佐賀県警の科学捜査研究所で男性職員=懲戒免職=がDNA型鑑定で不正を繰り返した問題を受け、警察庁は2日、県警に特別監察を行うと発表した。8日に首席監察官らを県警に派遣し、不正の原因分析や再発防止策の実施状況などを調査する。
元職員は約7年にわたり関与したDNA型鑑定130件で、未実施の鑑定を行ったように装ったり、日付を改ざんしたりしたとして、虚偽有印公文書作成・同行使などの疑いで9月に書類送検された。
特別監察は都道府県警の重大な不祥事などを受け、警察庁長官の指示で臨時に行われる。昨年6月、情報漏えい問題があった鹿児島県警に実施するなどしており、記録上は今回が5例目という。
監察の対象は、科捜研を中心とした刑事部門や教養などの警務部門を想定している。警察庁の首席監察官や刑事局の担当官のほか、科学警察研究所のDNA型鑑定の担当室長らも同行。専門家の目で不正鑑定問題の調査結果や再発防止策、鑑定の実施体制などを確認する。
警察庁は不正を受け、複数人での鑑定結果のチェック徹底などを全国の警察本部に通達。来年度にも全国の科捜研に業務監察を行い、鑑定体制などを点検する方針だ。
警察庁の楠芳伸長官は2日の定例記者会見で、「DNA型鑑定への国民の信頼を損なうもので警察庁として重く受け止めている。対策を確実に実施し、再発防止に取り組む」と述べた。
一方、佐賀県議会は同日、「県民に深刻な不安と不信を与える重大な事案」として、第三者機関による調査や再発防止策の具体化を求める決議を全会一致で可決した。県警の福田英之本部長は「説明が足りないなどの批判があれば甘んじて受け止め、県警としてどういうことができるか検討していく」と話すにとどめた。