2025年F1第18戦シンガポールGP FP2でクラッシュしたジョージ・ラッセル(メルセデス)
メルセデスのジョージ・ラッセルが、シンガポールGPでの自身初ポールを決めた。1分29秒158のタイムは、昨年ランド・ノリス(マクラーレン)が出したコースレコードの1分29秒525を0.4秒近く更新するスーパーラップだった。
「昨日(金曜日)は厳しい時を過ごしただけに、カムバックできて嬉しい」と、予選後のインタビューで語ったラッセル。前日のフリー走行2回目(FP2)はターン16において「早めにブレーキングしたのに、ぶつかってしまった。奇妙なクラッシュだった」と、本人も不思議がるクラッシュを起こし、最下位に終わっていた。
それでもこの日は、まず予選直前のFP3でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)に0.1秒以内に迫る3番手まで復調。予選Q1で2番手、Q2はフェルスタッペンを1000分の10秒抑えてトップタイム。さらにQ3最初のアタックでは1分29秒165で早くもコースレコードを叩き出し、2番手フェルスタッペンに0.175秒差をつけた。
Q3でのラッセルのアタックを見てみると、前日にクラッシュしたターン16のブレーキングを極限まで遅らせ、続くターン17で右リヤタイヤを擦りながら立ち上がって行く、まさにギリギリのアタックだった。
そして早めのタイミングで2回目かつ予選最後のアタックへ出て行くと、最速タイムを0.007秒縮め1分29秒158をマーク。直後にアタックを開始したフェルスタッペンは、セクター2でタイムロスを喫し自己ベストを更新できず、2番手に終わった。
「2秒前に1台いたんだよ」と、予選後のインタビューで語ったフェルスタッペン。隣のピアストリに「君じゃなかったけどね」とわざわざ言ったのは、乱流の影響を受けたのが、ノリスだったからだった。シンガポールGPはフェルスタッペンにとって鬼門というべきか、これまで8回の参戦で、予選ポールも決勝での優勝も、一度も達成できていない。9回目となる今回の予選も、0.182秒差で涙を呑んだ。
それでもあまり悔しそうな表情を見せなかったのは、メルセデスのクルマが酷暑のコンディションでリヤタイヤがオーバーヒートしやすく、決勝レースに勝機ありと見ているからか。一方でラッセルにしても、フェルスタッペンとの43ポイント差は、シンガポールGPの結果次第では十分に射程距離内となる。それだけに明日の決勝は、気温・路面温度に関わらず、間違いなく熱い戦いとなるだろう。
[オートスポーツweb 2025年10月05日]