最高検が入る中央合同庁舎第6号館=東京都千代田区 最高検は1日、捜査協力の見返りに刑事処分が軽減される日本版「司法取引」(合意制度)を、特殊詐欺事件などにも積極的に活用する方針を発表した。匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)などの組織犯罪被害が相次ぐ中、首謀者らの摘発を目指す。
同日までに全国の検察庁に周知し、最高検と全国の高検に担当検事を配置した。担当検事は管内の状況を把握しながら、地検の捜査支援に取り組む。
司法取引は、捜査当局に他人の犯罪に関わる情報を明かす見返りに不起訴や軽い求刑を得られる制度。2018年に導入され、これまでに日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告の報酬隠し事件や業務上横領事件などに適用されてきた。
最高検の山元裕史次長検事は、特殊詐欺などの組織犯罪について「被害が加速度的に拡大し、極めて憂慮すべき状況だ」と説明。「警察とも緊密に連携しつつ、あらゆる捜査手法を駆使して対応していく必要がある」と話した。