
10月5日(日)の放送テーマは、「木と生きる暮らしへ。始めようウッド・チェンジ!」。ゲストに林野庁 木材利用課の難波良多(なんば・りょうた)さんをお迎えして、木を積極的に利用する取り組み「ウッド・チェンジ」について伺いました。
(左から)杉浦太陽、難波良多さん、村上佳菜子
◆日本の森林の“高齢化”が進行中!?
日本は、国土の約7割を森林が占める世界有数の森林国です。森林には、水を蓄えて洪水をやわらげたり、土砂崩れを防いだり、雨水を浄化するなど、いろんな役割がありますが、特に地球温暖化の大きな要因となる二酸化炭素を吸収することも重要な役割の1つです。日本が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けても森林の存在は欠かせません。
しかし、実は今“木の高齢化”が進行しています。日本の森林は「天然林」と「人工林」に分けられますが、人工林の多くは戦後に植えられたもので、現在は約6割が伐採の適齢期といわれる50年以上の木ばかりです。つまり、二酸化炭素の吸収量が大きい若い木々たちが少ないため、実際に日本の森林による二酸化炭素吸収量は年々減少しており、このままでは温暖化を抑える働きが弱まり続けてしまいます。
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森林が本来の働きを果たすには、「植える」「育てる」「収穫する」「使う」という循環を守ることが重要です。このバランスを保つための合言葉が「ウッド・チェンジ」です。
林野庁では2005年から「木づかい運動」を展開しています。こちらは「日本の木を積極的に利用することで森林を元気にしよう!」と呼びかける国民運動で、「実際に“身のまわりのものを木に変える”“木を暮らしに取り入れる”“建物を木造・木質化する”など木の利用を進めることは、適切な森林整備につながり、持続可能な社会にチェンジするための行動になります」と難波さん。
実際に国立競技場や大阪・関西万博の大屋根リングなど、木をふんだんに活用した建築が注目を集めています。近年は住宅以外の中高層の建物でも木造化、木質化する取り組みが増えつつあり、なかには10階建てを超える木造の高層建築もあります。
また、農林水産省では「森の国・木の街」の実現に向けて、街づくりにおける木材活用を推進しています。この取り組みについて、難波さんは「木材の自給率は2002年に2割を下回っていたのですが、今は4割まで回復してきています。さらに現在、森林にある木材の量は毎年増え続けている状況なので、資源的にもまだまだ伸びしろがあります」と声を大にします。
◆私たちにでもできる「ウッド・チェンジ」
木材を利用することは、環境だけでなく私たちの暮らしにも恩恵をもたらします。木材には室内の湿度を調整する調湿作用があり、断熱性も高いため快適な住環境を保ちます。また、細い管が集まった構造によってクッション性が生まれ、転んだときの衝撃をやわらげてくれる効果もあります。
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ちなみに、カートカンには「間伐材マーク」がついています。間伐とは、森林を健全に育てるために過密状態の木を間引く作業のことで、その際に発生する木材が間伐材です。難波さんは「間伐材を利用した商品は間伐材マークがついているものが多く、文房具や紙カップ、コピー用紙など多岐にわたります。カートカンに限らず、このマークがあるものを積極的に選んでいただければ、その費用が巡り巡って森林の整備に役立てられます」と話します。
木を利用することで、社会課題の解決を目指す活動は「ウッドデザイン」と呼ばれています。優れた建築や製品を表彰する「ウッドデザイン賞」もあり、木を活用した製品は年々多様化し、身近に利用できる物も数多く登場しています。さらに、間伐材を繊維に再生した「木糸(もくいと)」を使ったマスクや布製品、ヒノキやヒバを原料にしたアロマミスト、子どもから高齢者まで楽しめる木製パズルなど、木を暮らしに取り入れる方法は身近にたくさんあります。
最後に難波さんは「10月は木材利用促進月間です。森林は私たちを災害から守り、暮らしを豊かにしてくれる資源です。その森林資源を今後も持続的に利用していくには、日本の森林の現状を知って理解を深めることが大切です。まずは、身近なところからできる『ウッド・チェンジ』を調べていただいて、木と生きる暮らしを始めてみてください」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「ウッド・チェンジ」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は注目ポイントに“「間伐材マーク」見つけてね!”と挙げ、「まずは探すところから(ウッド・チェンジの取り組みを)始めてもらうのもいいかなって思いました」と話します。続いて、杉浦は“身近なものからウッド・チェンジ!!”とスケッチブックに書き、「ウッド・チェンジについて詳しく知りたい方は、林野庁のWebサイトをご覧ください」とコメントしました。
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(左から)杉浦太陽、村上佳菜子
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm