ソニーのフラグシップスマートフォン「Xperia 1」も、いつのまにか7代目。「Xperia 1 VII」は、今どきのフラグシップ機としては薄くてカメラユニット部分が主張しすぎないデザインなのが特徴だけど、中に入っているトリプルカメラはどれもソニーらしいハイレベルだ。
Xperia 1シリーズというと当初、同社のミラーレス一眼「αシリーズ」を意識しすぎたのか、ちょっと肩に力が入っている感があった(何しろ、カメラアプリが2つも入っていたのだ)。でも世代を重ねると徐々にこなれてきて、先代の「Xperia 1 VI」でカメラアプリを一新して分かりやすくなり、今回は超広角/広角カメラがレベルアップした。
もう1つ、Xperia 1 VIIでは同社の「VLOGCAM」で採用したユニークな動画機能も搭載している。気になるポイントを実際に撮りつつチェックしていこう。
●一番の新機能「AIカメラワーク」「オートフレーミング」から試す
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Xperia 1 VIIのカメラにおいて一番の新機能はAIを使った動画機能なので、今回は最初にこれを試したい。これがなかなか斬新で面白くて実用的なのである。
縦方向の切り抜きも可能な「オートフレーミング」
分かりやすい方から行こう。AIを使った「オートフレーミング」だ。
この機能は、指定したメインの被写体がちゃんといい位置に納まるように、自動的にフレーミングして撮影してくれる。簡単にいえば4K(3840×2160ピクセル)で録った動画から、いい感じのフレームを切り出してフルHD(1920×1080ピクセル)の動画を出力してくれる機能だと考えると分かりやすい。
しかも、フレーミングは縦方向にも対応している。
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面白いのは、切り出す前の4K動画と切り出した後のオートフレーミング動画の両方を記録してくれること。だから「オートフレーミングに失敗した!」と思ったら、元の動画をベースに手作業で編集もできる。
おかげで、具体的に何が起きてるかを説明しやすくなった。下の動画は元の動画とオートフレーミングされた動画を並べたものだが、元の動画を見れば分かる通り本体は“固定”されているのに、オートフレーミング動画はモデルが中心に来るように切り出してくれている。しかも、モデルが背中を向けてもしっかり追ってくれている。
これ、より柔軟に縦位置動画を撮りたいときにすごくいい。人物以外でも、被写体をあらかじめタップしてやれば追ってくれる(指定した被写体のリアルタイムトラッキングはソニーの得意技)。
動きながら撮影するときにいい「AIカメラワーク」
もう1つは「AIカメラワーク」だ。こちらは、被写体も自分も動きながら撮るときに使うといい。
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被写体をロックする位置を指定すると、そこがセンターになるようにフレーミングしてくれる。デフォルトでは画面の“ど真ん中”が指定されているが、変更も可能だ。センターを維持できなくなる場合は、カメラを動かせと指示してくれる。
どのくらいしっかり追ってくれるのか、モデルにランダムで動いてもらいながら撮ってみた結果が下の動画だ。
AIカメラワークとオートフレーミングは面白くて有用だ。動画の出力解像度はフルHDになるけれど、よりダイナミックな動画を撮りたい人にぜひ使ってほしい、という意味で最初にチェックしてみた。
●強化されたのは「超広角カメラ」「広角カメラ」
新しい動画機能を堪能したら、次は基本的なアウトカメラの話をしていこう。
Xperia 1 VIIのアウトカメラは、先代と同じ「超広角」「広角(メイン)」「望遠ズーム」のトリプル構成だ。これらのうち、進化したのは超広角カメラと広角カメラだ。
超広角カメラ
超広角カメラは16mm相当ながら、約4800万画素の1/1.56型センサーを搭載した。先代と比べると大幅な進化だ。
で、今回、ちょっと面白い機能が追加された。
カメラは、レンズが広角になればなるほど周辺部が四隅に引っ張られるように変形して映る。その影響で、広角カメラでは「集合写真を撮ったら、端っこの人の顔がちょっと歪んで写る」とか、「全身写真で顔が端っこにあると、おでこ(額)が広く写っちゃう」みたいなことは、経験的に分かっているかと思う。スマホで集合写真を撮るときは端には立たないって人もいそう。
