かとうれいこ56歳、水着でも魅せる“27年ぶりの写真集” 年齢を重ねることには「日々マイペースに抗ってる」

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2025年10月02日 20:10  クランクイン!

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クランクイン!

かとうれいこ  クランクイン! 写真:高野広美
 90年代のグラビアシーンを席巻したかとうれいこ。そんな彼女が27年という時を経て、再びカメラの前に立った。56歳にして挑んだ最新写真集『AROUND』(講談社)では、オーストラリアの雄大な自然の中、瑞々しい水着姿も披露。長い沈黙を破り、再び表現の世界へと舞い戻った決意とは。そして、年齢を重ねた今だからこそ放つことのできる、唯一無二な輝きの源に迫る。

【写真】かとうれいこ56歳、水着姿でも魅せる“27年ぶりの写真集” 先行公開カット(5枚)

■27年目の決意。背中を押したのは“自分を知らない世代”からの言葉


 27年という歳月は、一人の人間を取り巻く環境を大きく変えるのに十分な時間だ。結婚、出産によって一度は華やかな芸能界から離れたかとうが、再び写真集というステージに戻る決意をした背景には、ある出会いがあったという。それは、予想外な世代からの熱烈なオファーだった。

 「違うお仕事で出会った30代の女性編集者の方が『同世代の女性が見ても素敵な写真集を作りませんか』とオファーをしてくださいました。これまでもお話をいただくことはあったのですが、『いやいやいや』と思っていました。ただ今回は、私の現役時代をリアルに知らない女性からでしたので、それがすごく心に響いたというか、そこがスタートでした」。

 長いブランクは、彼女の中に「自分にできるだろうか?」という戸惑いを生んでいた。だからこそ、すぐに「写真集を」とはならなかった。自分自身を試すように、昨年、雑誌のグラビアという形で第一歩を踏み出した。
 
 「27年もブランクがあるので、グラビアももちろんですが、写真集なんて『ちょっと無理だ』と思うところから入りました。まずは昨年の雑誌の場で『やってみませんか』というところから始めたんです。自分がどこまでできるものなのか、どんなふうに写るのか、全く想像ができませんでしたから」。

 そのグラビアが、大きな反響を呼んだ。寄せられた多くの声が、ためらっていた彼女の心を確信へと変えていく。「『変わっていない』という言葉もありましたし、『今の方が良い』と言ってくれる方もいて、とても勇気づけられました」。

 一周回って、還ってきた場所。写真集のタイトル『AROUND』には、そんな想いが込められている。「まわりまわって今の自分のポジションがあり、その“今”を皆さんに見てもらえるチャンスになった」。そう語る彼女の表情は、晴れやかだった。

■“お母さんの顔”ではない私。56歳の今だから見せられる笑顔


 撮影の舞台は、オーストラリア。抜けるような青空と広大な大地が、被写体としてのかとうを優しく解き放っていく。とはいえ、すぐに昔の感覚が戻ってきたわけではなかった。

 「やっぱりすごく照れくさかったり、なかなか慣れなかったりするところはありました。長年乗っていなかった自転車にすぐに乗れたという感じにはならなかったです。でも、私が20代の頃の撮影のスタイル的にも、自然な感じの自分を撮ってもらっていたので、そういったところではナチュラルに動けました。あとはオーストラリアというロケーションの素晴らしさのおかげで、こういう表情ができたのだと思います」。

 ファインダー越しに写し出されたのは、自分でも知らなかった「今の自分」。それは、母として過ごしてきた日常とは、また違う顔だった。

 「しばらくは子どもを撮る側に回っていたのが、これだけたくさん自分の表情を見ると、『ああ、こういう顔しているんだな』って。でも、この写真集の中では『お母さんの顔』はないと思います。子どもといる時の顔はまたちょっと違うんだろうなと。だから逆に新鮮でしたね。もちろん年齢を重ねてシワができてしまうのは仕方がないですが、『ああ、なんか20代の頃から変わらないな』っていう笑顔もしていて。懐かしく思い出したりもしました」。

