立つまでを並行して記録しよう」と思ったのは、はじめてEROさんの家を訪ねた帰り道です。しかし、撮影を始めて半年後、吉井さんに喉頭癌が見つかりました。ステージまでの距離は、想像よりも遥かに遠いものでした。「みらいのうた」は、二人がそれぞれのステージに再び立つまでの3年間を記録したドキュメンタリー映画です。
そして今回、本作が12月の全国公開に先駆けて、東京国際映画祭への正式出品が決定しました。歴史ある映画祭に選んでいただけたことを、大変光栄に思います。日本のロックンローラー二人の人生と音楽、そして彼らの言葉が、国内外の観客にどのように届くのか、心から楽しみにしています。
■市山尚三(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)
何も背景を知らず、ミュージシャンに密着した音楽ドキュメンタリーだろう、と思って見始めた私は、すぐに自分の不明を恥じることになりました。人生の終盤に差し掛かった一人の男性の壮絶な闘いの記録である「みらいのうた」は、音楽ファンにとどまらず、全ての人の心に突き刺さる作品だと思います。
そして、吉井和哉さんをここまでとらえられたことは、エリザベス宮地監督のドキュメンタリー作家としての力を証明するものだと思います。この作品が東京国際映画祭を起点として世界に広がることを期待します。