それがなんと、Xperia 1 VIIでは「顔歪み補正」なる機能を搭載していて、超広角カメラで撮影した際に、画面の端に映る顔のゆがみを補正できるようになっている。撮り比べてみると、確かに補正をかけた方がゆがんでない。ただ、その代わり周辺部が少しゆがんだり、画角が少し狭くなったりという副作用はある。
どのくらい変わるのか、下の写真で比較してみよう。
これは何気にニーズありそう。
さらにセンサーサイズが大きくなったことで、暗所にも強くなった。よいことである。
もう1つ、超広角カメラがレベルアップしたことで新しい機能が追加された。それはマクロ撮影機能だ。設定で「近接撮影」をオートにしておくと、被写体にある程度以上近づいた時点で、画面にマクロアイコンが表示されて、カメラが超広角カメラに切り替わりってマクロ撮影(近接撮影)ができるのだ。
上の撮影画面のエノコログサ(ネコジャラシ)に四角い枠があるのは、トラッキングAF(オートフォーカス)をかけているから。これのおかげで、穂が風で揺れてもしっかりと追ってくれる。ソニーのよいところだ。
この機能自体は、iPhoneやGalaxyなど多くのハイエンド機で既に採用されているが、これで広角マクロと望遠マクロの両方が使えるようになったのである。
広角カメラ
続いて、メインカメラである広角カメラ。画素数だけを見ると、前モデルと同じ約4800万画素だけど、センサーサイズが1/1.35型と大きくなっている。
早速撮ってみよう。
暗所撮影も強い。暗めの部屋で伸びをしたうちの黒ネコが、両前足をぐにーと伸ばした瞬間に思わずシャッターを切ったのだけど、予想以上にちゃんと撮れていた。
広角カメラに関しては、もう特にいうことはないかな。他の作例を見てみよう。
なお、ある程度以上暗くなると自動的に「夜景モード」に入るけど、カメラの基本性能が上がっているので、かなり暗くないと夜景モードに入ってくれないのだった。
●望遠ズームカメラは前モデルと大きく変わらず
望遠ズームカメラは85〜170mm相当(カメラアプリの倍率表記だと3.5〜7.1x)の光学ズームレンズを搭載している。こちらは前モデルと同じ約1220万画素のセンサーだ。
デジタルズームを併用すると、最大で510mm相当(倍率表記だと21.3x)まで行ける。無理にディテールをシャープにせず、かといってデジタルズームならではの不自然さもあまり感じないのがいい。
では、他の望遠作例も見てみよう。
85mm相当のズームは、ポートレートにも向いている。そこでポートレートモード(ぼけモード)でも撮ってみよう。
望遠カメラといえば、先代で採用された「テレマクロ(望遠マクロ)」も忘れてはならない。これ、光学ズームの望遠レンズを使ってマクロ撮影できるので、今までスマホでは撮れないような写真を撮れて重宝したのである。
ただ、このモードはマニュアルフォーカスなので、ピント合わせはちょっと大変。画面を見ながら(拡大表示は可能)ピントを合わせてシャッターを押そう。
Xperia 1 VIIでこれがAF対応しないかなと思っていたけど、しなかった。残念。来年はぜひAF対応してほしい。
●「プロ写真モード」を駆使してみよう
ここまで「強化された点」「変わらなかった点」をチェックしてみたけど、Xperia 1シリーズの特徴である「プロ写真モード」についても触れておきたい。
「プロ写真」にするとXperia 1 VIIのカメラ性能をフルに引き出せるのだ。
レンズの表記は「倍率」から「焦点距離」に変わり、クリエイティブルックやフォーカスモード、連写モードも細かく指定できるようになる。
この手のマニュアル撮影ができるモードは、多くのスマホのカメラアプリが持っている。しかし、使い勝手はXperiaの「プロ写真」がピカイチだ。
しかも超高速連写も対応してくれる。下の写真は、1/8000秒の最高速のシャッタースピードにして連写して撮った中の1枚だ。カメラ任せで撮っても、プロ写真モードにして自分であれこれセッティングして撮ってもOKなのはXperia 1 VIIならではといえる。
もう1つ、Xperia 1シリーズ伝統の機能を。それは側面のシャッターボタンだ。横位置で撮る時は、これが圧倒的にありがたい。半押しによるAFロックもできるしね。
で、つまるところ、カメラが着実にレベルアップしてるXperia 1 VIIであった。写真を撮る人は、その性能をフルに引き出せるプロ写真モードを使いこなしたい。
動画に関してはAIカメラワークやオートフレーミング機能を使ってアクティブな動画を撮りやすくなったのが大きいのである。
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