 56歳で水着になる。そこには覚悟も勇気も必要だったはずだ。しかしかとうは、年齢を悲観するのではなく、理想の自分を思い描き、弛まぬ努力を続けてきた。その日々が、揺るぎない自信となって彼女を支えている。

 「10年ぐらい前から割と運動もするようになって。もちろん歳は重ねていくものですが、でもやっぱり抗っていくというか。『40代はこういう自分でいたいな』『50代になったらこういう女性になりたいな』というのが、ビジョンであり目標でした。ジムで私よりも年上の方が、とてもその年齢には見えないくらいお若くて。そういう方を見ていると、すごく頑張れるし、目標になったりもするんです」。

 数あるカットの中でも、彼女自身が「今の自分らしい」と感じているのは、表紙にも選ばれた1枚だという。その微笑みには、積み重ねてきた人生のすべてが溶け込んでいるように見えた。

 「この微笑みは昔から変わっていないんです。でも、やっぱり今の年齢と自分になったからこそこういう表情なんだなって、すごく納得できるので好きです。なんて言うんでしょう……そこにいる安心感がある顔をしているんです。周りの人たちとの関係や、その場所も含め、『あ、今のこの瞬間、すごく好きだな』って思えるような笑顔だと思います」。

 その充実感は、家族の存在なくしては語れない。多くを語らずとも、そっと背中を押してくれる家族の存在が、何よりの力になっている。

 「家族は、言葉でうまく伝えないというか、照れくさいんでしょうね。でも、出来上がったものを家に置いておくと、見てくれていると思うので。それに対して、例えば娘が『いいね!』をしてくれたり。そういったリアクションがうれしかったですね」。

■子育てが教えてくれた「寛容さ」。もっと楽に、もっとしなやかに


 20代の頃と今とでは、世界は大きく様変わりした。かとう自身も変化したと感じる部分も多いという。かつては自分を縛り付けていた考え方から解き放たれ、よりしなやかな強さを手に入れた。

 「若い頃は自分で枠を狭め、苦しくしてしまっていたこともあったと思うんです。でもそういう経験があったからこそ、いまは『もっと楽に考えよう』っていう気持ちになれているような気がします。物事ってなるようにしかならない。『精一杯やっていれば、なんとかなるよ』、という風に考えています」。

 その大きな変化のきっかけ、ターニングポイントはどこにあったのか。問いかけると、かとうは「子育て」という経験を挙げた。自分ではない、他者と向き合う日々が、彼女の世界を大きく広げたのだ。

 「仕事から離れて子育てに専念していた時は、思うようにいかないことが多かったんです。そういった歯がゆさや、我慢強さなどの経験が大きな変化をもたらしてくれました。子育ても1年生だったので、失敗だらけで。でもそのおかげで、人に優しくなれるというか。すごくたくさんのことを学びました」。

 再び始めたグラビアの仕事、そして夫であるプロゴルファーの横尾要と共に行う大好きなゴルフ。健康で、笑顔でいられることの尊さを噛み締めながら、彼女は未来を見据える。この写真集が、同世代だけでなく、未来に少しの不安を抱く若い世代へのエールになることを願って。

 「年を重ねることは仕方がないこと。誰でも平等に歳は取っていくものだから。そんな中で、なるべく変わらずにいたいっていう気持ちが大事であると思うんです。もちろん容姿を含めて変わってしまいますが、マイペースに抗っていく。日々そんな感じでやっています。この写真集も若い方たちに『こんなに素敵に年を重ねられるんだ』って思ってもらえたら、やった甲斐がありますね」。

 27年の時を経て、かとうは再びファンの前に現れた。それは単なる「復帰」ではない。人生の深みと、変わらない笑顔を携えた、かとうれいこの「第二章」の幕開けと言えるだろう。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)

 かとうれいこの最新写真集『AROUND』(講談社)は、10月3日発売。
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